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  • from: あきらめてんさん

    2019年08月04日 16時50分35秒

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    老後の椅子取りゲーム㉑

    風呂場の一件があってから母親は生きる気力をなくしたのか、療養中、病院で出される食事を完食することもなく、食べても三分の一ほどであった。数日後には食べる量が極端に減っていった。栄養の不足分は点滴で補っていたが、ある日、夜中に暴れたらしくて信二郎が病室に入ると、母親は両手に手袋をされていた。点滴の管を引きちぎったようであった。鎮静剤を飲まされたのか、呼びかけても瞼を薄っすら開けるだけで反応が鈍かった。こうした症状が1週間ほど続き、母親の血圧が急激に下がって他界した。
     親戚はいないので家族葬であった。信二郎と妻の佐和子だけの静かな葬式になった。葬儀が終わって、母親名義になっていた自宅の相続を司法書士に依頼し、手続きが終了すると信二郎は駅前の不動産屋に土地と家、物件の売却を依頼した。駅から歩いて約15分の住宅地だったので高額な値段が付くものと思っていたが、意外にも厳しく一千三百万円が精一杯ですと突き放された。やむなく信二郎は不動産屋の言い値で手放した。その代わりに現金での受け渡しを要望したので不動産屋の営業マンが信二郎の自宅にやって来て、売買は成立した。不動産屋の車が信二郎の自宅を離れた途端に妻の佐和子は、受け取った現金の半分を欲しいと言い出したのである。
    「あなたと別れたいから、家の売却金の半分を離婚の生活資金としてください。」
     佐和子からの突発的な提案であった。佐和子は前々から考えていたのであろう。表情も崩さずに冷静な声であった。
    「ええ。ほんまに別れたいのか。」
     信二郎は絶句した。妻の顔を見詰めるだけで言葉が続かなかった。

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