コンクリートの壁が

　彼らの海からの遡上（たび）を

　拒むから・・

　日置川　殿山ダム　から上流（かみ）には

　野生の鮎はいない

　鮎の友釣りの相手は、人間が放流した稚魚が
　成魚となった　奴ら　ばかりだ
　
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　さて・・・

　「ゴツン」　と「ぶるん」　が同時（いっしょ）

　愛竿が　ひん曲がる

　自信の仕掛け（ライン）　が悲鳴をあげる

　彼は　なんと　囮　を引きずり　上流（かみ）へ走る

　！！！

　僕を岩の上を走らせる

　あげく　は　水泳の真似事まで　させる

　胸までの流れに身をまかせ

　やっとこせ　タモ　に　おさまった　「おまえ」

　おまえ　は　海から旅をしてきたのではないのだな

　幼いころ　ヒトの手で放流（はな）されたのだな･･･

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　やっとこせ　タモ　におさまった　

　うれしいような　悲しいようような

　一匹の尺（おまえ）

　呆けたように　おまえを　見つめる　僕を・・

　笑うかのように・・・人間達の所業を笑うかのように

　カジカの声が聞こえてくる・・・・・・・

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　見上げれば、青い空・・・・だ・・・

　鮎の季節が始まった。　懐かしの一編