そんな優しい声で目覚めた朝


ではなくて。



唯一、実名で登場する私の悪友リカコからの電話


なんか色々と言いたいことがあったようだけど、眠くて半分も頭に入ってこなかった



彼女が言うには、

｢私もお前に本音は言わないし、お前が言うわけがないなんてことはよーく解ってる。それでもお前のことは誰よりも理解してる。『愛してる』なんて安っぽい言葉に騙されて・・騙されちゃうのはいいとして、奴が一番の理解者だなんて思ったら大間違いだ｣

とか、確かそんな感じ



｢あはは、やっぱりリカコって面白いね。そんな心配しなくても私は勘違いもしてないし、一番の理解者なんて考えたこともないよ｣



きっと一番の理解者はリカコだよ、って言って欲しかったんだろうけど

私が寝起きで普段よりも不機嫌で低い声だったから、それだけ聞いたら満足したようで｢それじゃおやすみ｣と電話を切った。




そうだ。私にもいたんだっけ。


リカコが私に本音を言わないのは言わなくても解ってるだろって思ってるから

うん、そうだね。解ってる。


そして私が言わないのは本音を晒け出してリカコに嫌われたくないから

あえて言わないんだよ？って念を押さなくたって、リカコはそこまで理解してくれてるから。




あの時の優しい声とリカコのちょっと耳障りな高い声を思い浮かべながら、寝不足ながらとても気分のいいを迎えた





気がする