コメント: 全6件
from: ジャニス†さん
2007/03/23 14:23:33
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「ハジマリ 7ー6」
夜になるとさすがに冷え込んできた。
都会からさほど離れているわけではないのに空気が澄んでいる。
空を見上げると零れ落ちそうな星が輝きを競い合うように輝いていた。
「綺麗ねえ。家にいたらこんな星空なんて見上げてる暇もないものね」
サヤカととも子はアルコールも回り、愚痴を言い合ったり楽しい会話を続けていた。
前田とシンも男同士の会話で盛り上がっているようだ。
「さあ、明日もめいっぱい楽しむためにそろそろ寝ようか」
サヤカは久々のアルコールに興奮冷めやらず、逆になかなか寝付けなかった。
「近くにいれば平気よね」
サヤカは一人で散歩に出掛けた。
from: ジャニス†さん
2007/03/21 11:41:48
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「ハジマリ 7ー5」
前田とシンは個人用のテントを四つ設営した。
テントの設営が終わると、前田は木の枝を集めるため林の奥へ入って行った。
シンは女性のためにトイレを作った。
二人が作業を終え川原に戻ってみると、うまそうな匂いが辺りに漂っていた。
「おっ、うまそうだな」
前田は今拾ってきたばかりの木の枝を火の中に放り込んで言った。
「本当だ。サヤカは料理が上手だね」
シンが言った。
「あら、そんなこと」
サヤカはシンに誉められ、少し赤くなりながら言った。
固形燃料を持ってきていたがバーベキューには木の枝のほうが火力が強い。
from: ジャニス†さん
2007/03/21 09:50:34
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「ハジマリ 7ー4」
日頃の悩みや家のことなどすっかり忘れ、サヤカは清々しい気分だった。
自然と鼻歌が口をついた。
四人は目的地に到着すると女性陣と男性陣に別れた。
前田とシンはテントを組み立て、サヤカととも子はバーベキューの支度を始めた。
手際良く食材の下拵えをするサヤカにシンが声を掛けた。
「さすがだなサヤカさん、僕なんて自分の食べる分を作るだけでえらい時間かかっちゃいますよ」
「そりゃ、毎日やってることだもん。これくらい出来なきゃ主婦失格でしょ?」
楽しい食事だった。
「なんだか学生時代を思い出すわ」
はしゃいでいる自分がいた。
from: ジャニス†さん
2007/03/19 10:47:20
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「ハジマリ 7ー3」
「野村さん、キャンプの経験てあります?」
前を歩く前田とシンについて歩きながら、サヤカはとも子に聞いた。
「ううん、全然」
「私もなんですよぉ。川原でバーベキューならしたことあるんですけどね」
「まぁ、今日は課長とシンに任せておけば大丈夫よ」
そう言ってとも子は笑った。
「なんだなんだぁ、ちゃんと聞こえたぞ」
前田が笑いながら振り返った。
「ホント課長ったら地獄耳なんだからぁ」
「野村くん、地獄耳はないだろう」
二人の会話にシンとサヤカも笑った。
空は晴れ渡り澄み切っていた。
from: ジャニス†さん
2007/03/18 18:18:48
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「ハジマリ 7ー2」
キャンプ前日の金曜日、サヤカは小学生の娘を実家に預けると、早速準備に取り掛かった。
「えー!ママずるぅい!奈々も連れてってよぉ」
始めはごねていた奈々も新作のソフトを買い与えることで収集がついた。
少し痛い出費だったが仕方がない。
それよりも初体験のキャンプに向けて気持ちが弾んでいた。
「何を用意すればいいのかしら?」
バーベキューの道具やキャンプ用具一式は前田課長が用意してくれることになっていた。
とも子は今頃、食料の調達に忙しいだろう。
サヤカはシンに電話をかけた。
from: ジャニス†さん
2007/03/23 23:02:08
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「ハジマリ 7ー7」
後片付けを一通り終え、とも子とサヤカがお手洗いに行った時、軽くあくびをしながら、とも子が言った。
「シンには感謝よね。山に来て何が困るっていったらこれしかないもの」
「ホント。近くにコンビニとかあるわけじゃないですもんね」
サヤカが答えると、とも子が急に真顔になって言った。
「ねぇ、ひょっとしたらだけどシンのこと好きなの?」
突然の問いにサヤカは一瞬、何も言えなかった。
「そ、そんなこと。私は結婚してますし」
「あらあ、それでも男と女よ」
とも子はサヤカが想像もしない意外な言葉を口にしていた。
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