司郎と仲良しになったことで、おちびも大分我が家に慣れてきました。今では黒羽（正式にこの名に決まりました）もおちびを威嚇しなくなりましたし、三匹でじゃれあっている姿はなんとも可愛いものです。
　しかし、おちびはそれではまだ満足がいかないようです。
　最近のおちびは、姫ちゃんに好かれようと必死です。
　姫の後をついて歩き、姫のゲージの中でゴロンゴロンと匂い付けをしたり。とにかく甘えたくて仕方がない様子。

　名づけて、
　「姫ちゃんにママになってもらおう大作戦」

　そりゃまあね、我が家で女の子の猫ちゃんは姫しかいませんから。
　けれど、姫ちゃんは貞操観念がしっかりしすぎているせいか、おちびを司郎や黒羽と同じように扱ったりはしません。どちらかというと、福に求婚された時のあしらい方に似ています。
　姫は公太一筋なので、福に抱きつかれると「フギャア！」と叫びながら巴投げをします。すり寄ってきただけで猫パンチするような子です。
　おちびに対する態度が、これに似ているんです。でも、相手はまだほんの子供ですから、姫のあしらい方も余裕なもんです。
　駆け寄ってこられたら、ヒラ〜リと、まるで蝶が舞うように方向転換をし、行ってしまいます。それでもおちびが駆け寄ってくると、スタッと身軽にタンスの上へ昇ってしまいます。あとはもうそっぽを向くばかり。
　おちびが悲しそうに泣いて見せても、無視を決め込みます。

　「姫ちゃま、少しはおちびも可愛がってやって」
　「みにゃあ〜（いやですの）」
　「おちびだって、あんた同様捨て猫だったんだから、少しは同情してやろうよ」
　「みにゃあ〜（うちの人と同じ色でも、他人は他人ですわ）」
　「姫ちゃま、冷たい……」

　こうゆう時、おちびを慰めてやるのが司郎なんですね。
　しばらくはまだまだ、司郎に頼るしかないかな。