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配偶者からの暴力(DV)問題

配偶者からの暴力(DV)問題>掲示板

公開 メンバー数:29人

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  • from: 21世紀さん

    2009年05月31日 18時42分32秒

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    【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】

    2009.5.31 18:00
     裁判官から、「初等少年院送致相当」とする鑑別結果通知書や調査官の少年調査票のコピーをもらった付添人弁護士は、その内容を両親にも伝えてくれていた。事務所へ呼んでこれらの書類を読ませたうえで話しあっているようだったが、だいたい終電車がなくなるとのことだった。

     父親の暴力と母親の見て見ぬふりという「虐待」が子の性格を歪めてしまったという家裁側の指摘には、「しつけのつもりで始まったのに…」と激しいショックを受けるが、10年間の具体的な出来事を次々と掘り起こすと、子が「長男と差別されたうえ気まぐれな家庭内暴力にさらされ続けた」と被害的に受け止めているのはまことにもっともだと納得するらしい。

     そして、子には暴力肯定的価値観が染みついていて、今回の暴力(強盗致傷)もまるで反省できておらず、将来も暴力的非行を繰り返し、社会に迷惑をかけ続けるとともに、親に「復讐」し、結局刑務所暮らしの一生を送る心配があることに気付くと、子育ての失敗の恐ろしさに「呆然とする」らしい。今後どうしたらいいのかが話題になりかかった段階で、時間切れで審判を迎える。

     審判の日、付添人弁護士は裁判官にあいさつにくる。「親子には時間をかけて説明しましたが、どこまで理解できているかは直接お確かめください」という。

     そこで私は工夫した。審判の席で、少年と親に対し、家裁の調査結果を立会調査官に口頭で説明させるようにした。それは裁判官に提出してある少年調査票の内容をかみ砕いて伝えることであり、付添人弁護士に頼んだことと同じことである。

     少年調査票には、少年が非行に至った経緯や原因、少年と親が抱えている問題点とその改善の方策が克明に描かれているが、専門用語と抽象的表現が多く、決して分かりやすいものではない。

     それを少年と親に分かってもらえるように説明せよと命じたわけであるが、時間は無制限で、親子からの質問にも答えるように指示した。

     調査官による説明能力の差がピンからキリまであることが新発見だったが、調査官10人のうち9人までは、何とか30分程度で説明を遂げることができた。すでに弁護士から一通り聞いているだけに、親子からの質問も的確で、審判が面白いようにスムーズに進むようになった。(弁護士、元家裁判事 井垣康弘)

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コメント: 全8件

from: 21世紀さん

2009年06月14日 23時16分46秒

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「Re:【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】」
(39)「ねえ」「なあに」の親子関係を
2008.7.20 21:10
 田村裕著『ホームレス中学生』のお母さんの子育てを「母親の普通の愛情」だと説明させてもらった。すると、早速読者(母親)からお便りをいただいた。

 「紙面を読んでいる最中から涙があふれ、切り抜いて職場の昼休みにまた読み、1人声を押さえて泣きました。(育てた男の)子どもがそんなささいなことをうれしく思ってくれているとは知りませんでした。子どもにはお金を掛けるなど、特別なことをしてやらないとダメな親だと思い込んでいましたが、今まで自分が実際にしてきたことで良かったんや!と自信が持てました」

 このお便りは、うれしかった。田村裕少年のお母さんは、「子育て」をたっぷり楽しまれた。この読者も、ご自分のこれまでの「子育て」に自信を持つことで、今後の息子さんとの関係が豊かなものになり、かつそれが人生の楽しみの1つになるだろう。

 市民講座で、少年たちによる「リンチ傷害致死事件」について、具体的な例をあげて講演したことがある。5人組のうち4人が傷害致死で刑事・民事の責任を負ったが、1人はその場から逃げて、何の責任も負わなかった。その子は、険悪な雰囲気が高まり、今にもリンチが始まろうとしたその瞬間、「ボク、塾の時間や」とうそを付いて一目散に走り去った。

 講演のメーンテーマは、加害者4人と被害者遺族との間の謝罪や償いのための対話(修復的司法)であったのに、参加者からの質問は「どうすればそのような機転のきく賢い子どもに育てることができるのか?」と逃げた子どものことに集中した。「ごく普通に愛情をそそいで育てたら、子どもは非行に走りません」と力説したが、全く納得いただけなかった。

 『ホームレス中学生』が出版されたおかげで、親が楽しんで子育てしておれば、何の心配もいらないことを理解していただけたと思う。

 しかし、実際に「悩んでいる親」はたくさんいる。わが子の「非行」に悩んだ親たちの自助的活動の中から生まれたNPO法人に、非行克服支援センターというものがある。ここが、年3回定期雑誌の発行を始めた(私も編集委員である)。「ざ ゆーす」(新科学出版社、840円)といい、書店で注文もできる。

 創刊号は「子どもの問題と家族」を特集。その中の1つに、評論家の芹沢俊介さんの「子どもにとって家族とは」という原稿がある。小さい子どもが親の側に来て「ねえ」と言ったときに、今していることを止めて即座に「なあに」と対応すべきである。それをしないで、「ちょっと待って」と言い、結局そのままになってしまうことが積み重なると、子どもは「親ないし大人」を信頼しなくなり、その結果は恐ろしいとのことである。この話は良く分かる。一読を強くお勧めしたい。(弁護士、元家裁判事 井垣康弘)

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from: 21世紀さん

2009年06月14日 23時08分09秒

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「Re:【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】」
(38)天職得てアトピーも治る
2008.7.20 21:08
 16歳の高校生の少年。3歳上の姉は、利発で勉強も良くでき美しく、常に褒められ、かわいがられて育った。芸術系の大学生である。

 それと対照的に、少年は、小学校の低学年から勉強嫌いなうえ、高学年になるとアトピー性皮膚炎の症状が出始め、どうしても治らない。甘やかされているうちに地域の不良仲間と結びつき、中学生になると、一人前のワルに育っていった。

 学校には行っても、校内をブラついてトラブルを起こすだけ。学校に行かず朝まで夜遊びすることも多かった。高校1年生になってから窃盗などで逮捕され、少年鑑別所に入り、家庭裁判所に送られて保護観察の決定を受けた。

 鑑別所の検査で、知的能力がやや低めで、勉強が好きになれないのは仕方がないと分かった。それでは不良交友を絶たせるしかないと、親の決断で10キロ以上離れた隣の市に家族全員で引っ越した。全日制の高校も退学させ、通信制の高校へ移らせた。

 しかし、本人は不良仲間への未練が強烈で、親の目を盗んで毎晩のように遊びに行き、そしてすぐに窃盗などで逮捕され、また家庭裁判所に送られて鑑別所に入った。

 面会で父親は、「何考えてるんや。うそばかり言いやがって。何を信用したらいいんかわからんわ。お前には責任感というものがない。反省しているんか!」と怒鳴り付ける。少年はメソメソと泣くだけ…。

 審判で、少年を試験観察に付した。自宅から100キロほど先の工務店(従業員20人ほどの総合建築会社だが、宮大工も手がけ繁盛していた)に補導委託に出した(1日4500円ぐらいの委託費を支給する)。幸いなことに、少年は、ここで「天職」を見つけた。「これだ! ボクは大工になりたい! そうだ! ボクは大工になりたかったのだ! とうとう人生の目標を見つけた!」と。そして毎日、汗水垂らして大工見習いの仕事にいそしんでいる間に、不思議なことに重症のアトピーがほとんど治ってしまった。

 最終審判の席で、工務店の社長は「うちで大工見習いとして雇ってあげますよ」と言ってくれたが、本人は「不良仲間と本当に縁を切った姿を見せて、親を心から安心させたい。親元から通える大工見習いの仕事はないでしょうか?」と心許なげ。「いくら探しても、大工見習いの仕事が見つからないのです」と付添人弁護士と両親は嘆く。

 そこで裁判官がふと工務店の社長の方を見ると、「うちで探しましょうか?」と言ってくれた。業者仲間のコネがあるそうで、みんなが「ぜひぜひお願いします」と無理やり頼み込んで、審判は、保護観察継続で終了した。それにしても、5年続いたひどいアトピーがわずか4カ月ですっきりと良くなるとは驚いた。(弁護士、元家裁判事 井垣康弘)

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from: 21世紀さん

2009年06月14日 23時05分55秒

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「Re:【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】」
(37)父子キャンプで更正
2008.7.20 21:06
 私立高1年の男子生徒がバイクを運転していた男性を集団で襲い、3週間のケガを負わせてバイクを奪ったオヤジ狩り事件。少年は中学生のころから万引などを重ね、保護観察になって保護司の指導を受け始めて、まだ1カ月しかたたない。

 この件について、少年鑑別所の意見は「少年院送致」。理由は「著しい資質上の偏りがなく、就学意志が強いなど健全な構えはあるが、これまでのすべての非行が、父親に対する不満・不快感を発散させる目的で行われてきている。その分、自分自身が抱える問題に対する反省の意識が乏しい。この際、少年院で矯正教育を受けさせないと」とのこと。

 一方、学校の男性担任教師は「この子はまだ退学させるのは惜しい」との意向で、鑑別所に面会に通ってくれている。さらに保護観察所は「保護司との関係が良さそうで、引き続き面倒を見たい」と意見が分かれた。

 建築関係の自営業を営む父親は、少年が小学校4年生のころ、突然女性(現在の妻)のもとへ走った。別居状態だが、少年や大学生の兄、無職の母の生活費は届け、交流もある。しかし少年に言わせれば、「自分勝手なことをしたくせに口うるさく、父親面して一人前に説教だけはする」と不満たらたらである。

 神戸家裁は、そのころ恒例の「父子キャンプ」を企画していた。男性の調査官は、もし父親が都合を付けるなら、それに参加させる試験観察を行いたいとの意見。私は審判に来ていた父親に、「千載一遇のチャンスです。万難を排して、親子キャンプに参加してください」と促した。父親は「分かりました。仕事の調整はします」と言い切り、少年と父親のキャンプ参加が実現した。

 他の何組かの父子も一緒で、調査官や学生ボランティアも加わる2泊3日の高原キャンプが行われた(私は毎年このキャンプに、掃除担当か何かの肩書で参加させてほしいと頼むが、裁判官とバレたらキャンプが台無しになると調査官が強硬に反対し、実現しなかった。調査官の「専門ばか」であろう)。

 少年にキャンプの感想を聞くと「3日間、他の子や父親と一緒に遊んでいる間に、うちのお父さんとも仲良くなりました。うれしかったです」とのこと。目付き顔付きがまろやかになっていて、私もしんみりした。

 保護観察のことを聞くと「土曜日の午前11時に保護司宅へ行く。60歳過ぎの人だが、最近ハーモニカの練習を始めて、合唱団にも行くらしい。奥さんが手作りの食べ物を出してくれ、一緒に3人で1時間半くらいおしゃべりする。楽しい」とのこと。母親の話では「保護司と会ってきた日は、夜寝るまでホンワカとした平和な風情でいる。最近大人の男性に向けるまなざしが優しくなってきているように思う」とのこと。再度の保護観察決定で審判を終了させた。(弁護士・元家裁判事 井垣康弘)

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from: 21世紀さん

2009年06月14日 22時59分46秒

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「Re:【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】」
(108)「世の中は強いもの勝ち」と言い放つ少年
2009.6.14 18:00
 私が裁判官を務める審判廷で、調査官は、身を乗り出すようにして、バイク強盗の中学2年生の少年と語り合う。

 少年は、他人の物を盗ることについて、悪いことと思っていなかったという。「だって、つい最近まで、ぼくも同級生からいつも小遣いを召し上げられていたモン」とのこと。

 バイクは乗り回すために奪うのだが、鍵付きのを盗ったり(占有離脱物横領)、錠を壊すなどしてこっそり盗る(窃盗)のは「ダサい」らしい。

 大人の男性が走っているところを止めて、「貸せ」と命令して脅し取る(恐喝)のが気持ちがよい。相手が素直に従わなかったら、殴り倒して奪う(強盗)が、これが最高にスカッとする。相手が気絶している姿を見ると、自分が大人より強いということを実感でき(ボクシングで相手を1発でノックアウトしたシーンを思い描いているようだ)、仲間からも「度胸がある」と称賛されたそうだ。

 意外なのが、相手のけがの程度に全く関心がなく、重い後遺症があったり死亡させたりすると、超高額の賠償金の支払い義務があると説明しても、「ポカン」としている。このあたりが、いかにも中学生だ。

 調査官が「バイクを差し出さないからといって、相手を殴ったりけがをさせたりすることは大変悪いことだと思わなかったのか」と追及すると、「だって、ぼくもいうことを聞かないと、父親から(たまには教師からも)殴られ続けてきましたから。相手にいうことを聞かせるためには、腕力に訴えるのが正しいと思っていました」との返事。

 殴られ、けがをさせられてバイクを盗られた相手が、どれほどみじめで辛く悲しい気持ちでいるか想像できませんか-と調査官が質問するとこう答えた。

 「父親から張り倒されて泣いていても、母親や兄弟も、ぼくの気持ちには無関心でした。ダメな人間だ、死んだ方がマシだと思うようになってきましたが、誰もその気持ちを聞いてくれませんでした。弱くてやられている者の気持ちなんか誰も気にしていないと分かりました。強くなりたい、人に勝ちたいということがぼくの生きる目標になりました。そして、ある日、ぼくの1発がオトンのあごに決まって倒したのです。その日から、ぼくは家の中で1番強くなったのです。世の中は強いもの勝ちだ、自己責任だと知ったのです」

 調査官との問答は、まだまだ続く。

 (弁護士、元家裁判事 井垣康弘)

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from: 21世紀さん

2009年06月02日 00時00分48秒

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「Re:【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】」
(60)ゴルフ漬けで人格矯正
2008.8.24 15:39

このニュースのトピックス:刑事裁判
 中学3年生の夏まで、勉強は大嫌いだったが、部活のバスケットボールには積極的に取り組む「エース」だった。

 しかし、その夏でクラブが終わると、別の目標が見えなくなった。「どうせ勉強は分からないのだから、不良になろう」と心に決め、地元にうようよいる暴走族に積極的に近づいていき、高校へ通う一方で、集団暴走に参加するほか、いろいろな悪いことをやった。

 会社役員の一人息子だったが、突如非行に走り始めたわが子に対し、父親は体罰も辞さず強力に指導しようと努めたが、本人は反発して、ますます深みにはまっていった。

 幸いというか、高校1年生の夏に、集団暴走と無免許運転で捕まり、鑑別所に入り、家裁で保護観察にしてもらったのであるが、高校を退学させられたのが痛手で、親や保護司の指導が全く機能しなかった。無免許なのに、普通四輪自動車(それも無車検・無保険のもの)を入手して平然と運転を繰り返し、当て逃げ事故を2度してようやく捕まった。前回から約1年経っていた。今回は、関係者の意見はすべて少年院送致であった。

 例えば調査官の意見は、「父母や保護司からの再々の忠告を堂々と無視し、社会的常識から大幅に逸脱した危険な行為を繰り返しており、本人の問題性は深刻であって、直ちに矯正されなければならない」というものであった。

 ご両親も、本人を不良仲間から切り離し、整った環境のもとで1年ほど厳しい教育を受けさせる必要があることを認識しておられた。だから審判の日、鹿児島のゴルフ塾の塾長を連れてきておられた。

 私は、審判の席で、この塾長の教育方針をじっくり聞いた。そして、4カ月間、少年をこの塾に預けてみることにした。

 塾長からは、少年の毎日の行動観察の記録と毎月の「総評」が届いた。ゴルフの練習漬けの毎日であるが、少しずつ「わがままが修正されていっている」のが分かった。鹿児島の保護司が「旅行中」の少年に月3回、熱心に接触してくれていた。調査官も調査に行って、「経過が良い」と報告してくれた。

 私は、鹿児島家裁へ出張し、審判を開いて、「少年を鹿児島保護観察所の保護観察に付する」との決定をした。少年は、「涼しい目」で、プロゴルファーを目指すと言っていたが、どうしているだろうか。(元家裁判事、弁護士)

      ◇

 ご意見・ご感想をお寄せください。電子メール(o-yukan@sankei-net.co.jp)かファクス(06・6633・9693)で、総合編集部「君たちのために」係へ。

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from: 21世紀さん

2009年06月01日 23時59分15秒

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「Re:【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】」
(59)更生の鍵は親子の意思疎通力
2008.8.24 15:16

このニュースのトピックス:刑罰
 少年が非行を繰り返している時期は、親子が一緒に食事をとるということさえも崩れており、母親が呼び掛けても「うるさい! ババァ!」と一蹴(いっしゅう)され、親子のコミュニケーションがまるで取れていないケースがほとんどである。

 非行少年は、なぜか「自分だけは捕まらない」と自信満々なのだが、実際にはほどよいタイミングで捕まるものである。そして、警察で調べられた後、在宅事件として家裁へ送致されると、親子が一緒に呼ばれ、家裁調査官の面接を受け、いろいろと事実上の指導も受ける。その後、書記官から呼び出されて、裁判官である私が主宰する審判廷へ来るまでに、多少の日数があるので、その間に親子関係が随分回復している場合が多い。

 審判廷で親子は私と対面して座るが、私とやり取りするだけでは、親子のコミュニケーション力の回復具合がわからない。それを確認したいので、「話題は何でもよいので、3分ほど、親子で話し合って下さい(お芝居してください)」と指示することが多かった。

 大阪教育大付属池田小学校児童殺傷事件の宅間守に対して大阪地裁の死刑判決があった翌日の審判のことである。

 私の指示に応じて、母親が口火を切った。相手は万引を繰り返して審判を受けることになった長男である。

 「昨日あんたと一緒に池田小学校のテレビ見たけど、お父さんかわいそうやったな…」と語りかけた。

 息子は、「あんな親、全然かわいそうなことない。腹立つばっかりや…」と返す。「えっ!」と絶句する母親。

 昨夜晩ご飯の時に一緒に見たテレビに、遺族と宅間の父親の双方が映っていたようで、聞いていた私と書記官は、「同じ親でも、被害児童の父親と加害者の父親とがごっちゃになっている」とすぐに気付いて、「取り違えていますよ」と指摘した。

 すると、母親が、「あっそうだ。あんたは犯人の立場やもんな…。それで『お父さん』というと宅間の父親のことが頭に浮かんだんやね…。納得しました」と言った。審判廷は思わず大笑いの場となった。

 少年本人は、大いに照れて笑いながらも、「犯人は犯人でも大量殺人の宅間とたかがこそ泥のボクを一緒にせんといてほしいわ…」と大いにぼやいた。期せずして、この母子のコミュニケーション力は大丈夫と分かり、私は安心して「不処分」の決定をした。(元家裁判事、弁護士 井垣康弘)




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from: 21世紀さん

2009年06月01日 00時48分43秒

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「Re:【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】」
(57)更生願いセーター編む
2008.8.24 15:14
 14歳になったばかりの中学2年生が「ひったくり」をした。先輩から「スリル」があると聞いて興味を抱き、1度やってみたいと思っていた。

 夏休み前、学校からの帰り道に、電車の踏み切りで待っているとき、前におばあさんがいた。右手にハンドバッグを持っている。遮断機が半分上がったとき、走り始めながら左手でバッグをひったくった。10メートル先で角を曲がり、必死に走って逃げ去った。

 おばあさんが「ドロボー!捕まえてー」と叫ぶ中を走って逃げたのであるが、スリルがあり過ぎた。家に帰りつくや「ゲーゲー」と吐いた。2度とやる気にはならなかった。

 バッグの中には15万円も入っていたが、親にバレるのが怖くて1銭も遣えなかった。だからお金は全部バッグに戻して、庭の倉庫の奥に隠しておいた。

 この事件を「内証」で友達に話してしまうのが子供である由縁だ。同級生が何人も倉庫のバッグとお金を見に来た。お金を分けてくれという者もいたがそれは断っていた。

 半年後、バイクの無免許運転で摘発された友達が、警察にこのひったくりの件を話した。該当する被害届も出されていたため、この中学2年生は何と逮捕され、倉庫も捜索されてバッグが押収された。

 被害者のおばあさんは、元小学校の教師で68歳だった。加害者の顔はよく見えなかったが、背丈や年格好はしっかり分かっていた。中学1年生か2年生と見当もついていた。同じ年頃の孫も3人いて、加害者のことが気になって仕方がなかった。右手にバッグを持っていた自分が招いた事件だと思い込んで、鬱々(うつうつ)とした気分になった。15万円も入れていたから、味を占めた加害者が犯罪を繰り返していないかも心配だった。

 「1日も早く捕まってほしい」と「願を懸け」、編み物の特技を生かし、日数を掛けて加害者のセーターを編んだ。

 被害者の祈りが通じたのか、再犯もなく半年後加害者が捕まった。弁護士と母親が謝罪に来たので、被害者は半年間の辛かった気持ちを説明してセーターを手渡した。

 少年は、セーターを持って審判廷に来たが、半年で背丈が10センチ伸び、体重が15キロも増えたので、首周りが苦しくて着れませんと言う。私は「被害者のおばあさんに頼んで縫い直してもらいなさい」と助言した。(元家裁判事、弁護士 井垣康弘)




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from: 21世紀さん

2009年06月01日 00時46分21秒

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「Re:【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】」
】(58) 読書が変えた価値観
2008.8.24 15:15

このニュースのトピックス:強盗事件
 8年前、家裁の裁判官として、私が少年院送致を決めた少年に対する「収容継続」の審判をするため、少年院を訪ねた。少年は20歳を超えており、収容延長を認めるためであった。

 高学歴家族の二男で、知能にも恵まれていたが、ひどいいじめを受けたのをきっかけに、「強くなろう」と決意し、地元にゴロゴロいる年長の不良集団にくっついて回り、非行を重ねた。そして初等少年院(短期)に入ったが、全く改まらず、引き続き不良仲間の間で「のし上がろう」として、走っている自動車を止め運転手に暴力を加えて現金を奪うという強盗事件を重ねた。審判での印象は「きわめて自己顕示欲が高い」というものであったが、ご両親も「家の中では何もしゃべらず、外ではむちゃくちゃな行動を重ねるわが子の心の中がまったく分かりません」とガックリ肩を落としておられた。

 1年ぶりに会ってみると、刺々しい目つきがずいぶん柔らかになっており、寡黙だったのがペラペラよくしゃべるようになっていた。ご両親も「最近は、この子の心の中が大体分かってきています」とニコニコして安堵(あんど)の表情だった。

 少年院での、どのような教育が功を奏したのだろうと思い、いろいろ尋ねてみた。

 「ボクは今でも自己顕示欲が強いのです。認められたいのです」と本人が言うので、それはそうなのだろうが、どうも認めてほしい相手が180度変わったようだ。それが以前は地元の不良仲間だったが、今はお父さんやお母さんやお兄ちゃん、元働いていた鉄工所のおっちゃんなど、真面目にコツコツ生きている人たちに転換している。

 では、なぜそういう方向へ転換したのだろうか。さらに聞いてみると、「最近、被害者や遺族の方々の書かれたご本を次々と読んでいます。もう15冊くらいになりますが、今は『天国からのラブレター』(山口県光市事件の本村洋さん著)を読んでいるところです」と言う。「本当?」とビックリして、読んだ本の名前を言わせてみると、全部スラスラと言うではないか。

 どうやら、担任の先生が、被害者の視点に立って、自己の犯罪行動や価値観の見直しをさせようとして、そのような本の読書を薦めたところ、本人が気に入って、次々と読み進めているようだった。「自分がしてきたことを考えると辛いのですが、これらの本を読むと、世の中がまるで別の世界に見えてきて、とても面白いです」と本人は言う。ともあれ、よかった。(元家裁判事、弁護士 井垣康弘)




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