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from: わかさん
2009/05/26 05:35:13
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たむらさんの記事です
清志郎さんを聴く
5月も下旬になった。ホトトギスがけたたましく昼夜鳴き始める。「特許許可局・テッペンカケタカ」その年最初に聞いた鳴き声を忍び音といい、懐かしい唱歌のなかに「忍び音もらす夏は来ぬ」と歌われているが、なんであの大きな鳴き声が忍び音なのだろう?
あの鳥は少し遅く渡って来て、ウグイスなどがすでに卵を産み終えた巣にそーっと卵を産み落とし、ウグイスの卵を一つくわえて持ち出す。いわゆる託卵だ。早く孵った雛がウグイスの雛や卵を後ずさりして背中で外に放り出す。そんな姿をテレビなどで見たことがあるだろう。仮親より大きくてずうずうしいひどい鳥だ・・・と思った方も多いと思う。でも、雛や親鳥には何の罪も無い。それがあの鳥の正直な生きざま。
今月2日、忌野清志郎さんががん性リンパ管症で亡くなった。私の父が亡くなった年齢と同じ、そして私と同じ58歳。なんだか妙に気になって、闘病中で時間のある私は、インターネットの動画サイト「ユーチューブ」で一日中画像を見たり音楽を聴いたり歌詞を検索したり、彼の世界を申し訳ないが今ごろになって調べてみた。
野の花・蝶・鳥など自然が好きな私は、自分の世界にどっぷりつかり、偏見ほどではないが、ホトトギスのように、なんだかやかましいロック音楽をじっくり聴いたことはなかった。にわか知識でものをいうのははばかれるが、本当の優しさ、正直に生きるということの力を教えられたような気がした。失敗しない人生、傷つきたくない自分、いい子でいた方が得、なんだかうそっぽい。本当はわかっているのだけれど安全な道を歩きたがるし、親としても子にそう望む。
青葉の美しい季節。清志郎さんが声を張り上げ大切なものを教えてくれたような気がした。
2009年 5月24日掲載 (東京新聞)
フォト:卯の花の咲くころ
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