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from: あきらめてんさん
2019/07/05 16:31:21
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老後の椅子取りゲーム⑦
「お客さんが帰るから、早く見送りに出てこないか。」
この母親の声で信二郎は目が覚めた。枕元の目覚まし時計を見ると夜中の2時であった。母親の声は夢の中だったのかと思った瞬間、また、甲高い声がした。襖を開けると母親が布団に座っていた。
「どうかしたの。」
信二郎は極力冷静に母親を見詰めた。
「お前は誰や。どこの者や。」
母親の鋭い声であった。
「だれやといわれても、息子の信二郎です。」
「本当か。」
確認するように母親は訊いてきた。
「お前の後ろにお客さんが立っておられるのが、見えないのか。」
信二郎は振り返ってみたが、誰もいない。豆電球から普通の照明に切り替えると部屋全体が明るくなった。急に明るくなったので母親は困惑した表情で言った。
「誰も、居ないのか。十人くらいのお客さんが、さっきまで居て、機嫌よく話をしていたのよ。そうか。もう、帰ってしまったのか。」
幻覚を見た母親は不思議そうに信二郎を見ていた。
「お前が信二郎か。分かった。便所に行く。」
こう言って、立ち上がった母親の後を追って、信二郎も便所へ行った。-
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