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  • from: あきらめてんさん

    2019年06月23日 13時17分01秒

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    老後の椅子取りゲーム③

    週に3回、火、木、土と佐和子はパートに出ている。信二郎は家を出ると商店街にある小さなコーヒーショップへ行った。佐和子と結婚して三十年目になるが、二人の間に子供はいない。子育ての苦労も知らず、気楽に暮らしてきたが、あらためて老後をどのようにするかと問われると、実感はわかないが、確かに不安である。夫婦の内、どちらかが先立つとすれば、一人暮らし生活になる。貯金もないままで老化すれば、社会問題になるかもしれない。信二郎が勤めている会社は中小企業の電気部品メーカーである。ここ数年、業績は伸びていない。資金繰りに社長が駆けまわっていると聞いているから、倒産しないとも限らない。老後のことなど深く考えない内に失業すれば、どうなるのか。それでも気楽な気分で生活しているから、なるようにしかならないだろう。失職すれば、その際に考えればいいだろう。現在において真剣に考えられなかった。
    この時、信二郎のスマホがコール音を発した。
    「シンジかい。今、お父さんが車で事故を起こしたの。信二郎、聞いているかい。ブレーキを踏み間違えたみたいだね。電柱にぶつかって、お父さんは頭を打ったらしい。私も左手が動かないし、シートベルトを締めたままで動けないのよ。とにかく、シンジ、お前にだけは連絡しておかないといけない、と思ったからさ。お父さんは返事をしないのよ。今さ、救急車のサイレンが聞こえてきたから、誰か、連絡してくれたんだね。胸が急に息苦しくなってきた、とにかく連絡しておく。頼むね。」
    ここで切れてしまった。信二郎はテレビドラマの音声だけを聞いているような気分で母からの連絡を受け取って、しばらく呆然としていた。

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