演劇部

2019/05/03

高校時代に写真部の部長をやった
スポーツ関連の部活には何だか縁が無かった
音楽は大好きだったが
僕がやりたいアメリカンポップスなどを
愛好するクラブなんて存在しない時代だ
合唱部とかブラスバンドとかはプレスリーを
演奏するようなイキな部活とは言い難いし
そこで僕は同級生の3人と軽音楽愛好会という
クラブとは認められないが部活に準ずる同好会
を作って放課後に教室でハウンドドッグとか
シャウトして先生方のヒンシュクを買っていた
写真部にはフィルムやネガを現像する
暗室があってその隣が演劇部の部室だった
暗室でネガを焼いていると演劇部の連中が
セリフの練習をする声が聞こえてくる
「どれどれ」と暗室の壁にある「ふし穴」から
隣をのぞいたりしていた（そんな部長がいるか！）
ある日演劇部の部長から
「吉田ァどうかのうアンタも芝居やらんかいのー」
と声をかけられた
高校演劇大会に出るそうで
何やら「戦争秘話」で僕の役は「アメリカ兵」
「おいおいワシがアメリカ兵かいやー？」
「アンタぁヒョロッとしとるけん多分メイクで
それらしゅうなる思うんじゃがのう」
「・・・」
てなわけで毎日放課後の猛練習が続き
僕はアメリカ人になりきって本番を迎えた
かいつまんで話せば
日本軍の捕虜になった僕が（アメリカ兵）
一人の日本人兵と友情を育むが
時が時だけにその友情にも限界が来て・・
まあ「よくあるストーリー」だった
そこで問題の僕の演じる米兵なのだが
とにかく演出する部長がやたら難解で
「アンタは当然日本語は少ししかワカラン、
ほいじゃが知っとる日本語は器用に話すんじゃ」
「へ？・・日本語がわからないが話す時は
流暢に話す・・んですか？・・どういう事？」
僕は真面目な高校生だから（暗室の壁の穴から
隣の部室をのぞくような真面目なヤツなのだ）
アメリカ訛りではあるが流暢な日本語風な
何が何だかサッパリわかんねーセリフを
必死で覚えて本番を迎えたのです
で、結果は？そりゃーアナタ・・
会場はクスクスとか・・でありましたよ。
考えてみると
中学は「郵便友の会」ってクラブで切手収集
高校は「写真部」で女生徒のポートレート撮影
と「軽音楽愛好会」でプレスリー・・
ダメだ！こりゃーってなクラブ活動だったかなー