番外　
　　　都々逸の戯れ歌集　（長いよ～）

　　　　　岡惚れ・傍惚れから・・

あらあら・・・ こうしてこうすりゃ～こうなるものと、
知りつつこうして、こうなった..

　「都々逸」は粋な言葉遊びでしょうか？

一人でさしたる唐傘なれば、片袖濡れよう筈がない
惚れた数から、振られた数を、引けば女房が、残るだけ
惚れて通えば千里も一里、逢わで帰れば、また千里
惚れさせ上手なあなたのくせに、諦めさせるの下手な人
枕出せとは、つれない言葉、そばにある膝、知りながら
ゆうべしたのが、今朝まで痛い、二度とするまい、箱枕
横に寝かせて、枕をさせて、指で楽しむ、琴の糸
よその夢見る浮気な主に、貸して口惜しい、膝枕
わたしゃお前に火事場のマトイ、振られながらも、熱くなる
赤い顔してお酒を飲んで、今朝の勘定で青くなる
諦めましたよ、どう諦めた、諦めきれぬと諦めた
あついあついと言われた仲も、三月せぬ間にあきがくる
あの人のどこがいいかと尋ねる人に、どこが悪いと問い返す
嫌なお方の親切よりも、好いたお人の無理が良い
色はよけれど、深山の紅葉、あきという字が気にかかる
色が黒うて惚れてがなけりゃ、山のカラスは後家ばかり
入れてもらえば気持ちは良いが、ほんに気兼ねなもらい風呂
梅も嫌いよ、桜も嫌い、ももとももとの間（あい）がいい
うちの亭主と炬燵の柱、なくてはならぬがあって邪魔
団扇使いも、お客によりて、あおり出すのと、招くのと
浮気うぐいす梅をば、じらし、わざと隣の桃に咲く
嬉しい首尾したそのあくる日は、仕事出しても手につかぬ
岡惚れ三年、本惚れ三月、思い遂げたは三分間
親の気に入り私も惚れる、粋で律儀な人はない
帯も出来たし箪笥も出来た、そろそろ旦那と別れよか
お酒飲む人、心から可愛い、飲んでくだまきゃなお可愛い
遅い帰りをかれこれ言わぬ、女房の笑顔の気味悪さ
おろすわさびと恋路の意見、効けば効くほど涙でる
お名は申さぬ一座の中に、命上げたい方がいる
重いからだを身にひきうけて、抜くに抜かれぬ腕枕
逢うたその日の心になって、逢わぬこの日も暮らしたい
面白いときゃお前と二人、苦労するときゃ、わしひとり
おまはんの、返事一つで、このカミソリが、喉へ行くやら眉へやら
岡惚れしたのは、私が先よ、手出ししたのは、主が先
逢うて心のくもりも晴れて、二人眺める蚊帳の月
重くなるとも、持つ手は二人、かさに降れ降れ夜の雪
鬼が餅つきゃ、閻魔が捏ねる、そばで地蔵がなめたがる
可愛いお方に謎かけられて、解かざぁなるまい、しゅすの帯
顔見りゃ苦労を忘れるような、人がありゃこそ、苦労する
君は吉野の千本桜、色香よけれど、気が多い
君は野に咲くアザミの花よ、見ればやさしや、寄れば刺す
切れてくれなら切れてもやろう、逢わぬ昔に、して返せ
義理や人情が守れるならば、恋は思案の外ぢゃない
口でけなして、心で褒めて、人目しのんで見る写真
喧嘩したとき、この子をご覧、仲の良い時、出来た子だ
これほど惚れたる素振りをするに、あんな悟りの悪い人
恋に焦がれて鳴く蝉よりも、鳴かぬ蛍が身を焦がす
小唄、都都逸なんでも出来て、お約束だけできぬ人
小指切らせて、まだ間がないに、手まで切れとは情けない
こうして、こうすりゃ、こうなるものと、
知りつつ、こうして、こうなった
酒の肴に新聞出され、見れば世間のアラばかり
酒は飲みとげ、浮気はしとげ、儘(まま)に長生きし遂げたい
白だ黒だと喧嘩はおよし、白と言う字も墨で書く
末はたもとを絞るとしらで、濡れてみたさの、春の雨
すねてかたよる布団のはずれ、惚れた方から機嫌とる
千両万両の金には惚れぬ、お前一人にわしゃ惚れた
添うて苦労は覚悟だけれど添わぬ先から、この苦労
便りあるかと聞かれる度に、別れましたと言うつらさ
チョクチョク逢う夜を一つに纏め、トックリ話がしてみたい
出来たようだと心で察し、尻に手をやる、燗徳利
主と私は、玉子の仲よ、わたしゃ白身で黄身を抱く
花は、咲いても、身は山吹よ、ほんの身になる人がない

（これら、全て作者は不明です。）　　＝ 正 ＝