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  • from: 庵主さん

    2010年11月10日 20時04分15秒

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    能面・能装束入門 第五回

    ・五番目〜鬼の曲に使用される面


    ■鬼神の面

     五番目、切能は一般的に「鬼畜物」とも言われるが、「融」「須磨源氏」「玄象」など、貴族や殿上人をシテとする曲や、「海士」のような龍女の曲もある。
     殿上人の三曲は、前シテが「笑尉」や「朝倉尉」、後シテが「中将」の面を使用している。
     海士は、前シテで「深井」や「曲見」という年配の女性の面を、後シテでは「泥眼(でいがん)」を使う。泥眼とは、白目部分に金色の彩色の入った女面で、葵上や砧のシテにも使う。目に金が入っているのは『この世の物でない』という約束で、鬼や天狗・幽霊の面は必ず金入りとなる。むろん、尉面や中将の目には金は入らない。
     また「春日龍神」や「張良」に出てくる龍神には「黒髭」を、「舎利」や「大会」に出てくる韋駄天や帝釈天等の力神には「天神」の面を使うこととなっている。


    ■鬼女の面

     葵上といえば「般若(はんにゃ)」の代表曲。般若には、「赤般若」「白般若」「黒般若」の三種があり、怒りを最も直接的に表象する赤が「道成寺」専用となる。高貴な女性としての品位を保つ白が「葵上」専用。遠国陸奥の鬼婆としての獣性を表す黒が「安達原」専用、というように使い分けられる。
     道成寺の場合は「赤頭」の小書が付くと「真蛇」や「泥蛇」と言う面に変わる。これはより強いイメージを出すと同時に、赤頭と面の赤が重複してしまうためと推測される。

     現在「紅葉狩」にも般若を使うことが多い。これは「鬼揃」の小書の時で、本来は「顰(しかみ)」と言う男の鬼の面を使う。この小書は明治になって作られたもの。広い会場(当時の万博)では、シテが一人では寂しいので、前ツレを全部鬼にして後半にも大勢鬼を出す事から始まった。ところが「顰」は基本的に一人しか使わない面で、一度に五つも六つも使うことはない。般若ならどこの家にも数多くあるので、鬼を鬼女に代えて般若を使うようになったのである。
     般若に似た面が「生成(なまなり)」である。これは「鉄輪」専用面。夫に捨てられた女が生き霊となって、別れた夫と後妻を取り殺そうとする曲で、他に「橋姫」という面もある。人間性を半分残しつつ鬼になり掛かった状態なので「生成」と名付けた。完全に鬼になってしまった般若を「本成」と言う。
    ちなみに般若とは本来仏教用語の「智慧」。般若の恐ろしさが能を通して、一般に定着することにより「般若」=恐ろしいというイメージが出来上がったのである。


    ■べしみ物

     この他にも天狗物の「鞍馬天狗」や「善界」に使う「大べしみ」。地獄の鬼「鵜飼」「松山鏡」「昭君」等に使う「小べしみ」。これは口を「へ」の字に結んでいることから「べしみ」と言われ、押さえた力強いイメージがある。
     「長霊べしみ」は大盗賊「熊坂長範」の顔で「熊坂」と「烏帽子折」に使う。
     これに対して「小鍛治」や「殺生石」に使う「小飛出(ことびで)」は軽快で切れ味鋭いイメージがあり、脇能に使う「大飛出」をスケールダウンしたような面。口をぐっとひきしめ力感を内に秘めた「べしみ」が陰、口も目もかっと開いた動的な「飛出」が陽の面といえるかもしれない。

    ■怨霊物

     鬼に対して幽霊になると「船弁慶」等に使う「怪士(あやかし)」や、「通小町」「藤戸」に使う「痩男(やせおとこ)」がある。今までの面に比べるとより人間臭く、暗い雰囲気があり、「黒頭」の下に付けるために一層陰鬱な表情に見える面であろう。似た顔の面に「一角仙人」に使う「一角仙人」と言う専用面もある。怪士の額に角を付けたようなおもむきである。
     老人の鬼という設定の「恋重荷」には「悪尉(あくじょう)」と言う面を使う。この「悪」と言う字は「悪い」ではなく「強い」と言う意味。様々な悪尉面がある。ただしまれに演じられる曲ばかりなので、舞台で見る機会は非常に少ない面といえよう。
    この分野の専用面としては前述の「生成」の他に「山姥」や「獅子口」などがある。獅子口は「石橋」の後シテで使う。文殊菩薩の愛獣である獅子の面で、能面の中で最も大きく、重い。首を振ったり、飛んだり、身体を激しく使うシテ方にとって、肉体的に大きな負担をかける面である。

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