東出雲両親殺害　家庭内暴力「心配だった」


東出雲町揖屋町東町の無職須山光生さん（７２）と妻八重子さん（６８）の２人が１２日未明に自宅で遺体で見つかった殺人事件。長男（４０）が金属バットで殴り殺すという悲惨な出来事に、近所の住民たちは「何十年も大きな事件などない静かな地域だったのに」と不安そうな様子。早朝の住宅街に衝撃が走った。

　現場は、町役場の北東約５００メートルにある閑静な住宅街。北には中海につながる東部承水路が流れ、周りに田園が広がっている。３０年近く前に宅地開発された地域で、須山さん一家もその頃に引っ越してきたという。

　近くに住む自営業の男性（６６）は「須山さんは寡黙な人で、奥さんは対照的によくしゃべる人だった。こんな事件が起きるなんて」と肩を落とした。

　長男は移り住んできた当時は近所の人たちとも気さくに会話をしていたが、最近は統合失調症を患い、母親に付き添われてタクシーで通院していたという。

　昨年まで須山さん宅の近くに住んでいたという男性（４４）は、須山さん家族と親しかったというが、「最近は長男が家庭内で暴力を振るったりすると聞いていたので、心配していた」と話す。前日の１１日朝には、長男が自宅そばの自動販売機で飲み物を買っている姿を見かけたといい、「昨日はかなり早歩きだった。今思えば様子がおかしかった」と振り返った。

　近くに住む主婦（７４）は「ここ３０〜４０年は大きな事件などなかった静かな場所。変質者などの情報もなかったし、安心していたのに、びっくりした」と話した。

（2010年10月13日 読売新聞）