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†詩置場†

†詩置場†>掲示板

公開 メンバー数:5人

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  • from: ジャニス†さん

    2007/03/01 04:28:25

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    ハジマリ 2-1


    アスランは岡山理科大学の自然科学の教授である。
    彼は世界で初めてクマノミの人工孵化に成功していた。


    その日アスランは東京のペットショップにいた。
    出荷されたクマノミの飼育状況を観察するためである。

    水槽と水槽の間の狭い通路を歩いていると一人の女性とぶつかってクマノミの水槽を割ってしまった。
    女性がよろけたのでアスランは咄嗟に女性の体を抱いて支えた。

    「すみません、大丈夫ですか?」

    アスランは彼女に尋ねた。

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コメント: 全17件

from: ジャニス†さん

2007/03/02 21:20:02

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「ハジマリ 2」

ハジマリ 2



キングとのリレー小説第2弾


テーマは恋愛小説ということで、ハジマリ 1が終了後
様々なパターンの「恋愛」を書くことになりました。

(*゚ω゚*)




スナックのママと大学教授の話。

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from: ジャニス†さん

2007/03/02 21:15:23

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「ハジマリ 2-17」

その時、マミがよく通っている昼間行ったペットショップの店員が水槽を運んできた。

「私からのプレゼントです」

アスランはマミに言った。
水槽にはクマノミが仲良く泳いでいた。


マミは唖然としていた。

「いつ注文したの?」

「マミがマンションで着替えをしている間だよ。クマノミを私だと思って下さい」

アスランはドンペリをラッパ飲みすると、笑いながらマミの背中を叩き始めた。

それを見たマミは一気に恋心が冷めていくのを感じた。

終わり†

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from: ジャニス†さん

2007/03/02 21:13:16

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「ハジマリ 2-16」

平日だというのに店内はいつにも増して混雑していた。


マミはやっと各テーブルの挨拶を終えるとアスランの席へと戻った。

「ごめんなさい、お待たせして」

「いえ、気にしないで下さい。素敵なお店ですね」

アスランはスポットライトのあてられた少し殺風景な壁面に視線を移した。


「改装オープンする時に店内のデザインは私がしたのよ。あの照明はブラックライトに切り替えられるようになってるの。あそこに水槽を置きたいんだけど、なかなか気に入った物がなくて」

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from: ジャニス†さん

2007/03/02 13:42:38

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「ハジマリ 2-15」

「恋人なんかじゃありません。今日ペットショップで初めて会ったんですよ。僕がクマノミの水槽を壊してアサミさんの服を汚したから、お詫びにホテルグランヴィアで食事をしてからお店に来ました」

「そうなんだ。ところでアスランさん、何飲むの?」


アスランは志乃の耳元に口を寄せると囁いた。

「ドンペリ…」

「やった!」

志乃は大きな声でそう言うと席を立ってカウンターのほうへ歩いていった。


店の中は客が増えてきてざわざわとした雰囲気になってきた。

アスランは静かな所もざわざわした所も好きだった。

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from: ジャニス†さん

2007/03/02 02:04:13

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「ハジマリ 2-14」

「ええー!ペットショップとかって一人で見に行くの淋しくないですかぁ?アスランさん一緒に行ってくれないかな?」

志乃は上目遣いでアスランに返答を求めた。


アスランの目がアサミママを追っているのに気付いていた。

「ああ、いいですよ」

答えながらも他の客の相手をするマミにチラチラと目をやった。

「やったー!約束ですよ。ところでアスランさん、ママとはどういう関係なの?ママが初めてのお客さんと同伴なんて…。もしかして昔の恋人とか?」


マミは楽しそうに会話をする二人が気になって仕方なかった。

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from: ジャニス†さん

2007/03/02 02:02:08

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「ハジマリ 2-13」
志乃はアスランの隣に座ると挨拶をした。

「志乃っていいます」

「僕はアスランです」

アスランは名刺を出して志乃に渡した。


「へえ、岡山の人だね。教授さんだ、偉いんだ」

志乃は無邪気に言った。

「仕事が偉いだけ。クマノミの人工孵化を研究しているよ」

「クマノミかわいいね。ファインディングニモに出てくるよね」

「よく知ってるね。沖縄に生息している。でも乱獲で少なくなったんだ」

「ペットショップへ行ってもなかなか手に入らないのよ」

「クマノミを東京のペットショップに販売してるからそのうち買えるよ」

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from: ジャニス†さん

2007/03/01 21:35:47

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「ハジマリ 2-12」

タクシーの中、エレベーターの中、マミは腰に回されたアスランの腕に安らぎを感じていた。

エレベーターの扉が開き手が離れた刹那、マミは気持ちを押し殺すように着物の襟を正した。


「アスランさん、私お店では『アサミ』と名乗っています。他のお客さんは私の本名知らないのよ」

果たして海外で生まれ育ったアスランに、この微妙なニュアンスが伝わるだろうか。


マミはアスランを奧のボックス席に案内すると

「挨拶に行って参ります。少しお待ち下さいね」

と席を立った。


代わりにアスランの隣に志乃がついた。

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from: ジャニス†さん

2007/03/01 21:33:23

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「ハジマリ 2-11」

アスランとマミはタクシーで六本木へ向かった。

アスランはマミの腰に手を回すと身体を密着させるように引き寄せた。
マミは別段いやがるふうもなく、アスランに身を任せていた。

アスランは自分が飼育しているクマノミを扱うようにマミを扱っていた。
違うことといえばクマノミは裸だが、マミは残念ながら着物を着ていることだった。


六本木のビルの三階にマミの店はあった。

エレベーターで三階へ上がる時もアスランは腰を抱いたままだった。
さすがに店へ入る時には、その手を下ろした。

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from: ジャニス†さん

2007/03/01 18:12:29

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「ハジマリ 2-10」

「ふふっ。アスランさんたら、おかしい!マミでいいですよ。あ、でもお店の中ではやめたほうがいいかも。私、これでも人気あるんですよ」

マミはカップに付いた口紅を紙ナプキンでそっと拭い、想像してみた。

お店の常連客たちは私とアスランをどんな目で見るんだろう?

「ねぇ、アスランさん。私たちって周りから見たらどんな感じに見えるのかしら?着物を着た日本人女性とスーツ姿の金髪男性なんて…どう見ても普通のカップルの普通のデートじゃないわよね?」

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from: ジャニス†さん

2007/03/01 18:10:41

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「ハジマリ 2-9」

アスランとマミは寿司店を出ると一階の喫茶店へ入った。


マミはキリマンジャロをアスランはブルーマウンティンを頼んだ。

「マミさんはいつもキリマンジャロですか?僕は甘ったるいブルーマウンティンが好きなんですよ。どうかな?おかしいですか?」

「おかしいことはないですよ。ブルーマウンティンは誰にでも好まれていますから。それよりキリマンジャロを飲む私のほうがおかしいわね」

「マミ、いやあの、マミさん。おかしくないですよ。キリマンジャロは酸味が強くて刺激的ですよね」

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from: ジャニス†さん

2007/03/01 14:47:59

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「ハジマリ 2-8」

「楽しく飲んでくれる人ばかりならいいのに大抵の人は愚痴や自慢話よ。ストレス蓄まっちゃう」

マミがふと見るとアスランが深い緑色の瞳で見つめていた。

マミは慌てて目を反らした。


「ごめんなさい、私が愚痴ってどーするって話よね」

「いえ、僕でよかったらなんでも言って下さい。その代わり今のうちですよ。マミさんの店へ行ったら僕もお客さんだ」

そう言ってアスランは笑った。


こんなに楽しい食事は久しぶりだった。
マミはアスランに惹かれはじめていた。

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from: ジャニス†さん

2007/03/01 14:45:41

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「ハジマリ 2-7」

アスランはマミを助手席に乗せるとホテルグランヴィアに向かった。
マミが使っている香水がアスランの鼻腔をかすかに刺激し、性的欲求を呼び覚ました。


二人はホテルへ着くと五階の寿司店へ入った。

「マミさんはお店は長いのですか?」

アスランが尋ねた。

「今のお店は一年くらいですの」

「どんなお客さんが好きですか?」

「いばらない人」

「へぇ。僕は飲んだら性格変わるからなぁ」

「ええっ?どんなに変わるんですか?」

「陽気になって相手の背中をバンバン叩きます」

「本当なんですか?面白いですね」

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from: ジャニス†さん

2007/03/01 13:46:05

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「ハジマリ 2-6」

『ちょっと有りがちだけど外国の方には、やっぱりコレよね』

マミは桐のタンスから着物を取り出すと素早く気付け、髪を整えた。


先生と呼ばれる議員カブレやら下心見え見えの客が多い中、アスランにはそんな慢った様子は見受けられなかった。

そもそも金と権力をひけらかす輩に限って実際はケチで厭らしい。


マミにとっても常連客以外の男との同伴なんて、雇われママになって初体験。
夜の世界に入ってからは昼間の外出さえも数える程。
普通の出会いなんて無いに等しかった。


マミは久しぶりにウキウキしながら部屋を出た。

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from: ジャニス†さん

2007/03/01 13:43:39

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「ハジマリ 2-5」

「いいですよ。今日はホテルグランヴィアに泊りますから一緒に食事をしましょう。それからお店へ案内して下さい」

「わかったわ。それじゃ着替えてくるわね」

マミは車をおりるとマンションのエントランスへ入って行った。



アスランはマミの後ろ姿を見ながら突然の出会いに少し興奮していた。

大学の研究室は出会いが少ない。
女子学生に声をかけたりすればセクハラ委員会のメンバーが飛んでやってくる。
挙げ句の果ては査問委員会にかけられ、懲戒免職となる。

アスランはそういう教授を何人も見てきた。

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from: ジャニス†さん

2007/03/01 09:06:42

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「ハジマリ 2-4」

『へぇ外人さんて皆こんなに積極的なのかしら?』


当然のように言い寄ってくる客たちと違い、紳士的な振る舞いに少しだけ気が緩んだ。

「失礼ですけど、御職業お聞きしてよろしいかしら?」

「岡山で大学の教授をしています」

アスランはマミをちらっと見ると

「マミさんのお仕事は?」

と尋ねた。

「あー私は見たまんま。スナックの雇われママよ」

車はマンションに到着した。


「アスランさん、お時間宜しければ、この後、同伴して頂けないかしら?」

初対面で部屋にあげるほど馬鹿じゃないけど、このままサヨナラはちょっと惜しい気がした。

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from: ジャニス†さん

2007/03/01 09:04:00

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「ハジマリ 2-3」

「服が濡れてしまいましたね。家まで送ります」

アスランはそう言うとマミを駐車場に止めてあるベンツへ案内した。

「けっこうです。タクシーを拾いますから」

アスランはマミの言葉を無視して車に乗せた。

「かなり強引な人だわ」

マミは心の中でそう思いながらも心地よい感覚に捕われていた。

車はすぐにスタートした。


「アスランといいます。お名前は?」

「マミです」

「お住まいはどちらです?」

「広尾のダイアパレスです」

「わかりました。出勤前だったんじゃないですか?」

「ええ。でも、お店は夜7時からですから」

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from: ジャニス†さん

2007/03/01 04:31:15

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「ハジマリ 2-2」

マミは都内の小さなスナックの雇われママだ。

今日はオーナーに頼まれ、店に飾る熱帯魚を見にペットショップを訪れていた。


出勤まではまだ時間がある。
自分の部屋にも熱帯魚の水槽を置きたいわ…と物色していた。

「ごめんなさぁい。こっちこそぼーっとしてて」

彼女はそう言いながらも咄嗟に彼の全身にチェックを入れた。

『あら、外人さん?背も高いし顔もタイプだわ。物腰も言葉遣いも…やった!指輪はしてないな。それにいい靴を履いてる』

完全に職業病だ。


それにしても困ったな。
一度帰って着替えなきゃ。
服も靴もびしょぬれだった。

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