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from: わかさん
2010/02/17 05:43:18
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がん患者、お金との闘い
筆洗
2010年2月15日
一カ月前、一人の末期がん患者が家族に見守られ、静かに息をひきとった。がんが全身に転移した痛みに耐えながら、治療費の負担で生活に窮するがん患者と家族の現実を訴え続けた北海道伊達市の金子明美さん(41)だ
▼大腸がんを告げられたのは二〇〇三年七月。長女が生まれたばかりだった。手術から三カ月後、転移が見つかり「余命三カ月」を宣告された。抗がん剤治療が奏功したが、高額の治療費は暮らしを圧迫した
▼高額療養費制度で支払った金額の一部が払い戻されるのは、三カ月も先だ。抗がん剤の進歩は延命をもたらす一方、患者の「命」と家族の「生活」の選択を迫っていた
▼五百万円の貯金は二年で消えた。生活保護を受ければ、医療費は公費で負担される。夫と離婚して生活保護を受けるか、治療を断念するか。明美さんの心は揺れた
▼入院から通院へとがん治療は変わっているのに、実態に合わない医療費の制度。経済負担に苦悩する仲間たちと始めたのが、自治体に患者の負担軽減を盛り込んだ条例をつくる活動だった
▼明美さんに密着取材した札幌テレビの取材班が書いた『がん患者、お金との闘い』は、国民皆保険制度の盲点や、がん保険が通院治療をほとんどカバーしていない現状も浮き彫りにする。二人に一人ががんになる時代に、身をもって伝えてくれた命のメッセージに感謝したい。
フォト:今週のロビー展示で 小口一郎の版画絵を飾っています。
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