鞆の浦
いま鞆の浦が道路をつくために埋め立てられようとしています。

危機に瀕しています。


検索して

良いアイディアを提案したＣ・Ｗ・ニコルさんの記事をみつけました。

「世界遺産級」とも言われる鞆の浦。

その価値を認めてきた識者は埋め立て免許の申請をどう受け止めているのか。

国内外で環境問題などに取り組み、鞆の浦の景観保全を訴え続けてきた作家のＣ・Ｗ・ニコルさん（６

６）に聞いた。（聞き手・吉田博行）


　私は昔、水産資源の調査の仕事をしていたので、世界中の港を見てきました。

日本では、鞆の浦ほど海の歴史が刻まれた美しい港町はないでしょう。


対談したことがある日本文学研究者のドナルド・キーン先生も鞆の浦を、

「瀬戸内海に奇跡的に残った美しい港町」と評価していました。

私も屋久島などの世界遺産登録の活動に携わりましたが、

鞆の浦は磨きさえすれば世界遺産の価値は十分にある。


その美しい景観をなぜ消そうとするのか。計画を聞いて、とてもがっかりしました。

埋め立てられたら、私は二度と鞆の浦には行かないし、友人たちにも紹介はしない。



　愛国心や郷土愛は、その地域の歴史を理解してこそ身につく。

鞆の浦は、そこに足を運ぶだけで瀬戸内の歴史がひもとけるすばらしい港町です。

その港を埋め立てて近代化したところで、果たして古里自慢ができるでしょうか。


私の故郷の英国には、ダートマスという帆船時代から続く古い港町があります。

ここは、救急車などを除いて車の乗り入れを原則として禁止し、町外に駐車場をつくって、

町と駐車場を結ぶバスをピストン運行しています。

狭い路地をのんびり散策できるので観光客が長時間滞在し、経済的にも潤って活性化に役立っています。



　「景観と暮らしのどちらが大切なのか」と主張する人もいますが、

ダートマスは、美しい景観と人々の暮らしが両立するよい例でしょう。

今ならまだ鞆の浦の計画は止められる。

開発を全面的に否定するつもりはありませんが、

他の方法を十分に考えず、

美しい港をむやみに破壊すべきではありません」