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from: わかさん
2011/09/20 05:31:19
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年寄りのシワとシワの間には、理屈ではない宝石の
【コラム】
筆洗
2011年9月19日 東京新聞
<秋ナスは嫁に食わすな>という有名な諺(ことわざ)がある。秋のおいしいナスを嫁には食べさせたくないと考える姑(しゅうとめ)の意地の悪さが思い浮かぶが、本当は体を冷やす野菜はお嫁さんに食べさせない方がいい、という先人が残した知恵という説もある
▼そんな諺も大切にして、昔ながらの食生活の良さを見直している元気な「ばあちゃん」に会った。七十歳をすぎても髪はほぼ真っ黒。縄跳びは百回ぐらいできるという若杉友子さんだ
▼著書の『体温を上げる料理教室』では、陰陽の考え方を基に、戦後導入されたカロリー重視の栄養学を批判、「健康にしても病気にしても、みんな食歴がつくっている。病気はその人が食べてきたものの総決算」と語りかける
▼子どもには牛乳ではなくみそ汁を、肉食と砂糖が体を狂わせる、冷え症は納豆や豆腐を食べてはいけない…。山里の自給自足の生活から得た知恵である
▼ほとんどの農家が使っている一代限りのハイブリッド種(交配種)のことも、生命力のない野菜を食べても元気にならないと明快だ。「食が陰謀と戦略の沈黙の兵器になっている」という警句はジャーナリストのようだ
▼「年寄りのシワとシワの間には、理屈ではない宝石のような“経験”がはさまっている」という水戸光圀の言葉を作家の童門冬二さんが紹介している。経験から紡ぎ出されるその言葉に耳を傾けたい。
フォト:百日草
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