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from: わかさん
2011/07/27 05:35:02
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中国版新幹線の追突
筆洗
2011年7月25日 東京新聞
あの3・11の大震災発生時、二十七本の新幹線が東北地方を走っていた。安全に停止したのは、大きな地震の前触れとなる初期微動を感知し、すべての列車に非常ブレーキが自動的にかかる緊急停止装置が作動したためだ
▼ブレーキが作動し始めてから、最大の揺れが到達したのは一分十秒後。すでに減速していたために脱線は免れた。新幹線開業以来、車内での乗客の死亡者ゼロという「安全神話」を守ったJRの技術力は高く評価されてよい
▼中国浙江省温州市で起きた中国版新幹線の追突、脱線事故は、夜を徹した懸命な救助活動にもかかわらず、死傷者は二百人を超えた。追突され、車両ごと高架橋の下に落ちた乗客の恐怖は、とても想像できない
▼中国鉄道省は、落雷で自動列車制御装置が作動しなかった可能性を指摘しているが、スピードアップなどの経済性ばかりを優先させ、安全を軽視したという批判が、中国国民から噴出しているのも当然だろう
▼日本では絶対に起こらない事故という声もあるが、中国の技術を見下すだけでは、チェルノブイリの原発事故から何も学ばなかった原子力行政と同じである。他国の事故でも徹底的に検証して、今後の事故防止に役立てる視点がほしい
▼JR各社は、速度や快適性の向上に躍起になっている。安全こそすべての「要」であると確認する契機にしてもらいたい。
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