2009年 08月 27日 09:53 JST
　［東京　２６日　ロイター］　各種世論調査の結果から衆院選での民主党優勢が伝えられ、株式市場では「子ども手当関連」をはじめ民主党の政策関連株を物色する動きが再び活発化している。

　ただ、テーマ物色の助走段階とみられた７月２１日の解散前後と株価を比較すると、「政策買い」のカテゴリーに属しながら、銘柄や個別のテーマによって注目度合いに濃淡が出てきた。政策実現の即効性が高いとみられる分野や、現実の収益が好調である銘柄が値動きでリードする展開が続いている。

　２６日の東京株式市場では、学研(9470.T: 株価, ニュース, レポート)や東京個別指導学院(4745.T: 株価, ニュース, レポート)など、子ども手当関連株の一角がストップ高に買われたのをはじめ、電池など環境関連株の中で出遅れ銘柄が物色された。相場全般は日経平均が１４日のザラ場年初来高値１万０６３０円３８銭を上回り、本来なら主力株が優勢となりそうな地合いの中でも、材料株としての色彩が強い民主党の政策関連株がにぎわっている。

　市場関係者によると「関連銘柄は単なる期待感からではなく、現実の政策を買う格好になりつつある。『政策買い』は株式市場の王道でもあるため、材料に対する信頼度が一段と高まったようだ」（準大手証券情報担当者）という。

　もっとも個別ベースで最近の株価動向をみると、現段階では動きに優劣が生じている。「３００議席」報道が相次いだ前週後半以降、関連銘柄は再び人気化したが、解散後から始まった実質的な選挙期間において、株価面では上昇したカテゴリーとそうでない分野に色分けされた。

　たとえば、マニフェストで最大の目玉となっている「子ども手当」に関する銘柄は、民主優位が市場のコンセンサスとなっていた解散日の７月２１日に小天井を形成した銘柄が少なくない。関連株の代表的な存在として位置づけられるベビー衣料・子供服大手の西松屋チェーン(7545.T: 株価, ニュース, レポート)は、７月２１日に形成した年初来高値１０６５円に現時点では届かない状況だ。

　反対に「高速道路の無料化」で注目される陸運株はここにきて上昇が目立つ。中心的な銘柄であるヤマトホールディングス(9064.T: 株価, ニュース, レポート)は、右肩上がりのトレンドを形成。２６日の市場では年初来高値を３営業日ぶりに更新した。

　この点について、証券ジャパン・調査情報部副部長の大谷正之氏は「子ども関連株の出遅れが物色されているが、投資家は実現度なども考えて、足元の業績が好調な銘柄から買っているようだ」と話す。

　陸運株については、既に現段階で高速道路の値下げが収益に寄与しているほか、昨年に比べて原油価格が大幅に下落したことによる燃料安メリットが評価されているという。陸運株と同様に、民主党政策関連で堅調な値動きが目立つ電池などの環境関連株について「政策の追い風がなくても伸びる分野。自公政権が継続することを想定しても、同様の政策が実施されるため安心して買える」（中堅証券幹部）といった声もある。

　このように現実的な視点に立って、投資家がシビアに関連銘柄を物色している。コスモ証券・営業サポート部副部長の清水三津雄氏は「期待で買う段階は終わり、今後については政策の実現度が問われてくる。株価の動きが慎重な分野は、どこまで実現するか見極めたいという心理が働いているのではないか。実行の段階で後退すれば、早く人気が離散するリスクも出てくる」と分析していた。

　（ロイター日本語ニュース　　水野　文也）

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-11201220090827?sp=true