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弥生の河に言の葉が流れる

弥生の河に言の葉が流れる>掲示板

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  • from: yumiさん

    2010年05月31日 09時35分59秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第二章〜・5・
     
     肩で息をし始める友梨(ゆうり)は眉間に皺を寄せ、じっと先方の出方を見る。
     相手美波(みなみ)はニッコリと微笑んではいるが、友梨と違い息一つ乱れていない。

    「……美波……あんた…。」

     ギロリ、と妹を睨む友梨だったが、唐突に下の階から聞こえた爆音に目を見張った。

    「な、何!!」
    「ごめ〜ん、お姉ちゃんちょっと失敗しちゃった。」

     下から聞こえる暢気な声に、友梨は顔を真っ青になせる。

    「あんた何をしでかしたのよ――!?」
    「え〜、だから、ちょっとだけ。」
    「……。」

     結局下の階にいる智里(ちさと)が何をしでかしたか分からない、友梨は最悪な事態を考えてしまったが、慌てて首を振った。

    「お姉ちゃん、まだ下に残ってるから、わたしはいけないからね〜。」

     まるで、上の状況を把握しているような智里に友梨は顔を更に引き攣らせる。

    「……っ!」

     美波から完全に意識が遠のいていた友梨は自分の頬から感じた痛みに、顔を顰めた。

    「……美波。」

     自分の頬から滴り落ちる血を拭い、友梨は傘を構えた。

    「あんた、油断も隙もないわね。」
    「……。」

     ニッコリと微笑む美波はあどけないものだが、それでも、友梨はいつもの妹の笑みじゃない事に吐き気を覚えた。

    「どうしてこんな事になったのよ……。」

     弱音を吐きたくて吐いている訳じゃないのだが、それでも、友梨の口からポロリと言葉が漏れた。

    『それは【ゲーム】だからに決まっているじゃないか。』

     ふっと聞こえてきた幻聴に、友梨は苦虫を百匹ほど噛み潰した表情をした。

    「何でこんな時に、あんなヤツの事を考えないといけないのよ!」

     ザッ

    「――っ!」

     美波の手に持つカッターナイフが避けたが、微かに掠った友梨の髪を数本ほど地面に落とす。

    「あっぶな……。」

     あとちょっとで顔に傷を残す所だった友梨は涙目で美波を睨んだ。

    「ちょっと、美波さっきのはかなり危なかったんだけど?」
    「……。」
    「どうせ言っても無駄か。」

     ニッコリとしか微笑まない妹に友梨はとうとう溜息を吐いた。

    「分かったわよ、それじゃ、あんたを気絶させて、ゆっくりと智里と対面してもらうわよ。」
    「……。」

     一瞬美波の笑みに動揺が走ったような気がしたが、友梨は一瞬の判断で、それを勘違いだと思うようにした。

    (まさか、智里が洗脳されても恐いんだったら、どんだけ、美波は智里を恐れているんだか……。)

     まさか、だと笑い飛ばしたいが…、まあ、やはりというか、友梨の頭の一部ではそれを納得していたりもするが、それは智里には内緒の話である。
     友梨は床を蹴り、右の傘で鋭い突きを繰り出すが、それは見事に美波にかわされる。しかし、次の瞬間――。

    「――っ!」

     美波は行き成りの友梨の蹴りをモロに喰らい、壁に激突した。

    「残念だったわね。私の本命の攻撃は蹴りだったの。」
    「……。」

     美波はしばらくの間、全く動かなかった。

    「美波?」

     さすがに、一分ほど経っても動かない妹に、友梨は戸惑いを隠せなかった。

    「だ、大丈夫?」

     友梨が美波に近付き、しゃがみ込んだ瞬間、耳元に虫の羽音が聞こえた。

    「〜〜〜っ!!む、虫!!」

     瞳を白黒させ、友梨は思わず後ずさった。
     目を必要以上に大きくさせた友梨の瞳に、真っ黒な小さな虫が映る。

    「…………。」

     虫はしばらく彷徨うと、スッと美波の腕に止まり、美波の先程まで閉じられた瞳が開いた。

    「え……。」

     信じられない光景だったか、それでも、美波を洗脳から解き放つ方法を見つけ、小さく友梨は口の端に笑みを浮かべた。

    「美波、今助けるからね。」

     友梨は真直ぐに黒い虫だけを見つめたのだった。

    〜つづく〜
    あとがき:次載せられるのは、多分木曜日あたりになりそうですね……。は〜……二章なんかいように多いような……。気のせいかしら?

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  • from: yumiさん

    2010年05月30日 10時36分53秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第二章〜・4・

    「はあ……はあ……いい加減にしなさいよね。」

     友梨(ゆうり)はじっと暗闇の向こうに潜む、一人の少女を睨んだ。

    「……。」

     少女の口元に笑みが浮かぶ。

    「いい加減に元に戻りなさいよ!美波(みなみ)!!」


     何でこんな事になってしまったのか、友梨は分からなかった。それでも、少し時間を戻そう、そう、あの時、蜂の集団に襲われたところから……。


    「ばーか。」

     智里(ちさと)のその一言で、友梨は恐る恐る彼女を見た。

    「こんなのは、これで十分よ。」

     シャキーン という効果音とともに、智里は殺虫剤を取り出した。

    「智里…今それ何処から取り出したの?」
    「企業秘密。」

     何処からどう見ても、ポケットから取り出したように見えるが、それはどう考えてもおかしかった。なぜなら、先程までポケットは膨れては居なかったし、それに、殺虫剤はかなりの大きさだった……。
     友梨はそう思っているのも、つかの間、二階からガラスが割れる音がした。

    「……。」
    「……。」
    「…お姉ちゃん、ここはわたしに任せて、上に行ってきて。」
    「でも……。」
    「大丈夫よ、お姉ちゃん虫苦手でしょ?」

     友梨は顔を引き攣らせながら頷いた。

    「だったら、上に行ってきて。どうせ、お姉ちゃんが居ても邪魔なだけだし。」
    「……それが、本音ね…。」

     智里の言い分にようやく納得した友梨は身を翻した。

    「分かった、智里も気をつけて!」

     友梨は床を蹴り、外に出て行った。

    「……誰に言っているんだか。わたしがやられる訳ないじゃない。」

     不敵に微笑む智里は真直ぐに敵――蜂を見据える。

    「さあ、かかってきなさい、虫けらども。」

     智里は武器――殺虫剤を構え、そして、果敢に戦い始めたのだった。


     一方、友梨は二階への階段を上ろうとするが、彼女の視界に傘立てが映った。

    「……武器くらい、あった方がいいよね。」

     友梨は傘を二本手にし、右の一本をゆっくりと振り下ろした。

    「……よしっ!」

     気合を入れた友梨は真直ぐに階段を見つめた。

    「………あっ…、敵が虫以外…は虫類以外だったら…いいな。」

     友梨は虫やは虫類、両生類などが苦手だった。だが、今はそんな弱音を吐いても仕方がないので、友梨は恐れを抱きながらも、ゆっくりと階段を上っていった。
     そして、一番上の踊り場まで着いた友梨は目の前にいる「敵」を見た。
     薄暗くってそれが人だとしか分からなかった。
     目の前の人が友梨に一歩、一歩近付いてくる、そして、その人は月明かりの射すその場所で立ち止まった。

    「――っ!何で……。」

     友梨の目の前に立っているのは、彼女の妹である美波だった。

    「美波!!」

     友梨は妹の名を叫ぶが、少女はニッコリと微笑んでいるだけで何も喋ろうとはしない。

    「………どうして…。」

     何にも喋ろうとはしない美波に友梨は戸惑いを隠せないでいた。
     美波の口がゆっくりと動く、声は発していないが、友梨は彼女が何と言ったか悟った。

    『てきは はいじょする てきは はいじょする………。』

     ニッコリと同じ言葉を繰り返す少女ははっきり言って不気味だった。

    「……………美波。」

     静かな声音で友梨は彼女の名を呼ぶが、それは通常よりも固い声音だった。

    「……。」

     口を動かすのを止めた少女はニッコリと微笑みを浮かべる。

    「――っ!」

     刹那、美波は尋常じゃない速さで、友梨に襲い掛かった。

    「美波!!」

     友梨は反射的に身を沈め、美波の手が友梨の顔のあった位置に突き出された。

    「……やるしかないの?」

     友梨は体を素早く反転させ、美波に蹴りを喰らわせる。

    「………妹だからって、私が遠慮するのは間違いだからね。」

     いつもなら、たとえ妹に蹴られようが、叩かれようが、一応はやり返さない友梨だったが、今回ばかりは違い、傘を剣のように構えた。

    「妹だからって、容赦はしない!!」

     友梨は床を蹴り、美波に攻撃を仕掛けていった。
     しかし、美波と攻防を繰り返す、友梨だったが、彼女の顔に疲労の色が見え始めるが、美波の方にはそれが見受けられなかった。

    「はあ……はあ……いい加減にしなさいよね。」

     と友梨は冒頭の言葉を口にした。

    〜つづく〜
    あとがき:ゆう(友梨)ちゃんVSみな(美波)の戦いが始まりました。
    ………訪れてくれる人が多いのは嬉しいのですが、皆さんが喜んでくれているのか、少々不安に思っています……、もし、何か申したいことがあれば、何でも言ってきてください!!(切実)

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  • from: yumiさん

    2010年05月29日 10時21分04秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第二章〜・3・

    「それにしても、何で私たちがこんな目に遭うのよ。」
    「まあ、そう思うのは同然よね。」

     友梨(ゆうり)の言葉に智里(ちさと)が小さく頷いた。

    「まあ、わたしをこんな目に遭わすんだから、絶対にそれ相応の復讐……じゃなかった、罰を与えないとね。」
    「………いや、どっちもやばいって…。」

     黒い笑みを浮かべる智里に友梨は頬を引き攣らせる。

    「もともと、あっちが手を出してきたのだから、これくらいの仕打ちは当然の事じゃない?」
    「……。」

     友梨は乾いた笑みを浮かべる事しか出来なかった。

    「まあ、この問題は後回しにしましょうか?」

     智里は何かを感じたのか、二つの色違いの携帯を一瞥した。
     その携帯はあの【ルーラー】が用意したモノで、一応、青色が友梨、白色が智里のものとして分けた。

    「智里?」

     友梨が声をかけるのと同時に、それは「ピリリリ…」と短い音を立てた。

    「――っ!」
    「やっぱりね。」

     智里は慣れた動作で、携帯を開き、そして、先程届いたメールに目を通した。

    「……。」
    「…智里?」
    「お姉ちゃんももて見たら?どうせ、内容は一緒だと思うけど。」

     友梨は何にも答えようとはしない智里を見て、小さく溜息を吐いた。

    「教えてくれたっていいじゃない。」

     文句を言いながらも、友梨は携帯を開き、智里と同じようにメールを読んだ。


    《やあ、早速だが、第一ステージを開始してもらうよ。
     今回のゲーム内容は簡単だ、わたしが用意した【傀儡】と遊んでもらう。
     さあ、君達は生き残るかな?
     では、諸君らの健闘を祈る。》


    「……何これ?」
    「さあ、わたしだって何でもかんでも知っている訳じゃないのだから、聞かないでよ。」
    「……。」

     智里が言うのももっともな事だが、それでも、友梨は「こいつなら絶対に何が起こるか予測しているんじゃないか」と思ってしまうのだった。

    「……っと、おしゃべりはここまでみたいね。」

     智里は口元に笑みを浮かべ、そして、勢いよく立ち上がった。

    「お姉ちゃん!危ないからどっか避けて!」
    「ちょっ!」

     驚く暇も与えず、友梨の言葉とともに、彼女の後ろの窓ガラスが砕け散って、寸前の所を友梨は持ち前の運動神経で回避できた。

    「運動神経だけはいいんだね。」
    「運動神経だけ、じゃないわよ!」
    「あら、そうだったかしら?」
    「……。」

     こいつ嫌い、と友梨は思うが、これは自分の妹であるから、家族という関係は切っても切れない。
     友梨は体制を整え、振り返り固まった。

    「………………っ〜〜〜!」
    「見事にお姉ちゃんの苦手なものね。」

     無表情のまま溜息を吐く智里とは対照的に、友梨の顔色は真っ青を通り越して真っ白になっていた。

    「は、は、は、は……。」
    「こんな時に、乾いた笑いなんかしないでよ。」
    「――蜂〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
    「あ、違ったのね。」

     肩を竦め、智里は真直ぐに真っ黒な固まり――蜂の集団を一瞥した。

    「これが、ゲームね……。」

     智里は不敵な笑みを浮かべながら、このくだらないゲームを思いついた【ルーラー】に今すぐに怒りをぶつけに行きたいと、本気で思っていた。
     一方、友梨は気絶寸前の表情で蜂の集団を見ていた。


    《ゲーム・開始》


     再び鳴った着信の音とともに、蜂の集団が襲ってきた。

    〜つづく〜
    あとがき:ようやく、ゲームが始まりました……。
    ゆう(友梨)ちゃん、段々不憫に思うのは私だけでしょうか?……まあ、彼女には頑張ってもらわなくては…うん。
    頑張れゆうちゃん!負けるなゆうちゃん!貴女の先行きは暗い!!(……あれ?)

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  • from: yumiさん

    2010年05月27日 10時16分57秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第二章〜・2・

    ―回想―

     友梨(ゆうり)と智里(ちさと)は【ルーラー】との会話の後、すぐさま、友梨の友達の家まで走った。まあ、正しく言えば、居てもたっても居られなかった友梨が一人で、その友達の家に向かい、その後を智里が追いかけたという話だ。
     だけど、【ルーラー】が言った通り、その家には誰も居なかった。

    『ミキちゃん!!』

     幼い頃から付き合いのある家は普段なら鍵が掛けられ、インターホンを鳴らす所だが、幸か、不幸かそんな心配はしなくてすんだ。

    『ミキ…ちゃん?』

     幼い頃から何度も訪れているはずの家はどこかよそよそしく、そして、誰も居なかった。
     足元が崩れ落ちる音がし、友梨はその場に座り込んでしまった。

    『お姉ちゃん……、やっぱりいないね。』

     冷静にこの状況を受け止める妹がこの時ばかりは腹立たしく、涙目で睨んでしまった。

    『そんなに冷静に言わないで。』
    『感情的になっても、この状況は変わらないわよ。』

     厳しいけど、正論である答えに友梨は口の端を噛んだ。

    『智里は悔しくないの?』
    『誰が悔しくないと言ったの?わたしだって、悔しいわよ。』

     意外な答えに友梨は瞬いた。

    『それでも、今を嘆いても何も変わらない、それなら、今をもがくしかないでしょ?』
    『………。』
    『お姉ちゃんはいつも、やる前に逃げるから、今回も逃げるの?』
     鋭い刃のような視線に友梨は戸惑いを隠せなかった。
    『お姉ちゃんはいつもそう、自分が出来る事はすぐにするくせに、何か少しでも躓く、失敗するというものは躊躇して、結局何も出来ないんだよね?』

     上からの目線に友梨は睨みつけるが、それはとても弱いものだった。

    『お姉ちゃん、逃げるの?』
    『智里は…智里はどうなのよ?』
    『わたし?わたしは逃げたりなんかしない。』

     はっきりと言い切る妹が眩しくて、友梨は目を細めた。

    『逃げてもどうしようもない事なのに、逃げる方が変でしょ?』
    『……。』
    『まあ、今回ばかりはお姉ちゃんは逃げる事はできないね、わたしたち次第でみんなの命が決まるんだから。』
    『……。』
    『お姉ちゃんは、お母さんや美波、お父さん、そして、お姉ちゃんの友だちの命を見捨てられる?』
    『そんな事出来ない。』

     友梨のその答えに智里は勝ち誇った笑みを浮かべた。

    『まあ、共に頑張ろうよ、お姉ちゃん。』
    『………うん、よろしく、智里。』
    『うん……って、いつまで座ってる気?』

     智里は呆れたように言い、友梨は一瞬しかめっ面をするが、すぐに自力で立ち上がった。

    『取り敢えず、どうする?』
    『一度家に帰ってからご飯を食べてから、近所を歩く、それだけでいいじゃない?』
    『まあ、そうだよね。』

     智里の提案に友梨が頷き、そして、昼食を済ませた二人は二時間ほど制服のまま近場をうろうろしたが、結局誰にもすれ違わなかったどころか、車一台もすれ違わなかったし、駅にも行くが、電車事態一本も出ていなかった。
     そして、友梨たちは取り敢えず家に帰ってお風呂に入ってから制服から私服に着替え、友梨は夕食の準備を始め、智里は何かを考えているようだった。

    〜つづく〜
    あとがき:回想編を載せました、ちーちゃん(智里)性格きつい……。
    さてさて、ここからどうなる事やら……、次は土曜日あたりに載せると思います(時間帯は分かりませんが。)

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  • from: yumiさん

    2010年05月26日 16時23分09秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第二章〜《第一ステージ》・1・

    「お姉ちゃん……。」
    「ん?」

     友梨(ゆうり)ははしを置いて、妹の智里(ちさと)を見詰めた。

    「不味い。」
    「うるさいっ!」

     妹の一言に友梨の額に青筋が浮かんだ。
     少女たちの目の前にあるのはご飯とインスタントのコーンスープ、それに少し焦げた目玉焼きに、真っ黒な野菜炒め……。

    「お姉ちゃんって、お料理できないんだね。」
    「手伝っても居ない智里には言われたくありませーん!!」
    「……でも、これは酷くない?」

     智里が指差すのは炭…ではなく野菜炒め。
     ぶちり、と友梨の頭の片隅で何かが切れた音がした。

    「しょうがないでしょ!いっつも、いっつも、お母さんの料理食べて、お手伝いだって、食器洗いや、布団の取り入れ、それに、洗濯物を畳むくらいしかやっていないんだから!!」
    「それでもねー……。」

     わざとらしいような溜息を吐く智里に、友梨はギロリと睨んだ。
     しかし、智里は何処吹く風、全く気にしてなどいなかった……。

    「何もやっていないのは智里の方じゃない。」
    「そうでもないわよ。」
    「……。」

     嘘だ、と眼で訴える姉に智里は溜息を吐く。

    「わたしだって、美波がいる時はやるわよ。」
    「でも、私がいるとやらないよね?」
    「当たり前でしょ、なんで、お姉ちゃんがいる時にわたしが働かなきゃいけないのよ。」
    「………ねえ、智里。」
    「何?」
    「あんたさ、私の事姉だと思っているの?」
    「当然じゃない。」

     平然と答える智里に友梨は半眼で彼女を睨んだ。

    「……………絶対嘘だ。」
    「ふふふ…どーでしょうね?」

     笑う智里の背後には何か黒いモノがうごめいているような気がして、友梨は思わず顔を背けた。

    「どうしたの?お姉ちゃん?」

     友梨はたまに…いや…かなり思うのだが、この妹は実は何百年も前から生きている妖怪ではないかと思う時がある。自分が知らない事を平然と言うし、自分が産まれる前の事をよく知っている、それに、一番思うのが、絶対に自分を蔑んでいる点だ……。

    「何でもない……。」

     自分の思考でどっと疲れた友梨は再び、自分の作った料理にはしを伸ばす。

    「う…まず。」

     焦げた味が口の中に広がり、思わず呻いた。
    ご飯を炊くのはまあ、調理実習で何度かやっているから普通に食べられる。目玉焼きは何度か作っているから何とかできた、でも、野菜炒めだけは…初めてで、適当にやってしまったら、こんな結果だった。

    「………まあ、冗談はここまでにして。」

     急に真剣な目をする智里に友梨も顔を引き締めた。

    「本当にこの街に誰も居なかった。」
    「うん。」

    〜つづく〜
    あとがき:ちょっとだけ進みました。ゆう(友梨)ちゃんとちー(智里)ちゃんの会話は正直……自分のようにも思えました……。理由、私もまともに料理をしていないから……。明日に回想編を載せると思います。

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  • from: yumiさん

    2010年05月24日 14時11分33秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜幕間〜《鳥籠の二人》・後編・

    しばらくして、外の方から足音が聞こえ、少年は体を強張らせた。

    「どうしたの?」

     まだ異常事態を悟っていない少女は不思議そうに首を傾げた。

    「誰かが来る。」
    『やあ、待たせたね。』

     男とも女とも判別できない声の人型のロボットに、少年は少女を庇うように前に出た。

    『おや、おや、仲良くなったみたいだね。』
    「お前は誰だ!」
    『わたしはそこの少女のお姉さん達には『支配者』【ルーラー】と名乗った。』
    「お姉ちゃん!」
    『ほお、気になるのかな?』

     少年は背に少女を庇いながら、それを睨む。

    「気になるに決まってるじゃねえか。」

     口角を持ち上げ少年は笑った。

    「あんたが何のために、オレたちをとっ捕まえたのか。」
    『ただの遊戯さ。』
    「遊戯…だと?」
    『そう、この【エリア】の住人達を捕まえ、そして、それを助ける者たちの命をかけたゲーム、暗黒の遊戯【ダークネス・ゲーム】さ。』
    「「ダークネス…ゲーム……。」」

     二人はただならぬ気配を感じながら、そう同時に口にした。

    『そして、さっそく【駒】たちに試練を与えなければならない。』

     少年は無意識に数歩後ろに下がった。

    『おや、勘の良い少年だね。』

     くくくと喉の奥から笑った声がスピーカーから漏れ、少年は顔を歪める。

    『そう…手始めにその少女を使おう。』

     ロボットの手が少女に向かって伸び、少年は庇おうとする。

    「美波(みなみ)!!」
    「リョウくん!」

     少年は振り返り、少女を抱き締めるようにそれから彼女を守った。

    「くっ!」

     ロボットの手が少年の肩を強打し、少年はうめき声を上げ、少女は目に涙を浮かべた。

    「リョウくん……。」
    「大丈夫だ。」
    『麗しい、愛だね、でも……。』

     ロボットは容赦なく、少年を払い除けた。

    「リョウ!!」

     少女は少年に駆け寄ろうとするが、ロボットの手が彼女の動作を妨げた。

    『残念だったね。』

     笑い声がスピーカーから漏れ、少女はギロリと睨んだ。

    『おや、おや、ほんの少しの時間なのに、そんなにあの見知らぬ少年が気になるのかな?』
    「……。」
    『まあ、いいさ、君は実験体第一号だから、教えてあげよう。』

     表情があるはずもないロボットが一瞬ニヤリと笑った気がして、少女は体を強張らせた。

    『君はね、わたしの実験で【傀儡】になってもらい、そして、君達のお姉さんと戦ってもらうよ。』
    「――っ!」
    「ま…て……。」

     擦れた声がロボットと少女の間に入る。

    「リョウ……くん?」
    「美波を、連れて行くな……。」

     ゆらりと立ち上がる少年はとてもじゃないが、戦えるようには見えなかった。

    『勇ましい騎士だね、でも、残念だったね。』

     ロボットはそう言うと、少女の首元に手刀を入れ、彼女を気絶させる。

    「美波!」
    『この子は大切な【傀儡】だから、誰にも渡さないよ。』
    「待てっ!!」

     今にも去っていきそうなロボットに手を伸ばすが、少年の体は彼が考えていた以上に痛めつけられ、これ以上動く事が出来ず、その場にうずくまった。
     ロボットは少年を一瞥し、そして、踵を返した。

    『またね、少年次ぎ会う時は、君が【傀儡】になる番だよ。』
    「みな……み。」
    『じゃあ、良い夢を――。』

     無情に閉められた扉の音に、少年は力なく睨んだ。

    「くそ……。」


     目の前で泣く少女を守ってあげられなかった。
     自分の名を叫ぶ少女の手を握る事ができなかった。
     ボロボロになった体。
     ずたずたになった心。
     今少年を突き動かす力はなんだろうか?


    「ごめん…ごめん…。」

     少年は目に涙を浮かべながら、何度も、何度も謝った。

    「美波……。」

     少女の名を口にした時には口の中は自分が噛んで傷つけた傷口から流れる、血の味が広かった。

    〜幕間完・第二章につづく〜
    あとがき:少〜し(?)、恋愛モノが入ったかな?
    ……一応恋愛は入れるつもりですが、……カップリングは正直まだ考えていません……。でも、涼太(りょうた)×美波(みなみ)はほぼ確定だと思いますが……。どうでしょう?

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  • from: yumiさん

    2010年05月23日 09時25分28秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜幕間〜《鳥籠の二人》・前編・

     薄暗い室内に一人の少女は眠っていた。
     ふっと、近くから足音が聞こえ、少女は眠りから覚める。

    「……?」

     少女はまだ眠りから覚めきっていない頭で周りを見渡したが、そこは全く見覚えのない場所で、少女は不安げな表情を浮かべた。

    「ここは?」
    「……目覚めたのか。」

     まだ、声変わり前の少年の声に、少女は目を見張り、体を強張らせた。

    「だ、誰……?」
    「……お前こそ誰だ。」
    「あたしは……高田(たかだ)、高田美波(みなみ)。」
    「……オレは涼太(りょうた)、月前(つきまえ)涼太。」
    「……リョウくん?」
    「……略すなよ…。」

     薄暗い室内の所為で少年の顔はどんな表情をしているか、少女には分からなかったが、それでも、彼が呆れている事は伝わった。

    「……ねえ、ここ何処だかわかる?」
    「聞いてないのかよ…。」

     話を無視した少女に対し、少年は小さく眉間に皺を寄せるが、その姿は少女には見えていない。

    「……しゃねーか。〔(心中)こいつ天然そうだし……〕さっきの答え、オレも分からねえ。」
    「そうなんだ……あっ!お姉ちゃん達は!?」
    「……一緒にいたのか?」
    「ううん、一緒にいたのは確か、お父さんとお母さんだけ、食事最中に…真っ黒な服を着た人たちが入ってきて…びっくりした。」
    「ふーん、オレのとこと似たりよったりか。」

     特に何の関心もないのか、淡々という少年に少女は目を見張った。

    「ねえ、恐くないの?」
    「恐い、恐くねえ、だったら、恐い。」
    「……よかったー、あたしだけじゃないんだ。」
    「……びびりだな、美波は。」

     クスリと笑う少年に少女はムッとしたように頬をくれさせ、口先を尖らせる。

    「何よ、リョウくんだって、あたしと大差ないんでしょ!」
    「なら幾つだよ。」

     少年は少女が絶対に小学生くらいだと思って尋ねると……。

    「十三。中学二年だよ。」
    「………………………………。」

     黙りこんでしまった少年に少女は怪訝に思い、彼に近付いた。

    「どうしたの?気分悪くなったの?」
    「…………ちげぇよ。」

     何処となく低くなった声に、少女はビクリと体を震わせる。

    「…………………あー!!くそっ!」
    「――っ!」

     行き成り叫びだした少年に少女は涙目で目を見張った。

    「よりによって年上かよ!」
    「…えーと……。」

     少年の言葉が理解できないのか、少女は小さく首を傾げた。

    「……オレは十二、中一だよ。」

     吐き捨てるようにいった少年に、少女は小さき目を見張った。

    「ぜってー、オレより年下だと思ったのに!」
    「えーと…、残念だね??」
    「……あんたムカつくな。」

     睨み付けるように少女を見て、少年は盛大な溜息を吐いた。

    「本当に、ムカつくよ、この状況も、あんたも。」
    「………ねー。」
    「ん?」
    「あたしが一応年上なんだよね?」
    「そう念押すなよ。」

     薄闇から鋭い眼光を発する少年に、少女は目をすぼめた。

    「なら、あたしの事を「あんた」呼ばわりしないで、あたしには「美波」という名前があるんだから。」
    「……分かったよ。」

    〜つづく〜
    あとがき:本当は一本にまとめる気でしたが、悔しい事に前後に分かれてしまいました……、しかも、まだ出す気がなかったキャラクターまで出てるし……なんでだろう?

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  • from: yumiさん

    2010年05月22日 14時41分52秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第一章〜・3・

    『この【エリア】には君達、四人だけしかいない。君達はその四人で協力してもいい、また、協力しなくても、わたしは別に構わないが、その代わり勝算は薄くなるだろうね。』
    「……。」
    『まあ、そこらへんは君達しだいだ。わたしはそれをある場所からずっと見ているよ。最終的に、そこにきてもらうが、今は黙っておこう。』

     ニヤリと笑っていそうな相手に友梨(ゆうり)は肩を震わせる。

    『さて、君達はこれからわたしが行う【ゲーム】に参加してもらう、簡単に説明すれば、それは命をかけたゲーム、君達が全員死んだら君達の負け、つまり、【ゲームオーバー】。逆に君達が勝てば【クリア】次のステージに上がれる。』
    「……なんか嫌ね。」

     眉間に皺を寄せ、智里(ちさと)は小さく唸った。

    『君達が今一番心配しているだろう君達以外の住人は、今は辛うじて生きているよ。だが、君達が負ければ、この者たちの命はない。まあ、死んでしまった君達には関係がない話だがね。』

     笑い声が部屋中に響き、友梨と智里は互いに怒りを堪えていた。

    『これからの【ゲーム】の指示は、君達の机の上にある携帯から指示を出す。まあ、始めのうちは死なない程度の難易度だ。せいぜいわたしを楽しませてくれ、【駒】たちよ。』
    「待ちなさい!」

     今にも切れてしまいそうなテレビに向かって、友梨はとうとう怒りを爆発させた。

    「あなたは一体何者なのよ!どうせ、こっちの名前をあなたのは方は知っていそうだけど、私たちは知らないのよ!」
    『……成程、確かにわたしは君達の名前は知っているな、だが、こちらの名前を教える義理はない……、しかしだ、名がなくては不自由だろう、君達はわたしの事を『支配者』【ルーラー】とでも、呼んでくれ。』
    「ふざけないで!」

     友梨は叫ぶが、それ――【ルーラー】はくくくと喉を鳴らした笑いをしただけだった。

    『では、諸君健闘を祈る。』

     そういい残すと【ルーラー】は消えてしまった。

    「……。」
    「……大変な事になったわね。」

     敵のようにテレビを睨みつける友梨。肩を竦め冷めたような、まるで他人事のように言う智里。二人はそれぞれの反応を示した。

    「お姉ちゃん、これからどうする?」
    「……。」
    「聞いてるの?」
    「……。」

     何も答えようとはしない姉に智里は微かに苛立っている。

    「お姉ちゃん!」
    「……そう、耳元で怒鳴らないでよ。」

     不愉快そうに眉を顰め、友梨は軽く智里を睨んだ。

    「……ねえ。」
    「何?」
    「命をかけたゲーム…って何をさせられると思う?」
    「さあ、分からないわ。」
    「私たちなんで選ばれたのかな?普通の女子高生なのに……。」
    「わたしとしては後二人が誰なのかが、気になるけどね。」
    「そうよね……。」

     こうして、二人は頭を悩ませるが、結局、【ルーラー】の意図が分からなかった。
     だが、巻き込まれてしまった四人の【ダークネス・ゲーム】は確実に始まってしまっていた。

    〜第一章完・幕間につづく〜
    あとがき:やっと話が動き始めたのかな?……う〜ん、本編の主人公は一応、ゆうちゃん(友梨)なのにな……。おかしいな…?

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  • from: yumiさん

    2010年05月19日 15時51分41秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第一章〜・2・

     友梨(ゆうり)は無言で周りを見渡すが、全くといっていいほどいつもと変わらない光景に微かに顔を引き攣らせる。

    「お姉ちゃん。」

     智里(ちさと)が姉に声をかけ、友梨は安心させるように微笑もうとするが、その顔は緊張のために引き攣っていた。

    「智里、いつもと変わんないよね?」
    「うん。」

     智里も中に入り、周りを見渡し始めた。

     次の瞬間――。

     先程まで電源が消えていたテレビに電源が入った。

    「「――っ!」」

     二人は同時に振り返り、目を見張った。

    『ようこそ、暗黒の遊戯【ダークネス・ゲーム】へ。』

     砂嵐の移る画面から女性とも男性とも区別できない声音が室内に響いた。

    『君達は選ばれし者【プレーヤー】だ。』

     友梨と智里は互いの顔を見合わせ、友梨は汗ばんだ手をスカートの裾で拭い、智里はテレビの電源に手を伸ばすが、テレビ自体の電源は始めからついていなく、智里はその手を彷徨わせた。

    『さあ、君達はこの街【エリア】の人間を助けられるかな?』
    「――っ!どういう事!」

     友梨は思わず叫ぶが、所詮テレビ相手には聞こえない……はずだが……。

    『君達は気づいているだろう?』

     まるで、友梨の言葉に対して答えるかのように、それは言った。

    「どういう意味よ!」
    「……お姉ちゃん。」

     たまたま、それが答えただけだと智里が言おうと口を開こうとしたが、先にそれが友梨の声に反応した。

    『威勢のいい【駒】だ。』
    「駒って何よ!」
    「お姉ちゃん。」

     智里が友梨の服の裾を引っ張るが、感情的になった友梨の耳にはその言葉は入っていなかった。

    『くくく……、このままお喋りをしていても、楽しそうだが、そろそろ本題に入らせてもらおうか?』
    「誰が――ふぐっ!」

     友梨が怒鳴ろうとするが、その口を智里が塞いだ。

    「ふぐぐ!(智里!)」
    「黙ってて、お姉ちゃん。」

     怒りで肩を震わせる妹見て、ようやく友梨は自分が感情的になりすぎたことを悟った。

    「ふぐぐ…(ごめん…)。」
    「……。」
    『静かになったので、そろそろ始めさせてもらおう。』

     そして、それは「ゲーム」の説明を始めた。

    〜つづく〜
    あとがき:あまり進みませんでした…。

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  • from: yumiさん

    2010年05月17日 12時59分28秒

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    ダークネス・ゲーム

    〜第一章〜・1・《ゲーム・スタート》

    「ただいま〜。」
    「ただいま。」

     二人の姉妹が同時に家のドアをくぐった。
     二人とも制服姿で、ブレザーだがその形が違った。
    二人の中で少し背の高い方で、ショートカットの少女はネクタイととれとおそろいのチェックのスカートが特徴で、もう一人の少女は眼鏡を掛けており、真直ぐで肩まである髪に、ワインレッドのリボンと紺色のベストとスカートが特徴だった。

    「それにしても、智里(ちさと)も一緒に帰るなんて、珍しくない?」

     ショートカットの少女がもう一人の少女、智里に話しかけ、彼女は小さく頷いた。

    「確かに、珍しいよね。」
    「あ〜、お腹すいた〜!」
     ショートカットの少女、友梨(ゆうり)は叫ぶように言い、智里はそれを見て呆れている。

    「確かにお腹は空いているけど、そこまでやる?」
    「やるよ!」
    「……あれ?」

     急に立ち止まった智里に友梨は訝しげに彼女を見た。

    「どうかしたの?」
    「何か静かじゃない?」
    「……。」

     友梨は耳を澄ませ、智里が言うように確かに、いつもなら聞こえてくる末の妹や母、父の声が聞こえてこなかった。

    「……どっか出かけるって言ってたっけ?」

     友梨は眉間に皺を寄せ、尋ねると、智里は首を横に振った。

    「わたしは聞いていないよ。」
    「だよね……。」

     ますます訳が分からなくなった、友梨はひとまず靴を脱ぎ捨て、中に入っていった。

    「誰も居ないの!?」

     友梨は真直ぐに家族が集うリビングに向かい、その後を智里が追う。

    「お母さん?お父さん?美波(みなみ)?居ないの〜?」

     友梨はヒョッコリと少し開いた扉から、中を覗き込むか、その部屋には誰も居なかった。

    「……智里…。」
    「お姉ちゃん…。」

     二人は互いの顔を見合わせ、その顔には不安が浮かんでいた。

    「「おかしいよ(ね)。」」

     同時に同じ言葉を言う二人だったが、中に入る勇気だけはなかった。

    「…ねえ、お姉ちゃん。」
    「何?」
    「机の上に乗っている料理、どう見ても、食べかけよね?」

     智里が指摘するものを友梨は見詰め、強張った顔で頷いた。

    「うん…そうだね。」

     食事の最中で両親や美波が居なくなるなんて、今までそんな事がなかった二人は、「家族に何かが起こったのではないか」と思った。

    「取り敢えず中に入ろう?」
    「……。」

     何の言葉を発しない智里に友梨は意を決し中に入っていった。

    〜つづく〜
    あとがき:今週中にまた続きを載せたいです。

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    マナ

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