コメント: 全15件
from: ジャニス†さん
2007/03/09 13:14:24
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「ハジマリ 4ー15」
けんじは仕事が終わると優子と待ち合わせて色々な場所へ行った。
映画館、喫茶店、レストラン、スケートリンク、どこへ行っても二人は寄り添い、恋人のように腕を組んで歩いた。
時々、優子の家に泊まることもあり、二人は子供の前でもキスをした。
ベッドに入ると優子は奔放になり、全てをけんじの目の前にさらした。
けんじの愛撫は優しく執拗で、優子は何度も歓喜の叫びをあげ、けんじを抱き締めて達した。
「私、ダメになりそう。けんじがいないと生きていけない」
優子は囁いた。
from: ジャニス†さん
2007/03/09 12:55:25
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「ハジマリ 4ー14」
電話を切った優子は自分の行動に驚き、涙が込み上げた。
ただ少し寂しいだけ…誰かに傍にいて欲しいだけ。
けんじがタクシーで駆け付けるとソファに瞳を潤ませる優子がいた。
「けんじさん、私…」
けんじは思わず優子を抱き締めキスをした。
頬に触れた優子の涙に我に返り慌てて唇を離したが、今度は優子がけんじを引き寄せた。
二人の唇は何度も重なり合い、体は何度も求め合った。
優子の熱い吐息が耳元で擦れ、首に回された腕からふっと力が抜けた。
けんじの願いが叶った瞬間だった。
from: ジャニス†さん
2007/03/09 11:13:52
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「ハジマリ 4ー13」
葬式が終わった。
優子は心身ともに疲れ切っていた。
夫を亡くした寂しさに打ちひしがれていた。
けんじは喪主の優子のそばにいつもいて優子を精神的に支えていた。
優子は熱いシャワーを浴びバスルームから出て居間のソファに座ると無性に誰かと話したくなった。
優子の指は、いつのまにかけんじの携帯の番号を探り当てていた。
「けんじさん、すぐに来て。お話したいの」
「いいですよ。すぐに行きますから」
けんじはタクシーを拾うと優子の家へ向かった。
from: ジャニス†さん
2007/03/09 11:11:09
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「ハジマリ 4ー12」
「きゃー!」
血に染まった床に気付いた客が悲鳴をあげた。
「あなた!なんてこと…」
優子はその場に泣き崩れた。
「恵子さん、警察に電話を!それから救急車を」
この家の主人が起き上がることはないだろう。
招待客の一人が子供たちを奥の部屋に避難させた。
けんじは拳銃を持ったまま茫然と立ち尽くす男に飛び掛かると床にねじ伏せた。
「こいつが悪いんだ!こいつが俺のデザインを盗みやがった。俺を地方の店舗へ追いやっておいて自分だけこんな立派な家に住みやがって!」
男は叫びながら連行された。
from: ジャニス†さん
2007/03/09 10:24:49
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「ハジマリ 4ー11」
優子の夫が帰ってきた時、それは起こった。
一発の銃声が辺りにこだまして優子の夫は仰向けに倒れた。
優子や他の招待客たちは最初、何が起きたのか解らなかった。
子供たちがモデルガンで遊んでいたので、その音だと思った人たちがいたからだ。
異変を素早く察知したのはけんじだった。
日頃モデルガンでサバイバルゲームをしていたので、実弾の発射音を聞き分けたのである。
「大丈夫ですか?」
けんじは素早く歩み寄ると声をかけた。
銃弾は心臓を撃ち抜いていて床を真っ赤な血が染めていった。
from: ジャニス†さん
2007/03/09 09:34:23
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「ハジマリ 4ー10」
ロウソクの火は二本消えた。
「やったー!消えたわ、すごいでしょ?」
佑夏は待ちきれずに美夏からピストルを奪い取った。
「次はあたしの番だよ!美夏よりたくさん消しちゃうもん!」
他の子供たちも加わり、ロウソクは次々と消された。
「みんな、うまいなあ。それじゃケーキを食べよう」
優子が子供たちを見にくると、けんじがケーキを取り分けてやっているところだった。
「あら、ありがとう、けんじさん。そろそろ主人が帰ってくるの。紹介するわね」
「じゃあ、僕はそれまで子供たちと遊んでいますね」
けんじは優子の後ろ姿を見つめた。
from: ジャニス†さん
2007/03/09 08:08:04
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「ハジマリ 4ー9」
「いいか、みんな。あのロウソクをこのモデルガンで消したらケーキが食べられるんだぞ」
けんじはそう言うと腰にぶらさげていたコルト45を取り出した。
「さあ、ハジマリは美夏ちゃんからだ。そのあと佑夏ちゃんだよ。よーく狙って静かに引き金を引くんだ。おりこうさんだからわかるよね」
けんじはコルト45を美夏に渡すとケーキの上に立てられている色とりどりのロウソクを指差した。
優子は招待客とのお喋りに夢中で、美夏のピストルに全く気付いていなかった。
from: ジャニス†さん
2007/03/08 13:33:35
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「ハジマリ 4ー8」
パーティの準備はすべて整った。
大きなテーブルにはたくさんの料理や珍しいワインなどが並べられていた。
夫の仕事柄、招待客は子供よりも大人のほうが圧倒的に多かった。
家政婦の敦子がやってきて優子に言った。
「先程、旦那様からお電話がありました。なんでも急なお仕事で到着が一時間程遅れるそうです。先にパーティ始めてほしいと」
「そう。いつものことね」
子供たちがケーキのロウソクを吹き消す瞬間、けんじが例のモデルガンをお披露目した。
思いの外、大受けで、けんじの周りに子供たちが群がった。
from: ジャニス†さん
2007/03/08 13:23:44
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「ハジマリ 4ー7」
優子は込み合っている道路を車を巧みに運転して閑静な住宅街へと進んで行った。
門番が扉を開けると優子は車を乗り入れ、木立の間を5分程走った。
まもなく三回建ての白亜の洋館が前方に見えてきた。
「優子さん、凄いところに住んでるんですね。びっくりしたよ」
けんじは車を降りると広壮な建物を見上げて言った。
建物の後ろには森らしきものがあった。
「サバイバルゲームをするにはもってこいですね」
けんじがそう言うと優子は顔をしかめた。
三人は大理石の階段を上がり中へ入った。
from: ジャニス†さん
2007/03/07 14:11:19
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「ハジマリ 4ー6」
「なんですって?」
優子は驚いて急ブレーキを踏んだ。
助手席の恵子の顔も引きつっている。
「今日は娘の誕生パーティなのよ!小学生のお友達やお母さん方も招待してあるのに、そんな物騒な物をどう考えても非常識でしょ?置いてきてちょうだい!」
優子は怒って車をユーターンさせようとした。
「ちょっと待ってください、優子さん。冗談です、改造っていうのはこれです」
けんじはそう言うとモデルガンの引き金を引いた。
パンパンという軽い音とともに銃口からキラキラと紙吹雪きやテープが舞った。
「すいません。ちょっと驚かそうと思って…」
from: ジャニス†さん
2007/03/07 09:22:58
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「ハジマリ 4ー5」
優子と恵子が会社から少し離れた男子寮へけんじを迎えに行くと、けんじは迷彩服姿で玄関に立っていた。
手にはモデルガンを持っている。
「けんじさん、一体どうしたの?」
優子が驚いて尋ねた。
「僕は会社以外ではいつもこのスタイルなんだ」
けんじはしゃあしゃあと言ってのけた。
「紹介するわね。友達の恵子よ。海上デパートに勤めてるの。恵子、こちらは会社の上司のけんじさんよ」
「了解!恵子さん、よろしく」
「あ、はい」
けんじは車に乗り込むと恵子に言った。
「このモデルガンは改造してあるから、人が殺せます」
from: ジャニス†さん
2007/03/06 21:30:36
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「ハジマリ 4ー4」
その日は朝から忙しかった。
二人の娘と一緒にバースデーケーキを焼き、パーティの飾り付けをした。
デパートに注文しておいたプレゼントのドールハウスを取りに行き、大体の準備を終えると、時計の針はすでに午後五時を回っていた。
「美夏ちゃん佑夏ちゃん、ママお友達を迎えに行ってくるわね」
日曜日とはいえ夕方になると御茶ノ水駅付近は混雑していた。
駅では短大時代の後輩の恵子が待っていた。
「お待たせ。これから職場の人を迎えに行かないと」
恵子はデパートで婦人服売場の店員として働いていた。
from: ジャニス†さん
2007/03/06 21:28:01
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「ハジマリ 4ー3」
「それはいいですけど、僕は優子さんがいいな」
それは突然の告白だった。
けんじは仕事を教えているうちに次第に優子に好意を持つようになっていた。
優子もけんじのそんな気持ちに気付かないわけではなかったが、自分は人妻でもあるので、敢えてけんじと一定の距離を保つようにしていたのだ。
「けんじさん、お世辞が上手ね」
優子はさらりとけんじの言葉をかわすと、さらに続けた。
「明日、午後六時に男子僚へ迎えに行きますから。あっ、それからお土産は何も要らないわよ」
from: ジャニス†さん
2007/03/06 08:15:56
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「ハジマリ 4ー2」
優子は恵まれた環境にいた。
二人の娘は今年から小学校に通い始めた。
夫はデザイナーとして成功し、数年前から都内や各地のデパートなどにショップを構えていた。
経済的にはなんの不自由もなく、家事は全てハウスキーパーに任せていた。
優子はお金のためでなく趣味で仕事をしていた。
「明日は双子の娘の誕生パーティなのよ。ちょうど会社も休みだし、けんじさん宜しかったらパーティに来ない?」
「えっ!僕がお邪魔しても宜しいんですか?」
「ええ、是非いらして。私のお友達も何人か呼んでいるの。独身の子もいるわよ」
from: ジャニス†さん
2007/03/09 13:16:56
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「ハジマリ 4ー16」
けんじは二人の娘を自分の子供のように可愛がった。
目の前で父親を殺され、悲しみの淵に立たされた子供たちは心を病んでいた。
美夏も佑夏もけんじを兄のように父親のように慕った。
幸いなことに優子には莫大な遺産が残された。
亡き夫の会社も経営は順調で一生不自由のない生活が保障されている。
「けんじ、これからもずっと私たちの傍にいてくれる?」
「当たり前じゃないか」
けんじは優子を抱き締めた。
二人に何も迷いはなかった。
優子は心も体も幸福に満たされ深い眠りについた。
「私が先ね!」
美夏がサバイバルナイフで眠っている優子を刺した。
「今度は私の番よ」
佑夏は心臓をひと突きにした。
「ほら、凄いでしょ!美夏よりたくさん血が出たわ!」
ベッドは優子の血で真っ赤に染まっていった。
「ママも死んじゃったし、これで新しいパパは私たちだけのものね!」
終わり
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