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from: わかさん
2009/09/14 05:30:45
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たむらさんの記事です
自然愛好家 田村さん 東京新聞・栃木版
日本の原風景
コスモスやキバナコスモスの咲く民家周辺には、夏の間、高原で過ごしたり夏眠していたと思われるヒョウモンチョウの仲間が蜜(みつ)を吸いに訪れている。咲き始めた真紅のヒガンバナがあぜ道や農道脇を明るく飾り、日照が少なかった今年の夏だったが、稲の穂も無事実り頭を垂れている。
林道を走り峠を越え、なじみのクヌギ林を覗いてみるが、カブトムシもカナブンも、また、たくさんいた国蝶オオムラサキの姿も今はない。今頃は産卵された卵塊から孵化(ふか)し、越冬幼虫までに育つべくエノキの葉を食べ来年の初夏への夢をつなげていることだろう。
左に曲がる山里散策コース分岐点で、何度も出会っては立ち話をするおじさんの顔を見つけ、今日もまた車を止めた。きれいに手入れの行き届いた広大な水田を指差し、イノシシよけの電線の話や、水を確保するために深い井戸を掘ってもらった話や、昔は山際だった屋敷跡に立つ大きなケヤキの話に移り、「ここから見た大きさとは違って、近くで見るとそれはそれは太いケヤキなのだ」と自慢する。昔話に及ぶと俄然(がぜん)調子がでて、立ち話は延々と続く。実はこれらの話は、もう何度も聞いて知っているが、日に焼けた現役の働き者のおじさんの話を聞くのは、好きな音楽を何度も聴くのと同じようで、少しも苦にはならない。
「おじさん!食糧危機がきたら、米をわけてくださいね」と、顔見知りになったことを良いことに、抜け目のない私の下心が顔を出す。
まだまだ元気なおじさん。しかし、後継者はいるのだろうか?美しい水田や畑も、守り続ける強い意志がなければ、すぐ雑草に覆われてしまう。いつまでも日本の原風景が消えないことを願っている。
2009年 9月13日掲載
フォトもたむらさん撮影「ヒガンバナとアゲハチョウ」
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