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from: わかさん
2008/06/09 04:26:48
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山際に広がる水田
確か5週?に一度 東京新聞に田村さんの記事が掲載されます。
蝶を待つ
アワブキという植物がある。この葉を食べる幼虫が蛹となりやがて羽化するスミナガシやアオバセセリという蝶の産卵場面が撮りたいと思い、五月中旬以降、五ー六回小沢沿いの道まで通った。
立ったままで長い時間、いつ飛んでくるのかわからない蝶を待つのは疲れる。ちょっぴり遠くなるが、車の中から音楽でも聴きながら観察することにした。
「テネシーワルツ」で有名なパティペイジが歌う、「チェンジング・パートナー」や「モッキン・バード・ヒル」など、小学生時代に聴いた懐かしい曲が流れる。頭の中にさまざまなことが浮かんでは消えた。
三月のコンピューター断層撮影(CT)検査で、肺に転移したがんが大きくなっていると言われた。せっかく花が咲き蝶が舞う季節が来たのに、副作用の多い治療に切り替えるのはもったいない。一回パスし、六月の検査結果を見てから私が判断することに決めた。そんなわけで、最近、今までに増して野外に出かけることが多くなった。畦道の草を刈るエンジン音。田植えの準備をしている農機具の低い音。乳母車を押しながら通りがかったおばあさんに頭を下げたら、笑顔が返ってきた。
何時間も好きな曲を聴きながら蝶が飛んでくるのを待つ間、すでに原稿が頭の中で出来上がっていた。記憶がさめないうちに家に帰ってさっそく書き始めたが、頭の中に浮かんださまざまな名文が出てこない(笑) のどかな田園の広がる舞台で夢を見ていたのかも・・・。結局、この日も産卵を見届けることはできなかった。いつもは、過去のデータに従ってすでに周知のポイントに直行なので、収穫のない日は珍しい。
難易度の高い?ことに挑戦したが、見られたのは脳裏に浮かんだ名場面や懐かしい人、優しかった人たちの思い出だったようだ。
2008年 6月8日掲載
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