伊藤博文は27歳、山県有朋が30歳、板垣退助も31歳、幕臣の榎本武揚でさえ32歳。幕末明治に活躍した人々の維新のときの満年齢だ。夜明けを待たず、安政の大獄で非業の死を遂げた吉田松陰は享年29歳、橋本左内はなんと25歳である。寿命の短い時代とはいえ、この国に近代をもたらしたのはこれほどに若い力だった

病気の子供が危篤に陥った夜更け、同じ長屋の住人が総出で井戸を囲み、深い水底に向けて口々にその子の名前を呼ぶ。山本周五郎「赤ひげ診療譚（たん）」のひとこまである。地の底にあるという冥界（めいかい）に旅立ちかけた命を、この世に呼び戻すためだと説明されている。

寺山修司の詩文集「思いださないで」のなかに、時計の一節がある。〈時計の針が／前にすすむと「時間」になります／後にすすむと「思い出」になります...〉。思えば人は、前後どちらにも針の動く時計を携えて人生を歩いている◆つらい出来事は「後にすすむ」針に託し、身は「前にすすむ」針に託す。振り向けば、耐えられそうになかった悲しみもいつしか歳月の彼方に霞んでいる。

「天知る・地知る・子知る・我知る」の言葉があります。与えられた仕事に誠心誠意、心を尽くして取り組んでいれば、きっとどこかで誰かが見つめています。たとえ誰に認められずとも、自身の働き方を一番見ている自分がいるはず。

雑草の生命力はすさまじい。抜いても抜いても生えてくる。少々の日照りが続いても、ビクともしない。　そんなたくましい雑草の姿に、自らの人生をだぶらせる人は少なくない。

韓国のことわざに「往（い）く言葉が美しければ、来る言葉も美しい」とある。日本の「売り言葉に買い言葉」の裏返しだが、前向きなのがいい。言葉にせよ行為にせよ、身から出たものは自分に返る。そんな因果応報の教えと思われる。

『為せば成る 為さねば成らぬ 何事も』
頑張ってきました。
結果、良い事たくさんありました。