ハノイのＡＳＥＡＮでドタキャンされた日中首脳会談は、、控え室での１０分間の両首脳の懇談で、戦略的互恵関係の確認、再会談の約束を取り交わしたことで何とか面子は保った形である。
　ドタキャンの原因は、本当は中国の内部事情によるものだが、日頃対中強硬発言の多い前原外相の、尖閣を巡るクリントン長官との会談や、やや勇み足気味の東シナ海ガス田発言にイチャモンを漬付けられたことにある。
　貿易立国の日本だから、中国に対しては、立場上弱い面があることは事実である。だから、外交にも手加減が必要なのだ。
　その一方で、言うべきことはキチンと言う、毅然とした姿勢も必要だ。　中国に対して疑念を抱いているＡＳＥＡＮ諸国も、大国日本に対してはそれを望んでもいると思う。それだけに日本の外交は難しいのである。
　漫才の「ボケとツッコミ」の要領で、言いたいことを言いながら、それをうまく収める絶妙の呼吸という技術が必須なのである。
　村上新八

　ドトナムのハノイでのＡＳＥＡＮへの出席の機会をとらえて日中首脳会談の開催が期待されていたが、その寸前になって「ドタキャン」された。
　中国側は、「内容と異なることが漏らされた。これで、日中首脳が会談する雰囲気が壊された。その責任は日本にある」と述べている。
　これは、その直前行われた前原、クリントン会談で、尖閣諸島が日米安保の範囲内であることが確認されたこと、更にその後で行われた日中外相会談の後で、前原外相が「日中首脳会談では東シナ海でのガス田共同開発についても議題に上るであろう」との発言が、尖閣問題で怒っている中国民から、政府の弱腰として攻撃されることに気がついて、慌てて「ドタキャン」に走ったものであろう。
　中国民衆のガス抜きとして尖閣への怒りという方向へ誘導した中国政府は、その「ガス」が、今度は政府自体に向かって爆発する可能性を察知して、「ドタキャン」の所業に出たものであろう。
　世界に対しても、みっともない、お粗末の一語に尽きる「ドタキャン」である。
　村上新八

　アメリカの大統領が変わって、２年後の国会議員選挙は「中間選挙」と称され、大統領の業績を評価するものとされている。
　選挙ではこの大体が大統領側の党の敗北に終わるが、今回の選挙では、一寸様子が違う。それは「ティ－・パ－ティ」と称するアメリカ原理主義派の台頭である。
　ペンシルバニア発のこの派は、今や全米に７００とも２７００とも言われる拠点網に成長して、連携して反オバマ活動を展開しているという。
　彼らは共和党ではなく、建国の精神として、自由、平等、自立を尊重し、貧困層を救うための公的医療保険は、その精神を損なう社会主義だとして嫌う白人の中間層である。
　だから、オパマのやった貧困層４０００万人に対する公的医療保険改善も、自分たちの税金を使うものだとして反対しているのだ。
　勿論、景気の低迷が続き、失業率も効率のまま推移している点についての不満もあるが、リ－マンショックの後遺症は、誰がやってもそう簡単に回復するものではない。
　後の任期２年のうちに、景気を回復させ、再選を図ることを期待したい。
　村上新八

　２７日から始まった事業仕分け第三弾は、通常予算の２倍以上、１８０兆円もの規模を持つ「特別会計」が対象である。
　かって、塩川官房長官が、「母屋（通常予算）ではおかゆをすすっているのに、離れ（特別会計）ではすき焼きを食っている」と評した特別会計である。その意味は、贅沢に資金を使っている、という意味である。
　特別会計の収入は、税金よりも、国民が支払う保険料や郵貯からの融資、その他サ－ビスに伴う各種料金が多いが、いずれも国民の負担であることには変わりはない。
　しかも、この特会には、財務省も口を出せないし、今まで国会も問題視はしてきたが、手つかずにきていた分野であるから、改革すべき点は少なくはないはずである。
　第三弾の仕分けの初日には、１特会、５事業の廃止といくつかの事業の統合や縮小が提案された。これは結構なことであるが、問題はその実行である。
　官僚はこざかいから、廃止や縮小手を変え、品を変えて、こんな決定を骨抜きにすることは得意中の得意なのだ。第一次から第三次までのその後の提案実現の徹底度、進捗度を、国民の前に明らかにすべきである。
　村上新八
　

　アメリカは、イランを最高に懸念しているが、これはイランが原爆の開発を進めているのを、イスラエルが懸念しており、米国にいるユダヤ人が政府をつついているからである。
　米政府も、核拡散を心配しているのは分かるが、核拡散の元凶である北朝鮮、パキスタンは放置したままでているのだから、イランだけを目の仇にしても核拡散は止まらないのだ。
　これに比べて、中国は、内陸から沿海の経済先進地域に出稼ぎにくる何億もの出稼ぎ人民を搾取して、低コスト品を生産し、それを世界にばら撒くことによって、驚異的な経済成長と軍事力強化を実現し、その経済力と軍事力を持って、世界制覇を企てているのだ。
　しかし、中国の１３億といわれる市場規模への魅力に引かれて、先進国は、中国にものを言うのを遠慮し、そのご機嫌をとり結ぶことばかりしか考えていない。
　これでは、中国はますます図に乗って勝手放題に振舞うのをてをこまねいて見ているだけである。尖閣問題は、その一端に過ぎないのである。
　その意味で、２１世紀の最大懸念国は中国である。
　村上新八

　野党は、「政治とカネ」の問題について、小沢を審問しようと躍起になっている。
　補正予算の審議時期でもあり、国内外の問題が山積しているときに、こんな問題に時間を潰され、審議が遅れるのは国民にとって、迷惑千万である。
　小沢は、検察審査会の「起訴すべし」の再決定で、起訴されているが、「自分は当然、無罪を勝ち取る」と言っているくらい自信があるのであれば、早く証人として国会に出て、ありのままを言うことくらいは何でもないはずではないのか。
　それが、小沢として今なすべき最善のことである。これ以上ごねて、貴重な時間をムダにしないように願いたい。
　村上新八

　鳩山前首相は、政治とカネの問題や秘書と議員の責任問題なとで、前言を撤回することがしばしばあったが、今度は、「政界から引退する」という発言を撤回すると言っている。
　「党の情勢がおかしくなったから、自分の役割を投げ出してよいのか、私が首相を辞めたときと状況が違ってきいているから、前向きに考えなきゃいけないのかな、と思っている」という理由である。
　「前首相として影響力を行使し過ぎてはいけないから、次の総選挙には出馬しないと」という発言とは逆である。
　判断力、先見力の弱さで、沖縄問題をのっぴきならないものにし、財源の見通しの悪さから、バラマキマニフェストを出した鳩山は、沖縄問題を解決する自信でもあるならともかく、もうやるべきことはないのである。
　村上新八

　中国ではも尖閣諸島問題を巡ってしつこく、デモや日系商店に対する暴動が続いている。
　これは、江沢民前主席時代の排日愛国教育によるものだという説もある。
　中国と日本とは隣国同士の経済大国であり、戦略的互恵関係を構築していくべき関係にあることが両国政府間で決められているのである。
　江沢民の言う「歴史認識」とは、歴史の教訓を踏まえて、その恨みを持ち続けることでなく、将来へ向かっての、強い互恵関係を築くことではなかったのか。
　他国の領土をよこせと、デモや暴動を起こすのは「ゆがんだ歴史認識」であり、かっての軍国主義日本の隣国侵略意識を踏襲するものであると言わざるを得ない。
　橋下大阪府知事は、「中国に対する信用は全くなくなった」「その信用度はゼロを通り越してマイナス２満点だ」と述べたが、全く同感である。
　村上新八

　尖閣問題が発生して２ヶ月にもなろうとしているのに、中国各地ではしつこく反日デモが続き、日系商店が破壊されている。デモのプラカ－ドの中には、尖閣だけでなく「琉球を奪還し沖縄を中国に返還させよ」という全くめちゃくちゃなものもある。
　中国ではデモはすべて許可制になっているから、当局がこれを抑えるつもりなら押さえられるはずだ。が、それをやらないのは、陰ではデモを煽っておきながら、政府は、それを沈静化させようと努力しているが、民衆を抑えきれないでいるのだ、という形にしようという意図があるからである。
　つまり「マッチ、ポンプ」作戦なのだ。こんな隣人を持つことは日本の大変な不幸である。
　しかし、こうなったら、こちらがカッカとなっては負けである。泰然として冷静に、平常心を保つのが賢明であろう。
　が、「中国人はそうていう人種であることをしっかり肝に銘じて、ゆめゆめ油断しないこと」が肝要である。
　村上新八　

　中国は尖閣諸島問題をきっかけに、日本に対してレアア－スの輸出を止めたが、それを機にＥＵに対する輸出も止めるという。
　レアア－スは、液晶パネル、ハイブリット車、の製造に欠かせない原料であるが、日本では、現在はその供給を９０％以上中国に依存している。
　このこと自体が異常である。普通は、部品生産を下請けに頼む場合でも、ストライキなどで、供給がストップするリスクを避けるために、２社発注というのが原則である。
　ましてや、何かと対日デモなどが多い、信用度の低い中国に必須の希少資源を１００％近く依存することはリスクが大き過ぎるのだ。
　その意味で、ベトナムとレアア－スの共同開発をすることは、遅きに失したとは言え良いことである。
　西沙、南沙など、他国の領土を奪い取ろうとする、収奪意図国中国に対して懸念を抱く国同士の連携を深める意味においてでもである。
　村上新八