新規登録がまだの方

下の[新規登録]ボタンを押してコミュニティに登録してください。

新規登録(無料)

登録がお済みの方はこちら

コミュ二ティポイントのご案内

詳しく見る

ペンカット

ペンカット>掲示板

チャットに入る

サークルに参加する

サークル内の発言を検索する

新しいトピックを立てる

サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。

閉じる

  • from: あきらめてんさん

    2020年05月14日 18時18分42秒

    icon

    老後の椅子取りゲーム㉙

    資料を見るといっても、書いてあることは揚水発電の実現に向けて資金提供をしてくださいとの主旨でしかなかった。
    「やあ、和田さん、よくきてくださいました。お待ちしておりました。」
     忍び込むように森山は信二郎の隣の席に座った。
    「おお、君か。どうして、僕が来るってことが分かったんだね。」
    「分かりますよ。和田さんの真剣な眼差しをみていたら。私は先だって、駅前でお会いした時から、必ず来ていただけるものと確信していました。」
    「またまた、よいしょしてくる。それはそうと、参加者は会場の半分くらいだね。」
    「そんなことないです。予定通りです。何分にも、手ごろな大きさの会場が空いていなっかものですから、大会場になってしまったのです。」
     こう言って、森山は時計を見た。
    「準備で忙しいのだろう。」と信二郎は冷やかすように言った。
    「そうなんです。間もなく始まりますので、裏方の仕事もありますので講演が終われば、この場所に直ぐに来ます。移動されずに待っていてください。」
     足早に森山は会場中央の脇から姿を消した。5分もしない内に照明が一段と明るくなって、若い学生風の男が演壇に立って、司会役の挨拶を始めた。

    • コメントする

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0
    • 拍手する

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0

    icon拍手者リスト

  • from: あきらめてんさん

    2020年05月12日 14時00分00秒

    icon

    老後の椅子取りゲーム㉘

    森山からもらった『ヘルス揚水発電推進セミナー』のチラシは書斎に置いたままであったが、信二郎はセミナー当日になって、講演を聞くだけであれば、毒にはならないだろうと思った。地下鉄の新町駅を下車し、案内書に記載された3号階段を上がって、左回りに約2分、スカイバードビルがあって、セミナー会場は8階にある会議室になっていた。
     廊下に受付のテーブルが置かれていた。そこには事務局をしているという森山新平の姿はなかった。
    「森山さんはおられませんか。」受付の女性に声をかけた。
    「あのー。和田信二郎さんでいらしゃいますか。」
    「そうです。」
    「先ほどまで森山さん、おられたのですが、何か急な要件が出来たので、出かけられたようですね。だいぶ、お待ちになっていましたよ。よかったら、会場の方で着席していただくようにと、おっしゃっておられました。」
     ずいぶんと丁寧が言い方であった。セミナーに出席すると森山新平に連絡したわけでもないのに連携が行き届いていると信二郎は思った。会場は、ざっと半分ほどの人達が開演を待っていた。参加者の顔ぶれを見ると、年金生活者の層と思われる高齢者で占められていた。信二郎は別に遠慮したわけではないが、会場の後方にあたる壁側に席をとって受付でもらった封筒を開け、資料に目を通した。

    • コメントする

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0
    • 拍手する

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0

    icon拍手者リスト

  • from: あきらめてんさん

    2020年05月11日 12時25分47秒

    icon

    老後の椅子取りゲーム㉗

    「言葉は、どのようにも表現できるからね。」
     こう言って、信二郎は軽く押し返したが、眼は笑っていた。内心、騙されるかもしれないが、危険を感じながらも少しづつ探っていけば、その内に見極めがつくだろう。
    「和田さん。来月の10日(土)になりますが、『ヘルス揚力発電推進セミナー』という学習会が予定されているのです。どうですか、一度、顔出しなさいませんか。」
     森山新平はセミナーの案内文書を封筒から抜き出した。
     案内チラシには、『講師中山秀次が新時代を語る』という見出しがついていた。会場の場所、日時、案内地図が書かれ、末尾に健康発電支援協議会・事務局森山新平という名前が記されていた。
    「僕が一番心配しているのは、企画倒れにならないか、それだけだよ。つまり、アイデア倒産というやつさ。世の中には詐欺まがいのものが沢山あるだろう。まず商品として成り立つかどうか、品物はできても、果たして需要があるかどうか。売れなけりゃ、価値がないわけだろう。このあたりを心配しているんだよ。」
    「ごもっともです。おっしゃる通りです。私も、和田さんと同じ思いです。この種の企画は、はっきり言って、冒険ですよ。ただね、最初から怖がっておれば、近づかなければいいわけです。そうでしょう。何も起こらないし、なんの利益にもなりませんでしょう。この種の案件は、博打みたいなものなのです。賭けるか、賭けないか。どちらかでしょうね。地層を分析すれば、石油が眠っている。しかし、掘ってみなければ、油は噴出しませんでしょう。それと同じことです。ここ掘れ、ワンワンです。決してチャ化しているわけではありません。真面目に考えているのです。いくら考えても、やってみないと結果はでてきません。私は常に、こんな風に考えているのです。」
    「まあ、そういうことだろうね。」
     信二郎は内心、この森山という男は喋りだすと、水飴を伸ばすように甘い言葉を連発すると感じた。食事を終えると、信二郎はセミナーの案内書をポケットに入れ、駅前広場で森山と別れた。

    • コメントする

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0
    • 拍手する

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0

    icon拍手者リスト