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from: わかさん
2009年04月23日 05時32分52秒
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毒カレー事件
【社説】東京新聞(一分割愛)
毒カレー事件 釈然とせぬ動機未解明
2009年4月22日
一九九八年七月に和歌山市で起きた毒物カレー事件で最高裁の判決も「死刑」だった。一審から上告審を通じて動機は解明されず、刑事裁判は終結する。事件にはなお謎が残されたままとなった。
地区の夏祭りで出されていたカレー鍋にヒ素が混入され、食べた住民六十七人が急性中毒を発症、このうち子供を含む四人が亡くなった。犯罪史に残る凶悪な無差別殺人事件だ。近所の林真須美被告が起訴された。
林被告は捜査段階から一審まで黙秘を続け、二審では無罪を主張した。一貫して起訴内容を認めていない。それでも死刑となったのは、客観的な状況証拠を積み重ねたことによる。
そのなかでも、カレー鍋に入っていたヒ素と被告宅にあったヒ素の同一性が科学鑑定で認定されたことと、「犯行時間帯に林被告が鍋の近くに一人でいた」という住民の目撃証言が有罪の有力根拠となった。過去にヒ素を使った殺人未遂事件にかかわっていたことも被告にはマイナス要素だった。
それでも、釈然としない思いは残る。これほどの凶悪事件でありながら、犯行の動機や目的が全く解明されていないからだ。
最高裁は「動機が解明されていないことは被告が犯人であるとの認定を左右しない」と述べた。刑事裁判は事件の真相を究明する場でもある。動機や目的は毒物カレー事件の核心部分の一つだ。
被告には黙秘権がある。その上で正当な手続きにのっとり、犯人しか知り得ない事実を供述させるのが犯罪捜査というもので、死刑事件ならなおさらだ。あらためて警察、検察当局の捜査が力不足だったというしかない。
最高裁は「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に証明された」としたが、公判前整理手続きによって争点や証拠が絞られる裁判員制度の裁判であれば超難問だ。市民裁判官には荷が重すぎる。
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