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弥生の河に言の葉が流れる

弥生の河に言の葉が流れる>掲示板

公開 メンバー数:7人

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  • from: yumiさん

    2011年06月29日 10時41分26秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第十一章〜・33・

    「友梨(ゆうり)先輩、大丈夫ですか?」
    「ええ、大丈夫よ。」

     友梨を気遣う涼太(りょうた)に彼女は笑みを向ける。

    「それにしても、ごめんね。」
    「何がですか?」

     唐突に謝ってきた友梨に涼太は首を傾げた。

    「智里(ちさと)の事よ。」
    「…………いつもの事ですから。」
    「そう言ってもね……。」

     苦笑する友梨に涼太は顔を引き攣らせた。

    「本当に今回はマシですよ。前回なんて森の中であの人と一緒でしたから…本当に死ぬかと思いましたよ。」
    「…ご愁傷様。」
    「……本当にあの人は人間かと疑いたくなりましたよ。」

     と涼太が文句のような愚痴のような悪口を言った瞬間、彼の携帯が震えた。

    「「――っ!」」
    「……なんつうタイミングだ。」

     友梨と涼太の肩が跳ね上がり、昌獅(まさし)はあまりの間のよさに呆れ気味でそう言った。

    「ま、まさか。」
    「……そのまさかのようです。」

     涼太と友梨は彼の携帯に掛かってきた名前を見て肩を強張らせた。

    「どうして、何でこんなタイミングが良すぎるのよ。」
    「ですね。」

     肩を落す友梨は涼太から携帯を受け取って、耳に当てる。

    「もしもし。」
    『あら、随分取るのにかかったわね。』
    「煩いわね、こっちにだって色んな事情があるんだから。」
    『まあ、わたしの悪口を言うのが色んな事情なの?』
    「………あんた何もんよ。」
    『お姉ちゃんの妹。』
    「……。」

     友梨は溜息を一つ吐き、電話の相手を思い浮かべながら睨んだ。

    「で、何の用?」
    『あら、何時まで経っても動き出さないから痺れを切らしただけよ。』
    「……。」

     友梨は思わずこいつは千里眼かと疑いたくなった。

    『違うわよ、どうせお姉ちゃんたちの事だからいつまでたってもグダグダとしていると思ったからよ。』
    「……。」

     友梨は溜息をまた一つ吐き、いい訳じみた言葉を発する。

    「今にでも行こうとしていたんだけど?」
    『あら、わたしにそんな嘘が通じると思っているの?』
    「……。」

     友梨は苦虫を噛み潰したかのように苦い顔をした。

    『さてさて、さっさと向かったらどう?』
    「そっちこそ早く鍵を見つけなさいよ。」
    『まあ、恐い。』

     クスクスと微笑む智里(ちさと)に対し、友梨は唇を尖らせる。

    「何処が怖いのよ。」
    『ふふふ、お姉ちゃんが。』
    「嘘吐き。」

     友梨はうんざりしたように言い、肩を落とす。

    「それじゃ、私たちは行くから。」
    『早くしてちょうだいね、わたしの機嫌が良いうちにね。』
    「……。」

     友梨は智里の言葉にゾッとなった。

    あとがき:七月に入ったら本当にどうなるか分かりません…。月一でも載せれたらいいな…。

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  • from: yumiさん

    2011年06月27日 09時54分48秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第十一章〜・32・

    「さて、智里(ちさと)。」
    「何かしら?」
    「そんなに涼太(りょうた)くんを走らせたい理由は何かしら?」
    「そのクソガキが走るのに丁度良いからでしょ?」
    「……チビの次はクソかよ……、つーか、オレはガキじゃねぇ。」

     唇を尖らせる涼太に昌獅(まさし)は哀れみの篭った目で見詰めてきた。

    「智里、涼太くんを虐めないで。」
    「あら、虐めてなんかないわよ?」
    「……もう、後で絶対文句言ってやる。」
    「ご勝手に。」
    「…で、どうしてなのよ。」
    「簡単な事、この中で一番足が速いのは彼だからよ。」
    「……そうなの?」

     友梨(ゆうり)は智里の珍しくまともな理由に目を見開いた。

    「俺が知るかよ。」

     友梨に視線を向けられた昌獅は眉間に皺を寄せ、溜息を一つ吐いた。

    「それに悪運も強いし、何とかなるんじゃないかしら?」
    「……。」

     理由になっていない理由に友梨は開いた口が塞がらなかった。

    「さて、お姉ちゃん。」
    「な、何?」
    「お姉ちゃんはそこのクソガキと一緒の方がいいんじゃない?」
    「……おい。」

     不機嫌そうな声音に友梨が顔を向ければ、そこには眉間に皺を寄せた昌獅の姿があった。

    「何でこいつと一緒じゃねぇんだよ、高田(たかだ)妹その一。」
    「まあ、文句があるの?」
    「大有りだ。」
    「…ふ〜ん。」

     目を細める智里の放つ空気はまるで吹雪のように冷たく荒れている。

    「自分以外の男が側にいるだけでイラつくなんて、本当に人間出来ていないわね。」
    「てめぇの方が人間できてないじゃねぇかよ。」
    「まあ、わたしに対してそんな口を聞いていいのかしら?」
    「……。」

     友梨はこれ以上二人の会話を続けさせれば危険だと察し、昌獅の服を引っ張った。

    「昌獅。」
    「何だよ、友梨。」
    「別に今回くらい良いじゃない。」
    「なっ!お前は俺と離れて良いのかよ!?」

     瞠目する昌獅に友梨は冷たい目で睨んだ。

    「馬鹿昌獅!」
    「……。」
    「あのね、智里が言うのも分かるのよ!私と昌獅は大事な戦闘要員で、智里ならまあ、一人で大丈夫だと思うけど、美波(みなみ)や涼太君は守るべき相手でしょ。」
    「だが…。」
    「そんなに言うんだったら、四人のグループにすればいいんでしょうが!」

     まだ文句を言いそうな昌獅に友梨は噛み付くように言った。

    「友梨……。」
    「あんたは我侭言いすぎ!!」

     ビシリと指を突きつけ、友梨は頬を膨らませる。

    「本当に昌獅ってたまに馬鹿になるわね。」

     美波以外のものは全員心の中でこう思った「昌獅が馬鹿をやらかす時は、間違いなく友梨が関わっていると。」しかし、当の本人はそれを理解していない。

    「と、言う事で、智里!」
    「分かったわ、勇真(ゆうま)さん行きましょう。」
    「ああ、分かった。」

     智里と勇真はさっさと進んでいき、残された四人はその後姿を見送った。

    あとがき:今度は何時載せれるかはまだ分かりません、明日になるか、もっと先になるかは…本当に分からないので、申し訳ありません…。

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  • from: yumiさん

    2011年06月27日 09時49分54秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第十一章〜・31・

    「ねえ、智里(ちさと)。」
    「何かしら?」

     友梨(ゆうり)は昌獅(まさし)の腕から逃れ、実の妹である智里に話しかける。

    「今回はどうやって行動する?」
    「そうね…。」

     眉間に皺を寄せ考え始める智里に昌獅は友梨の肩を掴んだ。

    「俺と友梨は一緒だからな。」
    「…………独占欲が強すぎるとお姉ちゃんに嫌われるわよ。」
    「はっ、そんなんで嫌うんだったら、こいつは俺の側によらねぇし、まあ、俺が逃すはずが無いだろうけど。」
    「………。」
    「昌獅……。」

     呆れたような智里と顔を引き攣らせる友梨、それぞれ心の中でこう思った。

    (こいつ、本当にお姉ちゃんと付き合うって決まってから性格が変わっていくわね。)
    (…昌獅…、本当に性格が変わっている…。前はそんな恥ずかしい言葉吐かなかったのに…。)
    「何だよ、その哀れんだ目は。」

     昌獅は不満そうに唇を尖らせた。

    「だって……。」
    「だっててな……。」
    「お姉ちゃんの反応は当然だと思うけど?」
    「……。」

     自分に話しかけるな、と言うように昌獅は智里を睨みつけた。

    「まあ、恐い。」
    「嘘吐け。」
    「失礼な。」

     クスクスと笑う智里に昌獅はこれ以上ってない程眉間に皺を寄せたのだった。

    「まあ、いいけど、お姉ちゃんはどうしたい訳?」
    「そうね、一応城に行って、いくつ「鍵」が必要なのか、それに「鍵」がどんな形をしているのか知っておきたいと思うの。」
    「そうね。」
    「だから、私一っ走りしてみてこようかと思うんだけど。」
    「駄目。」
    「そうでしょうね。」

     友梨は智里だったら間違いなく否定するだろうと予想していたので、特に気落ちはしていないようだった。

    「お姉ちゃんよりも、そこのチビガキの方が良いんじゃないかしら?」
    「えっ?」
    「誰がチビガキだ!!」

     智里の声が聞こえていたのか、涼太(りょうた)は眉間に皺を寄せ智里に詰め寄った。

    「分かってるんなら喚かないで、煩いから。」
    「何だと!」

     握り拳を作って智里を睨みつける涼太だったが、そっと肩に置かれた手を見て怒りを無理矢理抑えた。

    「友梨先輩……。」
    「ごめんね、こんな妹で。」
    「……。」
    「お姉ちゃんしっかりと聞こえているんですけど?」
    「聞こえるように言っているんだから、しょうがないでしょ?」
    「言うようになったわね。」
    「御陰さまで。」

     睨み合う姉妹に昌獅と涼太は呆れるが、これ以上話を脱線させても無駄だと思い、二人は同時に姉妹の間に割り込んだ。

    「友梨。」
    「友梨先輩、落ち着いてください。」
    「……。」

     一番止めやすそうな友梨に二人は話しかけ、友梨はほんの少し不機嫌になるが、仕方ないと思い、肩を竦めた。

    「分かったわよ。」

     男がか弱い少女にこんな事を押し付けるなんて、世も末だと思いながら、友梨は智里を睨んだ。

    あとがき:三つ目載せたというのに、あまり進んでいませんね…。
    最近土日祝の短期アルバイトの募集で、家電量販店のカメラを売るというバイトという内容なんですが、丁度時間が空いているし、七月からはハローワークさんで応募させていただいた講座を三ヶ月とるので、その交通費を稼ぎたくて応募して、最近その研修を受けています。本当に頭がパンクしそうです…。

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  • from: yumiさん

    2011年06月27日 09時43分28秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第十一章〜・30・

    「な、何!?」

     驚く友梨(ゆうり)は反射的に昌獅(まさし)に抱きついた。
     昌獅は微かに震える友梨の肩をしっかりと抱きしめ、爆音の方に視線を向けた。

    「一体何が起こったんだ?」
    「…さあね、でも決して言い事じゃないようね。」

     冷静な智里(ちさと)は冷めたような目で昌獅と同じ方角を睨んでいた。

    「それにしても、あの変態は爆弾魔かしら?」
    「ふえ?どうして?」

     暢気な声が聞こえ、友梨はそちらに目を向けると、自分と同じ様に涼太(りょうた)に抱きしめられている美波(みなみ)の姿が映った。

    「だって、前回もそのいくつか前のお姉ちゃんが落下した事件もどう考えても火薬とかを使っていそうだもの。」
    「ふあ〜、凄いね。」
    「貴女が何も考えていないだけでしょう?」
    「む〜。」

     不満げに頬を膨らませる美波を見ながら友梨の震えが収まった。

    「友梨?」
    「大丈夫よ。」

     そっと昌獅を押し、離れようとする友梨に彼は顔を顰める。

    「お前な。」
    「大丈夫よ、あの子を見てたら、私がしっかりしないといけないと思うんだもん。」
    「…無理はするなよ。」
    「分かっているわよ。」

     クスリと笑う友梨に昌獅はそっと彼女を放す。

    「私は一人じゃないもん。」
    「…俺を頼れよ?」
    「昌獅だって、私を頼ってよ?」

     茶目っ気たっぷりの口調だが、その目は真剣そのものだった。

    「分かってる。」
    「分かればよろしい。」
    「何様だよ…。」
    「う〜ん、私が男だったら俺様とか言うんだけど……。」
    「ふざけるなよ。」
    「え〜。」

     仲の良い二人は気づいていない。
     智里と涼太が冷ややかな目で二人を睨んでいる事に、そして、智里の口から「このバカップルめ。」と罵り言葉が漏れた事に……。

    「……一体何が起こっているんだろうね?」
    「そうですね〜。」

     マイペースの勇真(ゆうま)と美波は遠くを見ながら、一人は苦笑をして、一人は小首を傾げていた。

    「まあ、あの煙を見たら、智里ちゃんが言うように爆弾か何かだろうね。」
    「そうですね。」
    「一体何が起ころうとしているんだろう。」

     思案するような顔をする勇真に美波は彼を見上げる。

    「お姉ちゃんたち放って置いていいんですか?」
    「ああ、そうだね。」

     美波の言葉に勇真は苦笑を浮かべながら四人を見る。
     一組は真剣な表情でようやく次の行動について話し合っているが、彼…昌獅はしっかりと彼女…友梨の肩に手を乗せている。
     一方残る一組はべたべたと友梨に触る昌獅に対して呆れたような表情をしている。

    「仲がいいのかな?」
    「ふえっ?」

     勇真の呟きの意味が分からないかのか、美波は小首を傾げ変な声を上げるが、勇真は説明する気が無いのか苦笑を浮かべている。

    「何でもないよ。(友梨ちゃんと昌獅に対しての反応だけは本当に智里ちゃんと涼太は似ている…仲がいい証拠だろうか?)」

     勇真がそんな事を思っているとは知る由もない五人はしばらくの間、それぞれの行動をしていた。

    あとがき:そういえば、書いていませんでしたが、卒業試験、車の免許は何とか六月の中旬までに取る事ができました。
    本当に長かったです……。

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  • from: yumiさん

    2011年06月27日 09時39分35秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第十一章〜・29・

    「さてさて、どうしましょうかこれ。」

     智里(ちさと)は頬を押さえながらほろほろと泣いている友梨(ゆうり)を見下ろし言った。

    「高田(たかだ)妹その一……。」
    「何かしら?ヘタレ。」
    「やり過ぎだ。」
    「まあ、どこが?」
    「……。」

     人間の皮をかぶった悪魔に昌獅(まさし)は睨みつけた。

    「てめぇは本当に最低な奴だな。」
    「まあ、何処がかしらね?」
    「……。」

     飄々としている智里に昌獅は彼女に聞こえないくらい小さく舌打ちをした。

    「てめぇみたいな人間はマジで嫌いだ。」
    「あら、最高な褒め言葉ありがとうございます。」
    「褒めてなんかいないだろうが。」

     苦虫を噛み潰したような顔をする昌獅に智里はクスクスと笑った。

    「わたしにしたら十分に褒められているんですけどね?」
    「悪趣味。」
    「ふふふ。」

     笑っている智里だが、姉である友梨の目からでは本気で怒っているようにしか見えなかった。

    「ま、昌獅…。」
    「何だよ。」
    「これ以上智里を刺激しないで……。」
    「はあ?」

     訳の分からない昌獅は眉間に皺を寄せるが、友梨はひしひしと感じる殺気に凍りつくのではないかと思うほど恐怖を覚えていた。

    「あら、お姉ちゃん…この馬鹿は死にたくて言葉を吐いているのよ?」
    「ち、智里…。」
    「止める必要はないんじゃないかしら?」
    「……。」
    「おい…。」

     姉妹の会話に一人ついていけない昌獅は二人の間に割り込んだ。

    「何の話をしているんだ。」
    「あら、分からないの?」
    「……。」

     ニッコリと微笑む智里と、余計な事をしないで、と目で訴える友梨を交互に見ながら、昌獅は顔を引き攣らせた。

    「……。」
    「気付いた?」

     ようやく自分が本気で智里を怒らせている事に気付いた昌獅は友梨の呟いた言葉を拾った。

    「ああ…。」

     擦れた声が昌獅の口から漏れ、友梨は頭を悩ます。

    「…あの子まだ本気で怒っている訳はないけど…、それでも、今の状況はかなり厄介なものだけど……。」
    「マジかよ。」
    「マジよ、マジ、大マジ。」
    「……。」

     昌獅は己の命がどのくらいで燃え尽きるのか本気で心配になったが、不幸か幸いか智里の怒りの矛先が変わった。
     それは爆音だった。

    あとがき:結構ストックが出来たので、今回は一気に四話載せようと思っています。

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  • from: yumiさん

    2011年06月08日 10時41分58秒

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    「ダークネス・ゲーム」
    〜第十一章〜・28・

    「お姉ちゃん?」
    「あっ、うん。」

     黙りこんでいた友梨(ゆうり)を怪訝に思ったのか、美波(みなみ)が声を掛けてきた。

    「私が気になった部分は「虹」なの、昌獅(まさし)。」

     友梨は一番声の掛けやすい昌獅に喋る。昌獅もそれをよく理解しているのか、ちゃんと相槌を打つ。

    「何でだよ?」
    「虹って何色?」
    「七色だろ?」
    「日本ではね。」

     友梨の言いたい意味が分からないのか、昌獅は眉間に皺を寄せた。

    「何処の国かは忘れたけど、三色とか六色っていう国もあるのよ。」
    「へ〜……。」

     感嘆の声を上げる昌獅に友梨はジトリと睨む。

    「感心している場合じゃないでしょ?」
    「何でだよ。」
    「虹の「鍵」を見つけないといけないのよ?」
    「それが?」
    「……爆弾騒ぎの時のこと忘れたの?」

     友梨の一言で昌獅は思い出したくない記憶と共に、その時感じた感情を呼び起こしてしまった。
     友梨が犠牲になった怒り。
     不甲斐ない自分への後悔。
     時間がなくなる絶望。

    「……。」
    「あの変態はきっと何か仕掛けてくる。」
    「だよな……。」
    「昌獅。」

     眉間に皺を寄せ、自分を責めている昌獅に友梨は彼の手を取った。

    「責めないで。」
    「友梨?」
    「私が余計な事を言ったから、責めているのは十分に分かっている、だけど、お願い必要以上に自分を責めないで。」

     友梨の言葉に昌獅はただただ彼女の手を握る事しか出来なかった。

    「ああ、熱いわね〜。」
    「へっ!」
    「……。」

     智里(ちさと)の言葉に友梨は顔を真っ赤にさせた。

    「な、な、なっ!」
    「本当にお姉ちゃんって周りを見ないわね。」
    「う、煩い!!」
    「こんなのが姉だなんて本当にいもしない神様とやらを恨みたくなるわ。」
    「恨むのならあの変態だけにしなさいよ、罰当たり。」
    「あら、お姉ちゃんは神様を信じるの?」
    「……。」

     友梨も智里ほどじゃないがそんなに神の存在を信じていない、強いて言うならばいたら面白いなという程度である。

    「お姉ちゃんも相当罰当たりじゃないの?」
    「う、煩い。」
    「睨んだって恐くないわよ?」
    「……智里の馬鹿。」
    「あら……。」

     智里は友梨に近付き、手を伸ばしてきた。

    「な、何?」
    「そんな事を言うのは…この口かしら?」
    「――っ!いたたたた〜〜〜!」

     容赦なく頬を摘まれ、そして、伸ばされる友梨は絶叫する。

    「ふふふ〜。」

     不気味に笑う智里を止めるものはこの場の誰もいなかった。

    あとがき:お久し振りです。更新停滞はまだまだ続くように思われます。今回これを載せたのは何と8万人を突破したので久し振りに載せさせていただきました。
    本当にありがとうございます。
    車の免許は講習所の卒業試験と試験場のテストだけなのですが…、中々先が見えていない状況なので、結構辛いです…。

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