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from: あきらめてんさん
2019/11/21 17:08:15
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老後の椅子取りゲーム㉓
信二郎には先のことが見えなかった。佐和子との関係を続けていても、状況は変わらないだろう。そうであったとしても、眼前の緊張した空気を変えたかった。よし、そうであればと彼は腰を挙げて、テーブルに置かれていた現金の束を無造作に分けた。
「六百五十万ずつに分けたから。これでいいのだろう。」
振り返ると佐和子の目は光ったように映った。
しばらく沈黙が続いた。
「本当にいいの。」
「ああ。」
「じゃ、いただいておくわ。」
無造作に札束を不動産屋が持参した紙袋に佐和子は入れると、二階にある彼女の化粧部屋に入った。もう一度、金額でも確かめているのだろうと信二郎は想像していたが、間髪を入れずに服装を変えると佐和子は家を出て行こうとした。
玄関を出ようとする佐和子に信二郎は慌てて声をかけた。
「おい。どこへ行くんだ。」
「決まっているじゃないの。銀行よ。」
佐和子の声はあっけらかんとしていた。信二郎は何か、キツネに化かされたような気持になった。-
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