11月28日（ブルームバーグ）：日本国債の利回りが約11カ月ぶりの速いペースで上昇している。日本が格下げされるとの懸念がくすぶる中、今週２件の入札を控えて利回り上昇の流れは続く可能性がある。

　　日本相互証券によると、指標の10年物利回りは先週8.5ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）上昇して1.03％となり、今月の最も高い水準に達した。上げ幅は１月７日終了週以来最大。一方、10年物の米国債利回りは4.7ｂｐ低下して1.96％となっている。

　　20年債の価格は先週25日に５月以来最大の下げとなった。その前日、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ（Ｓ＆Ｐ）は、野田政権による財政健全化に向けた取り組みが難航する中、日本が格下げに近づいているかもしれないとの認識を示した。国際通貨基金（ＩＭＦ）は日本の国債利回りが「突然急上昇」するリスクがあり、借り入れが持続不可能になる恐れがあると指摘した。今週には２年物と10年物の入札が予定されている。

　　ＳＭＢＣ日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは「この２日間でこれだけセンチメントが悪化してしまったことを考えると、10年入札の結果を見るまでは不安定になるかもわからない。質への逃避先として短い国債を買うことになるだろう。イールドカーブの形状が立つイメージだ」と述べた。

　　財務省は29日に２兆7000億円規模の２年債（2013年12月15日償還）、12月１日に２兆2000億円規模の10年債（2021年12月20日償還）の入札を実施する予定。

　　　　　　　　　　　ダウングレード

　　Ｓ＆Ｐの信用アナリスト、小川隆平氏（シンガポール在勤）は24日のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、日本の財政健全化の取り組みについて、「何も進まなければ、どんどん状態は悪くなる」と発言。日本国債の格付けに関して「だから確かにダウングレードに近くなるというのはそうなのかもしれない」と述べた。

　　ただ、「今のところは悪化のペースは緩やか」とし、「今日１日すぐにどう動くという状態では今のところはない」と説明した。Ｓ＆Ｐによる日本の格付けは「ＡＡ－」。格付けの見通しは４月に「ネガティブ」に変更した。

　　日本の債務負担が拡大するとの懸念は、期間10年以上の債券に最も打撃を与えている。２年債と10年債の利回り格差（スプレッド）は89ｂｐと、10月31日以来最大だ。

　　　　　　　　　　　　　　入札

　　新生銀行ＡＬＭ部の勝智彦次長は、「長期金利の1.0％割れ水準は行き過ぎながら、もう少し金利低下局面が続くと見ていた。しかし前週末に相場が急落したため、２年債、10年債入札は、買いが入りやすいのではないか。表面利率（クーポン）1.1％で新発債になる可能性もある」と話す。ブルームバーグのデータによると、表面利率が1.1％なら９月の入札以来の高水準となる。

　　格付け会社フィッチ・レーティングスは23日、フランスについて、さらなる経済的衝撃があれば最上級の「ＡＡＡ」の信用格付けを失うリスクがあると指摘。同じ日にドイツ政府が実施した10年物国債入札では、応札額が募集額を35％下回る「札割れ」となった。

　　ドイツ10年債利回りは先週30ｂｐ上昇して2.26％と、09年１月以来最大の上昇を記録している。

　　ＳＭＢＣ日興証券の野村氏は「これまで欧州の財政危機問題深刻化で『質への逃避』対象となったのが米国債、英国債、独国債、日本国債。その一角である独国債が崩れ始めたことで、円債市場でも不安心理が拡大している。日本にとって対岸の火事ではない」と説明。「日本国債に関連する報道も不安心理を増幅させた」と語った。

更新日時: 2011/11/28 12:02 JST

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=a8h0edcIC10Y#

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その時がだんだん近づいてきているのか￥