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  • from: orimasaさん

    2012年04月20日 10時06分20秒

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    日本周遊紀行(230)白馬 「冬季長野オリンピック」(2)

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     日本周遊紀行(230)白馬 「冬季長野オリンピック」(2)  .



    1998年・平成10年2月17日、ジャンプ団体

    この日、白馬には激しい雪が降っていた。 
    ジャンプ台を見ても、選手のスタート地点が見えないほどの悪天候である。 係員が懸命に整備をしても、新しい雪がすぐに降り積もり、予定されていたトライアルは中止が決まり、本番の開催が危ぶまれる状況だった。 

    ジャンプは風の影響が強い競技だということはよく知られているが、降り積もる雪も競技には大きな影響をもたらす。 先ず、時速90km前後の猛スピードで滑り、飛ぶ選手たちにとって、激しい雪で視界が妨げられるのはとても危険、さらに、助走路に新雪が降り積もると、スピードがあがらず飛距離は伸びない。 だがしかし、すでにスタンドは超満員、このまま競技は中止されても仕方がないほどであった、予定よりか成り遅れてから、なんとか1本目の競技が始まった。


    1本目のジャンプ、日本の1番手・岡部の飛距離は121.5m、続く斎藤が130mの大ジャンプで、2位のオーストリアに44ポイントの大差をつけて首位に立った、やはり日本は強い。 
    残す2人はラージヒルのメダリストコンビ、さらなる大ジャンプを期待して、スタンドには楽勝ムードが漂よう。 

    でも、神様はそんなにお人好しではなかった。 3番手の原田が登場するのを待っていたかのように、雪がいっそう激しくなってきた。 
    会場に原田の名前がアナウンスされた、カメラのアップで、何とか姿は捉えられるが、戻すと雪の中に消えてしまいそうだ。 大丈夫なのか? 競技が続行されるのかどうか心配であったが、日本は参加した13チームの最後に飛んでいる。 3番手のジャンプを残しているのは原田だけ。 

    原田がスタートした。 「ハラダ! ハラダ!」という応援の大歓声が、白い風に吸い込まれる。 
    ところが、雪の合間からうっすらと見える90m付近のランディングバーンに姿が見えたとき、原田はもう、吸い付かれるように着地していた。 飛距離は79.5m、こわばった表情で電光掲示板を見上げる原田、ハイテンションだった大歓声が、一瞬で凍り付いたように鈍い響きに変わった。 

    このとき、日本中の人々の脳裏には、4年前、リレハンメルオリンピックの悪夢がよぎった。 最後のジャンパーとして登場した原田がまさかの失敗ジャンプ、ほぼ手中にしていた金メダルを逃してしまった出来事である。
    あれから4年、原田はリレハンメルの雪辱を果たすために、あらゆる努力をしたはずだが、それが・・、直後の原田の一言「屋根付いてないから、しょうがないよね・・」・・と。
     

    ジャンプ競技ほど“運“に左右されるスポーツはない。 どんなに努力しようが工夫を重ねようが、本番で吹雪に見舞われたり、積雪で助走路のスピードが奪われれば全て水疱に帰してしまうのである。 
    名ジャンパーであった秋元正博氏は「この競技は運が五割だからね」と。 だからといって、「どうせ最後は運だから」と開き直ってしまえば、その選手はそこで成長は止まる。 勝利の女神に愛されるためには、運を信じて険しい坂道を一歩一歩進んで行くしかない、ジャンプは人生そのもののようだ。


    雪の勢いは一向に弱まらない、セカンドラウンドが始まって8人目、チェコの選手が飛んだところで競技は一時中断される。 
    数分後、セカンドラウンドだけの記録を一度キャンセルして、観天望気の後、競技は再び開始された。 できることなら「もう一度最初から」やり直してくれないものか。 原田選手に、もう一度チャンスをあげたい。 しかし、神様が、いや原田は、さらに感動的なドラマを用意してくれていたのであった。
     

    競技2本目、逆転劇の幕開けは、岡部から始まった、日本選手1番手の岡部が137mという驚異的な飛距離をマークした。  
    15日の個人のラージヒル2本目に原田がマークした136mというバッケンレコードを更に更新したのである。 
    原田がビデオによる飛距離測定器の範囲を越えたため、この日は手書きの飛距離表示板を増設、142mまでスムーズに判定できるようになっていたらしく、早速、それが役に立ったのである。 続く斉藤は124mの安定したジャンプで日本は再びトップに立った。 あとは原田と船木のジャンプに期待、金メダルの夢が再びはっきりと視界に入ってきたのだ。

    そして、原田である。 1回目の失敗ジャンプが、まだ頭の隅に残っていて二の舞を演ずるのか、それとも、きれいさっぱり忘れて新たな気持ちで飛び出すのか・・?。 相変わらず雪の勢いは強く、条件は一回目と同じである。
     
    再び、NHKの工藤アナウンサーが、ややカン高い声で実況していた・・、
    そして「さあ、いよいよ原田スタート・・・ん・・高いぞ・・高くて、高くて、高くて・・、行った・・原田、大ジャンプ・・!!」、ついさっき岡部が樹立したばかりのバッケンレコードに並ぶ137mのスーパージャンプだった。 
    場内は興奮のルツボ、TV観戦士(小生)は「ヨッシャー・・!!」とガッツポーズ・・!。 そしてその後、猛烈なプレッシャーの中で着実に決めた船木のジャンプは125m。 
    飛び終えた船木が、祈るような表情で会場の電光掲示板を見上げている。次の瞬間、地鳴りのような大歓声のボルテージがさらに上がる、

    『 1位 JAPAN」、日本が金メダルである・・!! 』


    船木がガッツポーズをしながら、背中から雪の大地に倒れ込み、原田、斉藤、岡部、日本チームのメンバーが、抱き合い、飛び上がって喜んでいる。 原田が、先頭を切って船木に駆け寄り、一度は立ち上がって仲間を迎えた船木が、原田と抱き合ったまま、再び地面に倒れ込む。 
    会場はこの上ない熱狂の渦に包ました。
    グオオオーと、わき上がるような歓声の中に「はらだー!」、「ふなきー!」と選手たちを祝福する。 誰からともなく起こった「ニッポン!ニッポン!」という大合唱が、いつ終わるかもともなく白馬の山にこだました。 
    興奮が永遠に続くのではないかと思うほど、感動的なドラマにすべての日本人、観客が酔いしれていた。 その後、原田が泣きながら「船木、船木・・」と叫んで、コメントしていたのが印象的であった。 やはり、原田はヒーローであり、勝利の女神は日本チームに、原田に、微笑みと愛を下されたのであった・・!!。



    今、白馬のジャンプ台は、あの日の思いを秘めるように静まりかえっている。

    尚、長野オリンピック競技の内、アルペンスキー競技は男女の滑降、スーパー大回転および複合は白馬村の「白馬八方尾根スキー場」で実施された。 
    又、神城地区の山間には「スノーハープ」という競技場が在って、世界一流の選手たちをも唸らせ難コースと言われたクロスカントリー競技が行われた。 
    現在は、冬は歩くスキー(クロカンなど)、グリーンシーズンはローラースキーなど自然散策も楽しめる。 又、当地域は「蛍の里」としても整備されつつあり、行楽地域としても絶好の場所になっている。


    白馬の別宅に付いた・・!。
    ガラン・・!、とした部屋で大の字になって気持ちを落ち着かせる。 そして、名物、「倉下の湯」で身を清め、2,3日ノンビリして、厚木の実家へ戻ることにしよう・・!!。

    時に、平成17年6月17日 18時


    《 西日本編・・完 》    






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