5月27日(金)8時15分配信

　日本経団連は２６日、経団連会館で定時総会を開き、任期満了に伴い退任する副会長に代わり小島順彦三菱商事会長ら８人を選出した。原発事故の引責で東京電力の清水正孝社長が退任するため副会長は１７人になる。

　就任２年目に入る米倉弘昌日本経団連会長はあいさつで「東日本大震災の国難を乗り越え、新たな日本を創って参りたい」と訴え、震災復興に全力で取り組む決意を示した。ただ、政治との距離は再び開き始めており、東日本大震災を境に「すべてが後ろ向きになった」（米倉会長）という菅政権をどう支えていくのか。苦悩は深い。

　米倉会長は昨年９月の菅政権の発足後、矢つぎ早に官民対話を重ね、新成長戦略の策定や平成の開国宣言などを引き出し、政権と軌を一にして諸課題の実現に取り組んできた。

　しかし、東日本大震災によってすべての座標軸が一変。菅政権の拙劣な対応に失望感をあらわにしていった。その代表事例が、中部電力浜岡原発の停止や東京電力の賠償枠組みをめぐる問題。民間の取引に介入し、発言内容が随時変わるからだ。

　財界の多数は菅首相の更迭に傾いている。財界長老は菅首相の資質について「目立ちたがりで何も考えていない」と指摘。有力財界人らからも「１年未満で首相が替わっては良くないというが、このままではかえって国益を損なう」といった手厳しい声が相次ぐ。

　総会後の記者会見で米倉会長は「国際社会の信頼を培うため少なくとも２年くらいは保ってほしいと支えてきたつもりだが、震災後はちゃんとした対応をしてもらえない」と不満を表明。「経済界の思いに応えてくれるなら今後もサポートするが、様子を見て是々非々で判断したい」と述べた。海外経験が長く、１兆円規模のプロジェクトをまとめてきた米倉会長は国益とはどういうものかを、身体で理解している。菅政権との距離を縮めていくのか、それとも別の道を探るのか。「新たな日本」の創設に向け２年目の米倉経団連は大きな選択を迫られている。

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