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from: わかさん
2011/06/11 05:53:49
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コメンテーター
TBSラジオの午後・夕方 デイキャッチの金曜日の担当者
いつ聞いていても”ばっさり”切り落としてくれるので気持ちが良いです。宮台さん また、本を出すそうです。(一部抜粋)
まえがき:「原発をどうするか」から「原発をやめられない社会をどうするか」へ
宮台真司
■福島第一原発事故に関する議論には、技術的不合理に関するものとは別に、社会的不合理に関するものがあり得る。説明しよう。何が技術的に合理的かについて合意できたとしても事柄の半分にしかならない。なぜならこの日本社会は、技術的に合理的だと分かっていることを社会的に採用できないことで知られるからだ。その意味で「(今でも)原発をやめられない日本社会」にこそ問題がある。そう。先の敗戦から引き継がれた問題だ。机上模擬演習では負けることが自明だった日米開戦を、なぜやめられなかったのか。
■この問題を僕は〈悪い共同体〉と、それに結合した〈悪い心の習慣〉と呼んできた。社会変動期には、国家の命運をかけてプラットフォームを変更しようとする政治家と、命がけでプラットフォームに固執する行政官僚の、血みどろの争いが展開する。政治家一人が見渡せる領域が限られてくる社会的複雑性の増したグローバル化状況では、政治家の行政官僚依存が不可避になるので、この戦いでは行政官僚が勝利しがちなのだ。だがウェーバーやアガンペンが見通したこうしたユニバーサルな傾向とは別に、日本的条件がある。
■先の敗戦に関する山本七平『空気の研究』をはじめとする数々の傑出した「失敗の研究」が明らかにしてきたように、行政官僚(先の大戦では軍官僚)の暴走を政治家が止められない理由として、「今さらやめられない」「空気に抗えない」といった言葉に象徴される独特の〈悪い共同体〉の〈悪い心の習慣〉があるのである。問題は先の大戦から間違いなく引き継がれている。原発政策の背後にも〈悪い共同体〉の〈悪い心の習慣〉が存在する。これを意識化できない限り、どんなに政策的合理性を議論しても、稔りはない。
フォト:ベロイカロイヤルキャンドル
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