私はそんな様子に思わず顔をしかめながら、「帰ろう」と主人に言った時である。トイ・プードルの子犬が私の足もとにやって来て、私を見上げながら人なつこそうにキュンキュン鳴いた。その犬の後ろ足がおかしいことに私はすぐに気づいた。

「この子犬、抱いてもいいですか？」私が女性店主に許可を求めると、店主はすぐに、

「いいですよ」と答えた。

足もとにすり寄ってきたその子犬を私はヒョイともち上げると、優しく胸に抱いた。抱き上げられた子犬は、私の口もとをさかんになめる。