「藤原伊織」という作家をご存じでしょうか？

今年5月に59歳で亡くなってしまいました。
あまり作品数は多くありません。

ﾊｰﾄﾞﾎﾞｲﾙﾄﾞ、ｻｽﾍﾟﾝｽが氏の範疇でしょうか？

会話の妙、舞台設定のﾘｱﾘﾃｨ、ﾆﾋﾙな主人公、気の強いﾋﾛｲﾝ、暴力、酒等一度読むと何となくはまってしまう藤原ﾜｰﾙﾄﾞです。

きっかけは8月頃に、紀伊国屋の推理小説ｺｰﾅｰで「ﾃﾛﾘｽﾄのﾊﾟﾗｿﾙ」（講談社文庫）を手に取ったことです。
もちろん作家名も著書名も知っていましたが、読むまでには至っていませんでした。

読み進むうちに登場人物と年齢が近いせいか「ああ、こんな日常場面あるなぁ」などと共感しながら読んでいました。

作品はもちろん独立していますが、「ﾃﾛﾘｽﾄのﾊﾟﾗｿﾙ」の前日譚として「銀の塩」（短編集「雪が降る」収録、こちらはやはり後に読むべきでしょう）があり、「ひまわりの祝祭」の後日譚が「ｼﾘｳｽの道」の中で語られていたりと、ﾌｧﾝにとってはお宝発見的な二度おいしい構成になっていて、氏のｱｲﾃﾞｨｱに感服といった感じです。

興味を持たれたらぜひ.......そう言えば、「ﾃﾛﾘｽﾄのﾊﾟﾗｿﾙ」、ﾌｼﾞTVで1996年に放映されているとのこと（根津甚八）、見なくちゃ！