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from: 21世紀さん

2011年09月25日 12時01分06秒

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【日米安保条約 なぜ再改定か】

(上)自立努力なくして真の協力はない防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛2011.9.2215:30佐瀬昌盛氏昨年は現行の日米安保条約(「日本国とアメリカ合衆

(上)自立努力なくして真の協力はない 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛
2011.9.22 15:30
佐瀬昌盛氏
 昨年は現行の日米安保条約(「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」)の締結から50年、今年は旧日米安保条約の誕生から60年という節目に当たる。だから、去年か今年には日米両国政府間でそれに相応(ふさわ)しい慶祝があるべきだった。

 が、現実は違った。2年前の政権交代で誕生した鳩山由紀夫首相の信じ難いトンチンカン外交で日米関係は混迷、菅直人後継首相にも日米関係立て直しの能力が欠けていた。ただ、菅政権には変な怪我(けが)の功名がなくもなかった。

 昨年秋の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件後に米国務長官をして「尖閣は日米安保条約適用対象地域」と明言させたり、3・11以後の米軍「トモダチ作戦」の展開があったり。米国のこの言動は日米安保関係の価値を日本国民に強く再認識させることになった。

 そのことは、来年1月に実施予定の内閣府「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」で裏書きされよう。「日米安保条約は日本の平和と安全に役立っていると思うか」と質問されると、「はい」の回答はポスト冷戦期にも上昇の一途を辿った(平成21年で76.4%)が、次回調査では一気に80%台に届くのではあるまいか。

 民主党政権では金太郎アメよろしく、どこを切っても「日米同盟が基軸」との声がこだまする。ならば、日米安保肯定の世論がかくも強いことは喜ばしいか。無論、喜ばしい。が、そこに問題はないか。私見では重大な問題あり、だ。


条約読まずに肯定


 なにが問題かといって、条約の内容と構成についての日本国民の無関心、無知識ほど嘆かわしいものはない。「条約を読んだことがあるか」と尋ねられて、一体、日本人の何パーセントが「はい」と答えるだろうか。恐らく5%未満だろう。私の推量では与党議員の場合でも3割程度だろう。要するに日本人は安保条約を読まないまま、それが「日本の平和と安全に役立っている」と答えるのだ。

 51年前、国会議事堂は「安保反対」デモの大波を浴びた。後年、私は当時の反対運動の闘士の多くと知り合ったが、彼らは異口同音に条約なぞは読まなかったと回顧した。反対理由は「巣鴨帰りの岸の仕事だから」だった。国民の大半はこの言い分を許容し、ために岸信介政権は条約の自然成立を待って退陣した。

 今日、ネガ・ポジ関係は反転している。日本国民の圧倒的多数が条約を読まずに現行安保条約を肯定している。これでいいはずがない。と言うのも、現行条約の構造は世界に類例のない異様なものだからだ。

 要するに、第5条で米国は有事に日本防衛義務を負うが、日本は逆の義務を負わず、代わりに第6条で日本は日本の安全と極東の「平和及び安全」への寄与として対米基地提供の義務を負う。「非対称の双務性」の異常構造だ。普通の相互防衛条約だったならば、今さら読み返せとは言わぬ。この異様さだからこそそれを読み、これでいいかと議論すべきなのだ。
もともと岸首相が望んだのは普通の、つまり条約構造上は対等の相互協力、相互防衛の条約だった。主権国家として当然のことだったが、憲法の制約を指摘され、それは成らなかった。だから、同首相は後年の条約再改定を望んだ。しかし、安保騒動の再燃を怖れた後継指導者世代はその道を避け、世論も眠り込んだ。


停まった安保意識


 今日の日本は自衛力を含めて国力の面では半世紀前とは比較にならぬ大きな、重要な存在である。ただ安保意識面では時計の針は停(と)まったも同然だった。

 私は1年前、日米安保条約再改定必要論を唱えた。ドンキホーテ視する人びとが多いのを承知の上で。

 以後、自問自答と有志との討論を重ねた。その再改定試案がここにある。読者諸賢の論評を乞うが、若干の説明を加えておきたい。

 第1、試案は条約構造上の対等性を旨としている。現世のすべての契約がそうであるように、それは実力対等性とは別物であり得る。日米は防衛義務でも基地提供に関しても形式上、対等である。それをどう活かすかが条約運用の肝だ。

 第2、条約適用範囲は現行条約の「日本及び極東」を大きく超える。が、これは現行条約下の日米合意諸文書ですでに確認ずみ。

 第3、集団的自衛権行使の相互義務化(両国それぞれの所定条件の下で)を謳(うた)う。この問題での日本の現行政府解釈は是正される。

 第4、再改定のキーワードは「自立と相互協力」だ。「相互協力」は現行条約ですでに謳われているが、真の自立努力なくしては真の相互協力は期し難い。





【プロフィル】佐瀬昌盛

 させ・まさもり 本紙「正論」執筆メンバー。昨年正論大賞を受賞。1934年、大連生まれ。東京大学大学院修士課程修了後、防衛大学校教授などを経て拓殖大学海外事情研究所客員教授、防衛大学校名誉教授。防衛・安全保障専門家で北大西洋条約機構(NATO)研究の第一人者。


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from: 21世紀さん

2011年09月25日 12時04分19秒

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「Re:【日米安保条約 なぜ再改定か】」
(中)安全と利益のため相互協力強める 大阪大学大学院教授・坂元一哉
2011.9.23 15:33
坂元一哉氏
 安保条約が結ばれてから今年で60年になる。この間、この条約とそれを骨格とする日米同盟は、日本の安全と繁栄に多大の貢献をなしてきた。戦後政治は長らくこの条約をめぐる国論の分裂に苦しんだが、いまはそれも不思議に思えるくらい、「日米同盟基軸」が国民のコンセンサスになっている。

 安保条約は、先の大戦を処理したサンフランシスコ平和条約の草案作成過程で、日本が米国に提案したものである。日本政府は平和条約の中に安全保障の取り決めが盛り込まれることを嫌い、日米間で安保条約のような別個の取り決めを結ぶよう、独自の草案を作って米国政府に要請した。

 米国はその要請に応じたけれども、日本が草案で希望した条約の形は拒絶する。日本の安全は地域(太平洋)の安全。地域の安全は米国の安全。だから日米が協力して日本を守ることが互いの安全のためになる、という形である。米国は、防衛力のない日本とはそういう相互的な条約は結べない、として厳しく拒絶した。

 以後、安保条約と日米同盟の歴史は、その相互性の獲得と発展の歴史だったと言ってもよい。1960年の改定で条約は、日本政府が望んだように、地域(極東)の安全のために日米が互いに協力する相互条約になった。当初は同盟の相互性は形式的だった。だが、日本の国力と防衛力が成長するにつれ、78年と97年の「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」策定などに見られるように、実質的な相互性を高める努力がなされてきた。

「2つの危機」が象徴


 21世紀最初の10年間に日米両国は、それぞれ「9・11」、「3・11」という危機に直面する。この2つの危機への対応に日米両国が安保条約の権利義務関係を超えて協力しあったことは、まさに同盟における相互性の発展を象徴するものだった。

 今回の安保条約再改定案も、その相互性のさらなる発展を狙ったものである。ポイントの一つは、条約と同盟の目的が両国相互の利益になることをより明確にすること。もう一つは、相互防衛の対象地域を広げ、基地の貸借を双方向にして同盟協力の相互性をより明確にすることである。

 前者に関して再改定案は、条約の対象地域を「極東」から「アジア太平洋」地域に拡大している。これは、米国が近年「太平洋国家」を自任し、ますます「アジア太平洋」への関心を強めていることにも対応するものである。日米の地理的関係から見て、より相互性のある対象地域を設定することになる。

 日米はこの地域の平和と安全の維持という目的のために協力しあう。それとともに、この地域が両国の国益にあう形で発展することを期待し、この地域の「自由と繁栄の諸条件を助長する」(前文)ことも同盟の目的にしている。

 後者に関して再改定案は、「アジア太平洋」地域での相互防衛を打ち出す。いまの安保条約が、条約の対象地域である「極東」よりさらに狭い「日本国の施政の下にある領域」のみの相互防衛になっている点を、大きく改めるものである。

 同時に再改定案は、基地の貸借についても条約の相互性を高める工夫をしている。米国だけが日本から基地を借りることができるのではなく、日本も米国から訓練基地などを借りることができるようにする。

実質強化は漸進的に


 両国の一方だけが他方から基地を借り、相互防衛は一方が支配する領域に限られる。そうした安保条約の形は「互いの安全と利益のために互いに協力する」という相互性の基本を見えにくくする。同盟の相互性強化のために安保条約の再改定が望ましいと考えるのはそのためである。

 もちろん、「アジア太平洋」地域における相互防衛、相互の基地貸借と言っても、実際の同盟協力は地域の戦略環境と日米双方の実力を考慮したものでなければならない。その意味では、条約を再改定しても、相互性の実質的強化は漸進的なものになるだろう。

 また、再改定案に規定するような同盟協力を実現するには、集団的自衛権の行使が必要になる。この点で再改定案は、日本はいかなる場合でも集団的自衛権の行使ができない、とする従来の政府憲法解釈の変更を前提にしている。

 そのこともあって、この再改定案はすぐに実現できるものではないかもしれない。だが提案者の一人としては、この案が安保条約と日米同盟が今後進む方向についての議論を活性化させるきっかけになることを心から期待している。





【プロフィル】坂元一哉

 さかもと・かずや 本紙「正論」執筆メンバー。1956年、福岡県出身。京都大学大学院修士課程修了、三重大学助教授などを経て大阪大学大学院法学研究科教授。「戦後日本外交史」で吉田茂賞、「日米同盟の絆」でサントリー学芸賞、正論新風賞(2008年)など日米関係に関する活発な評論活動で知られる。



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