さあ、畑にお引越し。言っとくけど、あたし結構気難しいわよ。
やっぱり自分では動けないから、日当たりと水はけは気になるわね。足元が常にびしょびしょ、ってのはやっぱり、美容のこと考えると遠慮したいわ。
あと、お隣さんも気になるわね。自己主張のつよいやつ、特にトウモロコシなんかだめね。人気があるからっていい気になって、こっちの気も考えずに伸びまくるんだから。ああいうのはあたしから離れて、勝手に自分でやっててほしいわ。



うちのオーナーが選んでくれたのはここ。ふんふん、結構広いわね。
周りに同じ仲間のジャガイモや唐辛子がいるのが気になるけど。あたしらの仲間って案外、仲間同士でつるむのは苦手なのよね。でも隣のジャガイモは６月にはお引越しするらしいし、まあ文句は言えないわね。
畝がマルチで覆われてるのが気に入ったわ。水浸しもいやだけど、カラカラってのもお肌にはよくないわ。それに意地悪な雑草があたしのご飯を横取りするものも避けられそう。



そうそう、こうやって空けて植えてちょうだいね。ぎゅうぎゅうは嫌よ。
だいたい１メートルぐらいがベストだけど、６０センチでもまあいいでしょう。
あと、体が倒れないように添え木をしてやさしく支えててちょうだい。結構あたしにとって、強い風ってストレスなのよ。



植え方はこんなもんかしらね。一番はしっこの子だけはみ出てるわね。マルチが足りなかったんですって。
こういうとこ、無計画っていうのかしらね、うちのオーナー。

あたしの上にドーム状の支柱があるでしょう？これについてはうちのオーナーが、のちのちなんか企んでるらしいわよ。
とりあえず、これでお引越しは完了ってとこかしら。
さて、しばらくはこの土地になれるよう、がんばらなきゃ。

はあい、あたし凛々子よ、よろしくね。
あたしをどこに植えてくれるのかしら。

あたしを見た途端、オーナーの「もん」は渋い顔したのよねえ。
この人、トマトはいつもはベランダに植えるんですって。
でももう、今年の植え付けは終わってしまって、あたしのいるとこないっていうじゃない？
遅れてくる方が悪いって？！失礼しちゃうわ。

結局あたしは畑に植えられることになったのよねえ。
でもこの人、「畑でトマト本格的に育てたことない」っていうのよねえ。
不安だわ。大丈夫かしら。