筆洗
2009年2月18日

　何度目の迷走になるのか。残念ながら麻生政権にとってはもはや、日常のごとくに見える。
一昨日の夜、確かに麻生太郎首相は続投を指示したが、一日たって一転、辞任となった

▼世界中から注目されている中川昭一前財務相兼金融担当相のことである。
ろれつが回らないなど、醜態を演じた記者会見の責任を取ったのだが、
昼の段階での辞任時期は、二〇〇九年度予算案と関連法案の衆院通過後だった

▼今や「戦後最大」と呼ばれる経済危機に対し、大胆かつ迅速な対応が不可欠な時である。
辞任が決まっている大臣に何ができるのか。指導力など期待できないことは、政治の世界に
詳しくなくても常識で分かる

▼やはり夜になって、辞任に追い込まれた。首相に危機感があるように思えない。
政権の崩壊ではなく、日本経済、暮らしが崩壊する事態についてである

▼首相の任命責任はいつになく重い。森喜朗元首相は「大変お酒の好きな方だから、
酒に気を付けろと忠告したことがある」という。醜態の原因と関係あるのか定かでは
ないが、資質に疑問を持っていた人はいたのだ。盟友の首相は一緒によく食事をして
おり、知らなかったとは言えまい

▼「首相に贈りたい」と、落語家の春風亭栄枝さんから小欄に届いた狂歌を拝見して
みよう。＜名を変えて／アソウにイの字／加えたら／アイソウついた／人は言うなり＞


フォト：花フェスタ　「レミダス」