2010年 03月 25日 08:12 JST
　［ワシントン　２４日　ロイター］　訪米中の中国の鍾山商務次官は２４日、米国商工会議所で、中国は為替政策を徐々に変更し為替相場の安定を図ると述べ、より速いペースでの人民元の上昇を求める米国の要請を受け入れない姿勢を示した。

　ロイターが入手した講演原稿で同次官は、為替相場を変更することで米中間の大幅な貿易不均衡を是正することはできないと指摘。「人民元の切り上げは、良い解決法ではない」と語った。

　米エコノミストは、人民元が最大４０％過小評価されているとの見方を強めている。中国は、人民元の過小評価により国際貿易で不当な利益を得て、他国の雇用に打撃を与え、世界的な金融のゆがみを助長していると非難されている。

　米議員は、米国の雇用者数が２００７年１２月以降８４０万人減少していることを踏まえ、重要な要因として中国の為替政策に焦点を当てている。上院では、中国製品に輸入関税を課す法案が策定されており、法案をまとめた民主党のシューマー上院議員（ニューヨーク州）と共和党のグラム上院議員（サウスカロライナ州）は、４月１５日公表の為替報告書で中国を為替操作国に正式認定するようオバマ政権に求めている。


　下院歳入委員会のレビン委員長（民主党）は２４日、中国は人民元を過小評価している為替政策を変更する必要があるとの見解を示した。「中国は継続的な経済戦略・政策を取っており、そのカギとなっているのは過小評価された水準で通貨をドルに固定させることだ。これについて議論の余地はないように思われる」と述べた。

　さらに「この問題に簡単な解決策はない。しかし問題を否定することは解決にはならない」とし、「中国の為替政策や輸出主導型（経済）成長政策も世界の他の国々にとってマイナスだ」と語った。その上で財務省高官と為替問題について「今週、活発な議論」を行うつもりだと述べた。


　米国商工会議所での講演で鍾山次官は、人民元への圧力を退ける上で世界的な安定を強調し、「ドル相場の下落は間違いなく世界の金融システムと世界経済に大きな影響を及ぼす。人民元の大幅な上昇やドルの大幅な下落は、中国にも米国にも他の国にも利益にならない」と述べた。

　さらに「米中間の貿易均衡を実現する正しい方法は、中国の対米輸出を制限することではなく、米国の対中輸出を増加させることだ」と指摘した。

　２００９年の米国の対中輸出は０８年比横ばいの約７００億ドル。世界経済が減速するなか、中国は米国にとって世界３位の輸出市場であり、最も急速に成長し続けている。

　しかし、米財界首脳らは、国内産業を支援する中国政府の政策などにより中国で保護主義の壁に直面しているとして不満の声を強めている。　

　米国商工会議所のマイロン・ブリリアント副会頭は「残念ながら中国は、革新的な経済発展における最良の国際的慣行と矛盾する方向に向かっている」と指摘。中国の政策は、長年にわたり米国の保護主義的圧力から中国を擁護してきた米財界との関係を弱体化させていると語った。


　鍾山次官は２日間の日程でワシントンを訪れている。滞在中に財務省、商務省、通商代表部（ＵＳＴＲ）を訪問。

　商務省高官によると、鍾山次官と会談した米高官は、反ダンピング関税や相殺関税などの問題について協議した。また、中国の米企業が貿易の主要な障壁と指摘する中国の「バイ・チャイナ」政策をめぐる懸念などについても提起された。

　

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