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  • from: 21世紀さん

    2009年06月29日 08時02分37秒

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    改正育児休業法は守られるのか

    2009年6月25日
    (前屋毅=ジャーナリスト)

     「育児切り」が問題となりつつあるなかの4月21日、「育児・介護休業法」の改正案が閣議決定され、国会に提出となった。改正案には育児休業の延長や残業免除、短時間勤務制度の義務化などを盛り込んでおり、政府は今国会中の成立を目ざす。子育て支援では大きな一歩となる法案だが、その実施をめぐっては企業現場での混乱も予想される。

    「育休切り」が横行する現実
     昨年(2008年)末に「派遣切り」が世間の注目を集めた一方で、「育休切り」という現象も起きていることはご存知だろうか。業績不振で人件費を削りたい企業側が、育児休業中の正社員を解雇したり、非正規社員に追いやるケースが続出しているのだ。厚労省がまとめた育児休業に関する不利益取り扱いの相談は、2008年度(08年4月〜09年3月)は2月までに1107件と、前年度の882件と比べ大幅に増加している。

     改正前の「育児・介護休業法(育児休業介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)」では、子どもが原則1歳になるまで休業できると定め、育児休暇取得を理由として解雇を禁じている。しかし実際には、子どもが1歳になるまで育児休暇をとっていると、産休前の職場への復帰は認められず「閑職」に追いやられるケースが少なくない。

     そこで子どもを持つビジネスパーソンは1日でも早い職場復帰を目指すことになるが、子どもを安心して預けられる恵まれた環境にあるケースは必ずしも多くはない。核家族化が進んだ現在では祖父母が同居しているケースはまれだし、保育園に預けようにも待機児童が多い現状では思うようにいかない。やむをえず悪化した条件で働くか、退社するしかないのが現状だ。しかもこの状況は、景気の悪化でさらに拍車がかかっている。

     企業にとっては育児休業している社員は「戦力外」でしかない。育児休業が明けて復帰しても、ブランクがあるために「即戦力」にはなりにくい。くわえて、小さい子どもの世話をする必要があるため、残業もさせにくい。企業側にしてみれば効率の悪い雇用で、「辞めてもらう対象」となる。育児休業の申し出や取得を理由に、解雇や契約の延長をしない「雇い止め」、退職勧奨、減給など、さまざまな方法で「追い出し」がはかられているのだ。景気の先行きが見えないなかで、やり方はエスカレートする一方である。
    改正案は現実的か
     「育休切り」の実態のひどさに、厚生労働省も黙っていられなくなった。そして、「育児介護休業法」の改正にのりだしたのだ。改正「育児介護休業法」では、これまで子どもが1歳になるまでという育児休業の期間を1歳2カ月まで延長する。そして、休業中の待遇や休業後の賃金などを明示することも企業に義務づける。さらに3歳未満の子どもを養育している親が申請した場合には、短時間勤務や残業免除も認めることを義務づける。

     こうした改正案が国会に提出されると、さっそく民主党から修正案が提出された。その修正案には「第一」として、「法律の題名を『労働者の職業生活と家庭生活の両立を支援するための育児休業、介護休業等に関する法律』に改めるものとすること」とある。法律をつくる側にとっては意味のあることなのかもしれないが、国民の側からしたら、そんな呼び方などどうでもいい。肝心なのは中身だ。

     民主党の修正案で大きいのは、「育児休業の対象となる子の範囲」を「小学校就学の始期に達するまで」としていることだ。つまり、現行の1歳、政府案の1歳2カ月を大幅に拡大して6歳にしようというのだ。さらに短時間勤務や残業免除も、政府案が「3歳未満の子を養育する労働者」としているのに対して、民主党は「小学校4学年の始期に達するまでの子を養育する労働者」としている。

     政府の改正案と民主党の修正案には、あまりにも大きな開きがある。育児休業についての政府案の「1歳2カ月」は、あまりにも付け焼き刃過ぎる。たった2カ月延長したからといって、それによって状況が大きく変わるとは考えられない。私立幼稚園でも2歳児クラスの設置が広がるなど、教育・保育現場での受け入れ拡大の努力は続けられているが、待機児童問題を解決するには、まだまだ道のりは遠い。育児休業が2カ月延長されたからといって、あまり問題の解決にはならない。

     民主党の「小学校就学始期」は、親にしてみれば願ったりの案ではある。小学校にはいれば、学童保育などそれなりの体制も整えられているからだ。しかし、企業にしてみれば「戦力外」の社員を6年間も抱えなければならないことになる。とても喜べる案ではない。もしも民主党の修正案が成立すれば、企業は特に女性の雇用には慎重になり、現場では巧妙で陰湿な「育休切り」が横行する可能性は否定できない。

    何を解決しなければならないのか
     去る6月16日の衆議院本会議では、「育児・介護休業法」の改正案は勧告に従わない違反企業名の公表措置を前倒しで実施することなどで与野党が 合意したうえで、全会一致で可決となった。改正案は参議院に送られ、今国会で可決される。これで、3歳未満の子どものいる従業員に対する短時間勤務や残業 免除の義務を企業は負うことになる。この義務化によって、制度としては進歩することになる。義務化しなければならないのは、これまでの制度がじゅうぶんに 普及していないかった証拠でもある。
     悩ましいのは、この義務化によって企業側の負担は大きくなることだ。短時間勤務や残業免除の制度を利用する社員がいれば、それによって不足する 労働を補うために、他の社員の労働時間を増やすか、新たな労働力を雇い入れなければならないのは自明だ。すでに、そのための要員を配置する制度を導入して いる企業もあるにはある。しかし、負担が大きくなる制度を、どの企業でも喜んで受け入れられるわけではない。

     社名公表という罰則はあっても、積極的に社員に制度の活用をうながす企業が増えていくのかどうかも疑問だ。2006年に施行になった改正高年齢 者雇用安定法のことを思い出してみるといい。定年後も働けるように雇用延長の制度導入を法律的に義務づけたものの、結局は重要な仕事も任されず「飼い殺 し」にされているような状態で、自主退社を選ぶ高年齢者が多い。

     それと同じで、短時間勤務の制度があるからといって、それを利用すれば社内で肩身の狭い思いをすることになり、結局は退社に追い込まれてしまうことになりかねない。「育休切り」にくわえて、「短時間労働切り」や「残業免除切り」という状況が起こりうる可能性があるのだ。

     育児を「働く」うえでの負担にしないためには、ただ労働時間を短縮する制度の導入では解決しない。いちばんの問題は、事業所に行かなければ仕事 ができない慣習的な制度にこそある。自宅で仕事ができれば、育児と仕事を両立させる可能性も高くなる。インターネットの普及などで在宅勤務が可能な環境は 大きく進化しているにもかかわらず、それを企業は積極的に活用しようとしていない。社員の「管理」を重視しているからである。

     そうした「慣習」に固執すれば、育児休業の期間が伸び、短時間労働や残業免除が義務化されれば、ますます職場は混乱するだけのことだ。その混乱 を防ぎ、なおかつ仕事の効率を上げていくためには、在宅勤務など事業所に行かなくても自宅で仕事のできるシステムを積極的に取り入れていくことだ。それも 含めて、根本的な働き方の見直しを、育児介護休業法の改正を機に、企業はやるべきではないだろうか。

    前屋 毅(まえや・つよし)
    1954年生まれ。『週刊ポスト』記者を経てフリージャーナリストに。企業、経済、社会問題をテーマに執筆している。著書に『全証言 東芝クレーマー事件』『安全な牛肉』(いずれも小学館文庫)、『成功への転身──企業変質の時代をどう生きるか』(大村書店)、『ゴーン革命と日産社員──日本人はダメだったのか?』(小学館文庫)、『学校が学習塾にのみこまれる日』(朝日新聞社)などがある。

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