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from: わかさん
2008/09/30 05:51:29
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田村さんの記事です
がんと生きる
先日五十八歳の誕生日を迎えた。
父は五十八歳で、また祖父は五十六歳で、いずれも胃がんで亡くなっている。
私が腎臓がんになり全摘出手術をしてから、すでに三年半以上経過した。肺に転移した際、担当医に詳しくたずねたところ、ステージⅣ、五年生存率は限りなくゼロに近いと言われ、田村家長男の三代にわたる因果を複雑な思いで受け止めた。
ところが、もう一年半ほどでおしまいとは思えない経過をたどっている。いまのところ肺以外に転移しないのだ。大きさもあまり変わらず、最近では、ある薬をやめたら意外と体調がよくなり、今まで以上に野山に出かけている。
つい先日も、中学時代の同級生四人で(うち三人は当時生物部員。もう一人はクラスメイトの女性)私の好きな八ヶ岳周辺まで足をのばした。車の中は冗談や駄じゃれが飛び出し(私の担当?)明るくにぎやか。Kちゃん手作りのお弁当を白樺林の中でごちそうになったり、根に猛毒が含まれるが大変美しいヤマトリカブトや、温暖化のせいか二千百二十七メートルの麦草峠付近において、いまだ元気にナンブアザミの花で吸蜜するクジャクチョウなどを撮影して歩いた。
もうすぐ同級生が定年を迎える。二年以上生きのびれば気のおけない仲間や、私と同じ歳の妻ともハイキングや野山の散策などに気兼ねなく出かけられる。なんだかそれも可能に思えてきた。
八・五センチとあまりに大きかった腎臓がんに対し当初は悲観的だったが、今を精いっぱい生きようと考え直し、ここまで生きてきた。是が非でも田村家の記録を更新しなければ・・・!
2008年 9月28日掲載 東京新聞
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