鋭角な断面を
　磨いて磨いて
　映し出された
　現在を生きる

　煌びやかで
　目が眩み
　僕には
　もう映らない

　穏やかな波

　貴男が去った後の
　砂浜に打ち寄せる

　泣いている
　私のように


　みちたりない
　みちたりない



　水の粒子震わせて
　引いてゆく

　泡になる
　私のように


　｢愛に自由｣を
　言い訳にしたら

　同じ波は
　もう還らない

　現在･･･

　私が言葉を失くし

　熱い想い溢れだす

　この口を

　鬱いでしまったら･･･

　それは

　太陽を失った月

　悲しみの雫となって

　この頬を伝うだろう


　それでもただ

　低く低く

　流れる水のように

　そんなふうに

　生きられたら


　地図なんてなくたって

　行き先は決まってる


　貴男が腕を広げる

　深い深い


　あいのうみへ

　悪無き世界に正義は
　存在するのだろうか？

　これ見よがしな偽善的
　言葉の裏に悪を操る人
　びと
　知らぬが仏と騙される
　哀れで幸福な人びと

　いっそのこと無関心が
　有り難い

　哀しみの無い世界に歓
　びの花は儚く咲き続け
　るのだろうか？
　哀しみが存在し初めて
　際立つ歓び

　努力をすれば報われる
　？
　成功に繋がる失敗
　人間の幸福なんて全て
　他人の不幸の上に成り
　立つものなんだ

　自らの不甲斐なさを肯
　定する為なら
　音も光も失った者に
　躊躇することなく死刑
　宣告を？

　何かを満たす為に何か
　を犠牲にする人々…
　そのしっぺ返しを漠然
　と恐れながらも
　災いが自分の身に直接
　降り掛からないことに
　安堵する

　人間の営みなんて
　こんなに愚かで単純で

　そんな現実の醜態に
　日々、嘔吐を繰り返し
　ながら誰かに依存して
　生きてゆく

　矛盾だらけな此の世で
　一番醜い…わたし

　水彩画の灰色雲から
　降り注ぐ私のかなしみ
　消しゴムでは消せない
　から
　それを雨とは言わない

　うなだれた向日葵が
　見てるのは灰色の地面
　今は顔を上げたって
　もう見えるのは同じ色

　巡り合った青空の下
　｢青｣なんて今何処に？
　ちぐはぐな価値観に
　侵食され汚染されてし
　まったの

　そう、あれはきっと幻
　予定調和を批判しても
　もはや遅すぎるんだ

　=現実は厳しい=


　きっちんでみるくと
　こｰひｰのばらんすを
　気にしているあなた
　を、
　わたしはべっどの中
　で､薄すぎるかｰてん
　に顔をしかめながら
　待っている

　空は今日もみず色で
　わたしの嫌いな雨雲
　なんて、どこにもみ
　あたらない


　毒林檎を食べたのは
　白雪姫でわたしでは
　ないから、
　きすするたいみんぐ
　を間違っても気にし
　ない

　足の先が昨日よりも
　少し冷たい気がする
　けど、
　あたためてくれる人
　が傍にいる


　空き地に捨てられた
　子猫は、びろｰどの
　毛並みを取りもどし
　薄いかｰてんと戯れる

　こうしてまた薔薇色
　の一日がはじまる


　この晴れた空
　真昼の空に月があり
　星があることなんて
　誰一人気づかなくて
　もいいから

　どこかで泣いてる人
　が居ることなんてね


　矛盾だらけの嘘でも
　いいから、
　もう少しだけ眠らせ
　て

　これはわたしの夢の
　お話

　君に繋がる空と大地
　この影はきっと
　何処までも延びて
　まあるい地球を一廻り

　背伸びをしたら
　遠くの君に届くかな

　ｷｽをするから
　きづいてね･･･


　現実は時に涙を誘い
　俯く君に冷たい夜風
　そんな時も声を探して
　月灯り優しく包むから

　頬に触れたら
　きづいてね･･･


　手繰り寄せて
　繋いだら
　温もりはいつも
　その結び目の中に

　何時だって其処にある
　はずの物だって、ほら
　自販機から落ちてくる
　缶珈琲みたいに簡単に
　手に入ると思ってたか
　ら、いざ届かないって
　判るともう、切なくて

　あの日、言えなかった
　言葉ひとつ、空に向か
　って優しく囁いたって
　雨がただ甘いだけで‥


　あの頃はそう手を延ば
　せば何時だって掴める
　と思ってた星はもう‥


　☆

　reality


汚れた街の至る処に転る台詞をこれでもかってほど並べたら
君は笑顔で振り向いた
なんだ これでいいのか？
余りにも呆気なくて
自分自身 戸惑うほどだ

こんなにも愛してやまない君が今 腐った愛の言葉に胸を解いた


人を愛することなんて
難しいようで単純で…
「信じてもいいの？」
なんて都合の好い台詞
心変わりも気紛れも
全てその愛のせいだろ？

僕にはもう本物を探す力
なんて残っていないから


君を失くしてしまったら
僕の生きてる価値なんて
自分で吐いた上辺だけの言葉よりも軽く
何よりも無意味な物だ
否定しようにも
経験済みじゃ仕方がない

神様！
貴方を愛しています
何をしてくれますか？

僕が呼吸をしてる間は
答えなんて聞けそうにない

愛なんて言葉は
簡単に吐けて
意味のないもので
生きるってことは
単純なようで難しい
どれもこれも
君が教えてくれた現実さ



　　　　　　　笑止

　八月のしめった暗闇に
　背中合わせの私がいて
　身体を小さく丸め堅く
　目蓋を閉じたまま
　朝が来るのを待ってい
　た

　私に降り注ぐ流れ星が
　どんなに願っても消え
　ていくように
　自分の存在すら見失っ
　てしまいそうで
　目を開けるのが恐かっ
　た

　ただ愛されたいのだ


　閉じた目蓋の血管が
　朝の太陽にうっすらと
　透けて見えて
　昨日の悲しみなんて
　もう何処にも見当たら
　ない

　いつも想っているよ

　愛しい人の声が
　とても近くで聞こえた
　気がした

　よかった
　まだ世界は此処にある