かなり前の記事ですが、東京新聞に毎日「本音のコラム」として記事があり　著名人が”本音”を書いているので面白いです。
今回は　見出しの如く　”母性”です。　金原（かねはら）ひとみさんです。

「結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はない
と考える人が過去最多云々」というニュースを
見た。まあ「必ず持つ必要がある」と言える人はそ
ういないだろうし、言える人がいたら逆に引く。
　散々言われてるし聞き飽きたしだったら誰か何
か打開策作れよと思うが女にとって出産や育児と
仕事の両立は難しい。執筆業というフリーターと
変わらない業種に就いている私にとってもそうな
のだから、会社員ならもっと難しいだろう。
　両立させたとしても、殺伐とした生活の中で夫
との関係が破綻する事も多いだろうし、育児や家
事の分担という所でつまずく夫婦もいる。だが何
より私か子供を産んで反発を覚えるようになった
のは、母となったら全てを捨てて母となるべきと
いう考え方だった。
　そういう母性に幻想を抱いた感じの映画や小説
を読んだりすると吐く体質になった。
　先日も、女性歌手が恋人との年末旅行をすっぱ
抜かれて、ネット上で子供を置いて旅行に行った
事に対する批判が高まっているというニュースを
見た。まるで母になったら飲むなヤルな遊ぶなと
言わんばかりだ。
　バカじゃねえのと思ったが、そういう事を言う
母奴はびっくりするくらい多い。だが飲んだりヤッ
たり遊んだり出来ないくらいなら母親になんてな
らねーよと思っている女だって、びっくりするく
らい多いのだ。（小説家）

フォト：足利学校　東入口の寒梅