金正日死去に伴う北朝鮮の論議をみていると、継承者として金正日から指名されている三男の金正恩が「体制をうまく継承できるか」「北朝鮮の体制は安定を維持できるか」「未熟な金正恩が軍や党、政府を統率できるか」などの論議ばかりで、飢餓に喘いでいる人民がどうなるかについての論議は置き去りにされている感がある。
　この論議は、「先軍主義」で軍を引き付け、軍と警察力、即ち「相互監視と密告体制と強制収用所制度」で、恐怖政治を強いてきた金体制が維持、温存されることが、朝鮮半島安定の姿であると認識しているようなスタンスである。
　北朝鮮では今年も不作で、食料不足は一層深刻になっている上、食料配給制度は完全に崩壊し、人民は、カネも持たずに、各自勝手に、食糧を工面しなければならない状況に追い込まれているというのに、その論議は置き去りで、恐怖政治体制維持の成否ばかりが論議されていいる。
　勿論、政治体制の如何が、人民の生活に影響してくることは確かではあるが、メタボの金正恩よりも骨と皮になっている何百万の女子どもの心配が先ではないか。
　村上新八