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from: hapoさん
2005/11/11 10:26:56
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ミスティックリバー
ミスティックリバー、観ました。
以下、ネタばれがあります。
この映画はある意味ミステリーの
要素もあるので
未見の方は
ここより下はご覧に
ならない方が
よろしいでしょう。
さて、なにをおいても述べなければならぬ点が
クリント・イーストウッド、おそるべし!
僕はこの映画の封切り時のことを不勉強で知りませんでした。
今にして思えばこの作品は『ミリオンダラー〜』への
長い助走の一歩だったのかもしれません。
しかしそんなうがった見方でなくても本作が
非常に優れた人間描写の結末であるといえるでしょう。
本作を見終えた後に浮かんだキーワードは暗示と投射。
一見するとかなり救いのない暗い映画です。
しかしそこに本当にに救いはないのでしょうか?
アルゴさんのおっしゃていた『2つの結末』がそこかな?
娘を殺した犯人がデイヴだと思い込み、彼を殺してしまったビリー。
ビリーがデイヴを殺害したと確信する刑事ショーン。
ショーンは最終的にビリーをどうしたのでしょう?
イーストウッドはラストでそこまでは描いていません。
街を行くパレード。
妻の言葉により
デイヴを殺害した葛藤から解放されたビリー。
そんなビリーを通りの向こうからパレードをはさんで見つめるショーン。
ショーンは指をピストルの形にして
ビリーを撃つしぐさ。両手を広げ不敵な笑みを浮かべるジミー。
まさにに暗示で本作は終焉しています。
リアリスティックに、小さな町で起こった陰惨」な
事件を描いているようにみえても、よくよくみれば
その残虐に見える多くのシーンが暗示もしくは暗喩により
巧妙に仕掛けられた映画のトリックで成立していることにきづきます。
暴行・殺害シーンの多くが直接的描写によらず
暗示もしくは暗喩による示唆で観客の心理に訴えるという手法は
多くの映画監督はとりたがらない手法かと思います。
当然、ショッキングなヴァイオレンスシーンの直接的描写の方が
映画としての見栄えはするでしょうし、判りやすいものになるでしょう。
しかし、一人の少女が殺され、それが発端となった出来事は
暴力の連鎖を生み、新たな犠牲者も生み出してしまう・・・
この過程を暴行・殺害シーンの多くを直接的描写に頼らず描くことで
殺されてしまった人がその家族にとっていかに大きな存在であるかを
くっきりと浮かび上がらせることに成功しているのだと思います。
投射、または投射を喚起させる設定が秀逸であることも
この作品の特徴でしょう。
同じ街で育ち、幼い頃の親友でもあったビリー、ショーン、デイヴ。
しかし、その後の三人は全くといっていいほど
別々の人生を歩んでいます。
あなたは三人のうちの誰?
またデイブがビリーの娘を殺害したのではと思い込み
ついにはそのことをビリーに打ち明けてしまうデイヴの妻。
復讐のためにデイヴを殺害したビリーが
デイヴは娘殺しの犯人ではなかったと知り
自責の念にさいなまされている彼を
夫婦愛、家族愛、同族愛、そしてこの街への支配欲から
済んでしまった事は仕方ないと言いくるめるビリーの妻。
あなたはどちら?
登場人物の背景や心情を丹念に緻密に描くことで
映画というものがここまで面白くなるというお手本のような作品でした。
最後に音楽が素晴らしいと思っていたら
イーストウッド父子によるもので驚きました。
イーストウッドはジャズに造詣が深くチャーリー・パーカーの
半生を描いた『バード』の監督を務めたり、
ジャズシンガー、ダイアナ・クラールと作品のコラボを行ったり・・・
などということは知っておりましたが
こんなスコアを書ける人だったとは!
息子のカイル・イーストウッド(確かジャズのベース奏者だった)が
お手伝いしているのに二度びっくりでありました。
以上、長くなってごめんなさい。アルゴさんの宿題の回答に
なってますでしょうか?
解答編、お願いいたします!-
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