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from: わかさん
2011/03/28 05:31:58
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私たち自身の力を信じたい
【社説】
週のはじめに考える 復興の鍵は民間力だ
2011年3月27日 東京新聞
東日本大震災から二週間余を過ぎて、復興への動きも始まりました。政府の対策はもちろんですが、民間力を生かす方策にも十分な目配りが必要です。
大地震と津波、さらに東京電力・福島第一原子力発電所事故。災害は峠を越したどころか、放射能漏れが収まらず、被害は拡大しそうな気配もある。被災者の苦しみには胸が痛みます。
一方で被災者同士の助け合いや自活努力、企業や有志の寄付など多くの人々が困難を乗り切るために力を合わせようという強い意志が国境を超えて広がっている。そこに勇気づけられます。
◆善意と貢献、自己犠牲
トヨタ自動車やパナソニックは三億円、衣料品のユニクロ経営者は個人で十億円などと義援金の申し出が相次ぎました。さまざまなボランティアや医師、看護師たちも続々と現地入りしています。復興を支える本当の力は、こうした民間の善意と貢献、自己犠牲から生まれる。そう思います。
被災者や民間支援をする立場からみると、残念ながら菅直人政権の救援復興活動は十分に行き届いていたとは言えません。前例のない巨大災害であり、事態掌握に手間取った事情はあるでしょう。
しかし、政府が統制を厳しくするあまり、民間の救援活動を押し出してしまった面はなかったか。たとえば地震発生からしばらくの間、東北に向かう高速道路は警察や消防、自衛隊の緊急車両に限定され、民間車は食料や燃料など救援物資を積んでいても現地入りが難しかった。
政府がコントロールするのは当然でもありますが、半面、すべての状況を的確に掌握できるわけでもない。地元ならでは、避難所ならではの活動をきめ細かく柔軟に支援していく必要があります。
◆ふるさと納税の拡充を
もともと民主党政権は「新しい公共」という概念を掲げて、公共の仕事を担う民間の非政府組織(NGO)などを積極的に応援するはずでした。玄葉光一郎国家戦略相はいまも新しい公共担当の特命大臣を兼務しています。
これから本格的な復興対策を考えるときに「新しい公共」の視点からも民間の力を生かす方策に知恵を絞るべきです。
たとえば「ふるさと納税」を抜本的に拡充して復興対策版をつくってはどうか。現行制度は家計が地方自治体に寄付した際、住民税と所得税から控除する仕組みですが、控除の上限を引き上げる。企業も対象にして法人税から控除できるようにする。
「被災地、被災者を支援したい」という民間の意思を政府が後押しするのです。これも「新しい公共」の概念に沿った立派な政府の仕事と思います。
自民党の谷垣禎一総裁は復興財源に増税を提案しましたが、なにも税金を使った復興事業だけが政府の仕事ではありません。資金配分も民間に任せれば、中間に政府が介在しない分だけ、カネが有効に使われる可能性もあります。
復興特区の設置はどうか。県や市町村の境界にこだわらず、被災地を特区に指定して、特区への民間投資、事業活動に税や補助金で優遇措置を与える。これも政府ではなく民間が主役です。
人材を生かす工夫も必要です。被災地では家族や家とともに仕事も失い、途方に暮れている人々が大勢います。そうした人たちをNGOや企業が雇った場合、政府が給料を補助してはどうか。政府が直接雇用するより、被災者のニーズに合うでしょう。
復興という仕事、雇用機会がそこにある。民間が主役になって仕事に取り組み、政府が支援するという基本的構えが重要です。
被災規模は今後、予想される放射能漏れによる分を含めれば、数十兆円に及ぶでしょう。政府の復興対策も十兆円どころか、数十兆円の単位になっても不思議ではない。となれば、財源が問題になります。
計画停電の混乱をみて、節電推進を理由にした電力料金への上乗せ増税をもくろむ向きもあるようです。しかし、災害による景気冷え込みを考えれば、当面の増税は避けたほうがいい。
それよりも政府が発行した国債の日銀引き受けによって賄うべきではないでしょうか。日銀が市中国債の買い入れを増額する手もありますが、ここは政府・日銀が一体となって、非常手段に訴えても復興を目指す強いメッセージを発信すべきだと思います。
◆政府は何ができるのか
危機にあって思うのは「政府はいったい何のためにあって、何ができるのか」という根本的な問題です。「命と暮らしを守る」。それが政府のもっとも基本的な仕事です。といって、けっして政府は万能ではない。まずは、私たち自身の力を信じたい。
こんな時に不謹慎ですがマラソンが中止になった 北関高速道を
1区間通行してきました。日曜日で割引で200円でした。
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