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  • from: あきらめてんさん

    2019/07/13 17:04:15

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    老後の椅子取りゲーム⑫

    トゲトゲしい会話になる時もあるが、それは海岸に打ち寄せる波のようなもので事態を根本的に変えることもなく日常は経過していく。ある意味、悟っていくしかないと信二郎は割り切って考えるようになった。考え方の要領として細々した記憶は過ぎ去れば、早く忘れるようにしていた。これは信二郎自身が、還暦の年齢になってボケが始まってきたのかもしない。母親を車椅子に乗せて、総合病院のリハビリ施設に行くのが日課になってしまった。信二郎は廊下のベンチで母親のリハビリが終わるまで読書をしていた。リハビリのない日は、精神科へも連れて行って、薬の処方をしてもらった。こうした生活は田舎道を散歩するようなもので1年ほどが、あっという間に経過した。
    問題は母親の認知症状にあるのではなく、母親が溜めていた老後資金を信二郎が株式投資と為替相場で損失を出し続けていることであった。損得勘定になると儲けた部分もあったが、損を出した取引の方が多く、差し引きした総合収支は大きく落ち込んでいた。スタートした時の資金の三分の一ほどの目減りが生じていた。だが、こんなことを母親に報告するわけにはいかない。妻の佐和子にも内証であった。将来の生活に対する不安が、信二郎の心理に動揺を増幅させた。自分が沈んでいくような気分に信二郎は陥った。相場に手を出した自分の安易さに気づいても、タバコを止めたようにスパッと未練を清算できなかった。泥田に両足を踏み入れたようであった。もがき始めると、すべての判断が二重になって、ますます焦点が霞んでくるのであった。

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