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  • from: Felixさん

    2007/06/14 00:58:20

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    二宮清純「唯我独論」

    山崎武、実った19年目の「創造的破壊」

    イノベーション(innovation)――。
    安倍総理が就任早々の施政方針演説でこの言葉を口にしたのは記憶に新しい。
    人口減少時代の経済成長をイノベーションによって可能にすると明言した。

    イノベーションという言葉を最初に定義したのはオーストリア出身の経済学者J・A・シュンペーターである。
    イノベーションとは単なる「技術革新」にとどまらない。
    たゆまざる「創造的破壊」――それは「進取の気性」によってもたらされる。
    過去を美化することを堕落と見なす強い意志がそこになければ、人の営みは停滞し、社会は瞬く間に活力を失う。

    しかし言うは易し、行なうは難し。
    齢を重ねれば人は誰でも保守的になり、変化を恐れる。
    そこに立ち止まるリスクはチャレンジして失敗するリスクよりもはるかに大きいのだが、それに気がつく者は極めて稀である。
    逆に言えば、それに気がついた者、すなわち「創造的破壊」を断行できた者のみが競争社会で生き残ることができるのだとも言える。

    楽天・山崎武司が選手生命を賭けて打法改造に乗り出したのはプロ入り19年目のことだ。
    オリックスを自由契約になり、仙台の地にやってきたベテランに監督(当時)の田尾安志は突き放したように言った。
    「今のままじゃ、もう打てないぞ」。
    山崎は典型的なプルヒッターである。
    ポイントは常に前に置き、詰まることを良しとしない。
    この打法でセ・リーグの本塁打王にも輝いた。
    しかし、年とともにヘッドスピードが鈍り、ボールをとらえ切れなくなっていた。

    「これからは後ろ足に重心を残して打て」。
    頭では理解できてもプライドが邪魔をした。
    「この打ち方だと、どうしてもはじめのうちは詰まるんです。詰まると不安で不安で仕方がない。これでいいのかって…」。
    結果が出始めたのは移籍1年目の6月。
    これまではレフト専門だったホームランが右翼席にも入り始めた。

    自分には無理だと諦めていた広角ホームラン。
    2年がかりで山崎は新しい技術を手に入れた。
    「ウエイトトレーニングなんて何もやっていないんですけどね。今年が最後という思いでずっとやっているだけ」。
    25本塁打、57打点で目下、2冠王。
    フロックではない。
    不惑を前に打法改造という名の「創造的破壊」をなしとげた証がこの数字である。

    <この原稿は07年6月13日付『スポーツニッポン』に掲載されています>

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