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  • from: Felixさん

    2007年01月24日 20時00分59秒

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    二宮清純:ノリ放逐か救済か…度量問われる球界

    エサの量が減ると鯉は池の中でジャンプを繰り返し、空腹を訴えるという。
    たまにはね過ぎてしまって池を飛び出してしまうのがいるから注意を払わなければならないという話を愛鯉家から聞いたことがある。

    はね過ぎてしまって池を飛び出した鯉にオリックスを自由契約となった中村紀洋の姿が重なる。
    移籍先が決まらず自らの足で会社訪問ならぬ球団訪問をしなければならない今の状況は、果たして彼が望んだものだったのか。

    私見を述べれば彼は契約に感情を持ち込み過ぎる。
    「金額どうこうというのは二の次です」というのなら代理人を使う必要はなかったのではないか。
    退団直後のコメントは「自分がずっと交渉の場にいればと思った」。
    矛盾している。
    また彼は「手術した際に球団関係者が見舞いに来なかった」とも言った。
    何を甘えているのか。
    そこまで言うのなら契約書に「球団関係者は選手が手術した際、必ず病院に見舞いに訪れること」との一文を盛り込んでおけばよかったのだ。

    ノリの気持ちも分からないではないが、世間に口外すべきだったのか。
    それにしても、なぜ減額制限を超える球団のダウン提示を争点にしなかったのだろう。
    契約に感情を持ち込んだことで逆に争点がボヤけてしまった印象がある。
    思うに彼は人一倍自負心と自己愛が強いのだろう。
    それはそれで4番を張るスラッガーに必要なことではあるが、時としてカラ回りしているようにも見える。

    MLBでは結果を残せなかった。
    17試合の出場、通算打率1割2分8厘では大きな顔はできない。
    決して不器用なバッターではない。
    もっとコンパクトなスイングに徹していれば道は開けたはずなのに、トレードマークのフルスイングにこだわり続けた。
    それを“サムライ”と美化した者もいたが、私はそうは思わなかった。
    彼は自分を変える勇気を持たなかった。
    “ノリブランド”なる小さな誇りに固執したことで、MLBでの成功という大きな目標を見失ってしまったように私の目には映った。

    しかし彼には「稚気愛すべし」ところがある。
    数少ない和製大砲でもある。
    見せしめのように放逐することが日本球界のプラスになるのか。
    根本陸夫、仰木彬ありせば…。
    捨てる神はいても、拾う神がいないようでは今度は球界の度量が問われかねない。

    <この原稿は07年1月24日付『スポーツニッポン』に掲載されています>

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