本の紹介です。
宇佐美承著の「池袋モンパルナス（集英社）」。

　戦前、池袋に出現したアトリエ村。
　貸しアトリエが次から次へとでき、
　画家や彫刻家の一大集積地帯となります。
　その環境と関わりながら、
　よく知られる長谷川利行、靉光、松本俊介、丸木位里・俊などの
　画家が生まれていきます。
　著者は、当時を知る老画家たちを訪ね
　戦後にも受け継がれている
　西洋画壇の深層を浮き彫りにする証言を丹念に収集。
　
　　左翼労働運動、戦争翼賛などに揺れ動きつつ
　　絵画や彫刻にエネルギーを燃焼し続けた人々の群像を
　　描く長編ドキュメンタリー。
　　
　　団体展を軸とした日本の画壇の動きはそうした動乱の時代を
　　経て今日に続いています。
　　現代、そして今後の創作活動を見据える上で、
　　一読してみるのもよいと感じました。

　　著者は、元朝日新聞記者。
　　画家たちや画壇の活動記録であるとともに、
　　その時代の世相や人々の価値観を伝える一冊にも
　　なっています。